初めての“シスターもの”である。戦前の女性ジャズ・コーラスといえば、ボスウェル・シスターズとこのアンドリュース・シスターズだが、ボスウェル・シスターズの方が先輩にあたる。
ボスウェル・シスターズは、マーサ(Martha)、コニー(Connie)、ヘルヴェティア(Helvetia)の三姉妹で、長女マーサとビックス・バイダーベックの師エメット・ハーディとの恋愛エピソードが油井正一著『ジャズの歴史』にも登場する。因みに僕が、ミュージシャンのプロフィールに活用しているスイング・ジャーナル社1971年刊行『ジャズ人名辞典』では、コニーを長姉とし、ハーディの勧めでコーラスに専念することになったとしている。しかしWebなどを検索してもやはり長姉はマーサで間違いないようである。
ついでながらボスウェル・シスターズのレコード・デビューは1925年と古く、アンドリュース・シスターズに先立つこと12年も早い。本来ならボスウェル・シスターズから取り上げるべきであるが、ボスウェルズのレコードはあまり見かけないのである。アンドリューズのレコードもそれほど多く見かけないが、たまたま見かけたので買っておいたという感じだ。今後手が届くようなボスウェルズのレコードも購入したいと思っている。
これまでコーラスものというと、ビング・クロスビーが加わっていた「リズム・ボーイズ」などがあったが、繰り返しになるが女性ものは初めてである。男性ものの場合そもそもバンド歌手が一緒にやってみた的な感じが強かった。また、バンド・メンバーがコーラスを取りなかなかうまいというのもあった。しかしボスウェルズ、アンドリューズは元々コーラス・グループとしてやって行こうというところが異なる。
しかし何故こういうコーラス・グループを取り上げるのか?これは故中山康樹氏が言うようにそもそもジャズ・ヴォーカルというのは何なのか?そういう特別なものがあるのか?という主張に通じる。もちろんこれは聞く人の感じ方で別れると思うが、僕は、ジャズ・ヴォーカルとポップス・ヴォーカルは異なると感じるし、彼女たちのパフォーマンスは、バックを含めてジャズだと感じるのである。
それにこういう類のレコードはよく売れたそうであり、バックに参加したジャズ・ミュージシャンが糊口をしのぐ糧として大きな役割を果たしたことも見逃せない。
おっと、大事ことを忘れた。アンドリュース・シスターズは、ボスウェルズと同じ三姉妹で、長姉ラヴァーン(写真右:1915年7月生まれ)、次女マキシン(写真左:1918年2月生まれ)、三女パティ(写真中:1920年2月生まれ)である。
| A面1. | 素敵な貴方 | Bei mir bist du schon |
ディスコグラフィーによれば、アンドリューズ・シスターズは、この曲の約1か月前1937年10月14日が初レコーディングであり、この曲は2回目のレコーディングである。この曲は彼女達の最大のヒット曲だそうで、曲はシロム・セクンダというユダヤ系のアメリカ人、詞はサミー・カーンとソウル・チャップリンによる1932年のミュージカル「アイ・ウッド・イフ・アイ・クッド」の中で歌われたものだという。ベニー・グッドマンもこの年の12月に録音をしている。
途中で入るコルネット・ソロはボビー・ハケット(Bobby Hacket)である。他のパーソネルは不明。ハケットのソロは、ビックス・バイダーベックを思わせる端正なソロで、よく全体とマッチしている。
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