ベニー・カーター 1929年

Benny Carter 1929

ベニー・カーターは前年チャーリー・ジョンソンのバンドでレコーディング・デビューし、フレッチャー・ヘンダーソンのバンドにリード奏者兼編曲者として加わる。その時はまだ21歳の若者であった。ガンサー・シュラー氏は、「まだ経験が足りず自分自身のオーケストラ感を持っておらず、ドン・レッドマンの代役をほとんどこなせなかった」と評している。しかしまた「才能ある若者であり、1930年末ごろまでには際立った進歩の跡がうかがえる」と述べている。しかしここで述べていることは、編曲者の才能であり、奏者としてのカーターは全てのサックス奏者の目標になっていたという。
1929年の吹込みというと、1929年の吹込みと思われるチョコレート・ダンディーズによる2面分の吹込みと今回取り上げるマッキニーズ・コットン・ピッカーズに客演したものしか見当たらない。ヘンダーソン楽団は停滞していたから加わっていないのかもしれないが。
因みにこの「ザ・チョコレート・ダンディーズ(The Chocolate Dandies)」という名称はよく見るのだが、よくわからない存在である。

<Date & Place> … 1929年11月5、7日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … マッキニーズ・コットン・ピッカーズ(McKinney's Cotton Pickers)

Band leaderウィリアム・マッキニーWilliam McKinney
Trumpetジョー・スミスJoe Smithシドニー・ド・パリスSidney De Paris
Tromboneクロード・ジョーンズClaude Jones
Arrangement , Alto sax & Vocalドン・レッドマンDon Redman
Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Banjoデイヴ・ウィルボーンDave Wilborn
Tubaビリー・テイラーBilly Taylor

例によって録音データの記載がないため詳細は不明だが、文中に記載のあるものを記す。このようにゲスト的にスター的なソロイストが加わっての録音は、1928年よりエキサイティングな仕上がりとなり、一連のニューヨーク録音は、非常に好評を博したという。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第9巻/ザ・ビッグ・バンド・イーラ」(RCA RA-47)

B面1曲目プレイン・ダートPlain dirt11月5日
B面2曲目ジー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユーGee , Ain't I good to you11月5日
B面3曲目ザ・ウェイ・アイ・フィール・トゥディThe way I feel today11月5日
B面4曲目ミス・ハナMiss Hannah11月5日
B面5曲目ホェアエヴァ・ゼアズ・ア・ウィル・ベイビーWherever there's a will , baby11月7日

B-1.プレイン・ダート
編曲はジョン・ネスビットで、ソロ・オーダーはシドニー(Tp)⇒ジョーンズ(Tb)⇒ホーク(Ts)だというが、いずれも極めて短く思う存分その腕を発揮したという感じではない。アンサンブル中心である。
B-2.ジー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
レッドマンの編曲で、ソロ・オーダーはスミス(Tp)⇒パリス(Tp)⇒カーター(As)⇒レッドマン(Vo)だという。テーマ部分のソロはスミスで美しい音色である。続くオープンのソロはパリス、続くカーターのソロは見事、解説に拠るとこの時期カーターは全てのサックス奏者の目標になっていたという。
B-3.ザ・ウェイ・アイ・フィール・トゥディ
レッドマンの編曲で、ソロ・オーダーはジョーンズ(Tb)⇒スミス(Tp)⇒レッドマン(Vo)⇒ホーキンス(Ts)。短いからかもしれないが、ジョーンズもスミス、ホーキンスに引けを取らない吹奏ぶりだと思う。
B-4.ミス・ハナ
ソロ・オーダーは、レッドマン(As、Vo)⇒パリス(Tp)⇒カーター(Cl)⇒ホーク(Ts)。このB面すなわちニュー・ヨーク録音面では、レッドマンはこの曲しかソロを取っていない。その理由を聞かれたレッドマンは「私は、ベニー・カーターのように演奏できるとは思っていないからだ」と語ったという。ここで聴かれるカーターのクラリネット・ソロは彼の代表作の一つと言われているという。また、アームストロング直系と言われるパリスのソロも素晴らしい。シュラー氏はこれらに全く触れず、チューバのビリー・テイラーの華麗なプレイによって、ジャズ・レコードでの最低音D♭が披露されていると記載している。
B-5.ホェアエヴァ・ゼアズ・ア・ウィル・ベイビー
こちらは2日後の11月7日の録音。M.K.C.P.のメンバー以外について変動があるかどうかは不明。ソロ・オーダーはパリス(Tp)⇒レッドマン(Vo)⇒ホーク(Ts)。ホークは少々粗削りな面もあるが、後の男性的な持ち味を先取りするような堂々たるソロを展開している。

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