ジミー(兄)とトミー(弟)のドーシー兄弟は、1928年二人でザ・ドーシー・ブラザーズ・オーケストラを結成し活動を開始したそうですが、なかなかその録音には巡り合いませんでした。彼らはブランズウィックと契約していたというので、このミルドレッド・ベイリーのブランズウィックへの吹込みでそのバックを務めることになったのでしょう。
バニー・ベリガンは後にトミー・ドーシーのオーケストラで看板プレイヤーとして大活躍しますが、右の写真は1934年のドーシー・ブラザースの写真には写っていません。しかし1933年のこの録音には参加していますが、一時的なエキストラだったのでしょう。因みに写真の後列真ん中の3人は、左がトミー、真ん中女性がケイ・ウエーバー(Kay Weber)、その右がジミーです。
Vocal | … | ミルドレッド・ベイリー | Mildred Bailey |
Trumpet | … | バニー・ベリガン | Bunny Berigan |
Trombone | … | トミー・ドーシー | Tommy Dorsey |
Clarinet | … | ジミー・ドーシー | Jimmy Dorsey |
Tenor sax | … | ラリー・ビニヨン | Larry Binyon |
Violin | … | アンディ・ホワイトマン | Andy Whiteman |
Piano | … | フルトン・マグラス | Fulton McGrath |
Guitar | … | ディック・マクダフ | Dick McDonough |
Bass | … | アーティー・バーンスタイン | Artie Bernstein |
Drums | … | スタン・キング | Stan King |
収録5曲とも同じメンバー。
Record1 A-2. | ハーレム・ララバイ | Harlem lullaby | 4月8日録音 |
Record1 A-6. | イズ・ザット・リリジョン? | Is that religion ? | 4月8日録音 |
Record1 A-5. | ゼア・イズ・ア・キャビン・イン・ザ・パインズ | There's a cabin in the pines | 6月6日録音 |
Record1 A-4. | シャウティン・イン・ザット・エイメン | Shoutin’in that Amen | 9月5日録音 |
Record1 A-3. | ギヴ・ミー・リヴァティ・オア・ギヴ・ミー・ラヴ | Give me , liberty or give me love | 10月17日録音 |
一番多くソロを取っているのは兄貴のジミーです。ベリガンはA-6.[イズ・ザット・リリジョン?]で、イントロ、中間部と活躍しています。
A-2.[ハーレム・ララバイ]
ブルージーな1曲。トミー(Tb)のオブリガード、ジミー(Cl)のオブリガード、ソロが聴ける。トミーのTbプレイの音は柔らかいなぁ。最初の歌詞に”Hi-de-hi-de-ho"とあるが、これはキャブ・キャロウェイのことであろうか?ソロはジミーのClその後ヴォーカルに戻って終わる。
A-6.[イズ・ザット・リリジョン?]
バニー・ベリガンの吹くイントロで始まる。はっきりとベリガンのTpプレイが聴けるのはこの曲だけである。ソロはTp、P、Clなどが入り乱れて短いフレーズをプレイする。
A-5.[ゼア・イズ・ア・キャビン・イン・ザ・パインズ]
スローなナンバー。ヴォーカルにベリガンがオブリガードを付けているがかなり音が小さい。ソロはジミーのClが入る。
A-4.[シャウティン・イン・ザット・エイメン]
アップ・テンポで始まるが途中で半テンポに落とし、ソロ・スペースからアップに戻している。ソロはジミーのCl、ベリガンのリードする短いアンサンブルが入り、アップ・テンポのヴォーカルに戻る。
A-3.[ギヴ・ミー・リヴァティ・オア・ギヴ・ミー・ラヴ]
バックの演奏はほぼアンサンブルであり、わずかにトミーのミュートTbが短いソロを取る。エンディングの鼻歌風のスキャットが珍しい。
ともかくこの年の録音はさすがに声が若々しい。
記載のあるもの
Trumpet … バニー・ベリガン(Bunny Berigan)
Sax … フランク・トランバウアー(Frank Trumbauer)
Vocal … ペギー・ヒーリー(Peggy Healy)