ベニー・カーター 1940年

Benny Carter 1940

今回は、ベニー・カーターの1940年の吹込みを取り上げよう。

<Date & Place> … 1940年1月3日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … コールマン・ホウキンス・オールスター・オクテット(Coleman Hawkins allstar octet)

Band leader & Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Trumpetベニー・カーターBenny Carter
TromboneJ.C.ヒギンボッサムJ.C.Higginbotham
Clarinetダニー・ポロDanny Polo
Pianoジーン・ロジャースGene Rodgers
Guitarローレンス・ルーシーLawrence Lucie
Bassジョニー・ウィリアムスJohnny Williams
Drumsウォルター・ジョンソンWalter Johnson

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ17/スイングからバップへ」(RCA RA-96)&「コールマン・ホーキンス/ボディ・アンド・ソウル」(VRA-5012)&「コールマン・ホーキンス/ボディ・アンド・ソウル」(BVCJ-37155 … CD)

ホエン・デイ・イズ・ダンWhen day is done
アラビアの酋長The shiek of Araby
私の青空My blue heaven
バウンシング・ウィズ・ビーンBouncing with bean
「ホエン・デイ・イズ・ダン」
ピアノのイントロからカーターのTpのリードするディキシー風のアンサンブルで始まり、ホウク(Ts)⇒ポロ(Cl)⇒ヒギンバサム(Tb)⇒再びホウクとソロが回り、再びカーターのリードするデキシー風アンサンブルで終わる。やはりホウクのソロが光る。
「アラビアの酋長」
スイング時代よく演奏されたナンバーだが、ここでもディキシー風のアンサンブルからポロ⇒ヒギンバサム⇒ホウクとソロを繋ぐ。ホウクのソロの後半は例の破裂しそうな力のこもった吹奏を聴かせる。ヒギンバサムのソロも素晴らしい。
「私の青空」
これもこの時代によく演奏されたお馴染みのナンバー。ソロ・オーダーは前曲と同じ。前曲同様各人ともさすがのソロを聴かせてくれる。
「バウンシング・ウィズ・ビーン」
この曲は前曲までとは異なり、カーターがアンサンブルというよりもソロのような吹奏を見せる。カーターがここで初のソロを取るというのは意外でもったいない感じがする。そしてポロ、ヒギンバサムと続き、次にピアノのロジャースがソロを取るがこれが素晴らしいと解説の粟村師もべた褒めである。そしてホウクのソロからディキシー風の集団演奏で締め括る。
全体として不思議なことは何故この時代に、ディキシー風のアレンジを施した演奏が多いのかということである。

「メトロノーム・オールスターズ」1940年

1940年第2回目のメトロノーム・オールスターズは2月7日に行われる。今回は"Metronome All Star Band"名義のオーケストラ演奏で1曲<キング・ポーター・ストンプ>、そのピックアップ・メンバー9名による"Metronome All Star Nine"名義で1曲<オールスター・ストラット>(多分ヘッド・アレンジによるもの)の2曲が録音された。画期的なことはいずれにもベニー・カーターとチャーリー・クリスチャンが参加していることである。なぜ画期的かというと、前年1939年はポール・ウィナーにエラ・フィッツジェラルドとテディ・ウィルソンが選出されているが黒人のためレコーディングには呼ばれなかった。しかしこの年は、オーケストラ、9重奏団ともに二人とも参加しているのである。この実現の経緯なども知りたいところではあるが、記載した記事を見たことがない。
実はこの音源は未所有であるが、YouTubeで簡単に聴くことができる。
因みに同じ日にBGはオーケストラで3曲を録音し、さらにセクステットで2曲を録音している。もう一方の人気バンマスで影響力があり、BGとは犬猿の仲のトミー・ドーシーが参加していないためにできた技かもしれない。

「メトロノーム・オールスターズ」1940年

<Date&Place> … 1940年2月7日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … メトロノーム・オールスターズ(Metronome Allstars)

Trumpetハリー・ジェイムズHarry Jamesジギー・エルマンZiggy Elmanチャーリー・スピヴァクCharlie Spivak
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagardenジャック・ジェニーJack Jenny
Clarinetベニー・グッドマンBennyGoodman
Alto saxトゥーツ・モンデロToots Mondelloベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxエディ・ミラーEddie Millerチャーリー・バーネットCharlie Barnet
Pianoジェス・ステイシーJess Stacy
Electric guitarチャーリー・クリスチャンCharlie Christian
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Arrangementフレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson

<Contents> … ユーチューブ(YouTube)

「キング・ポーター・ストンプ」(King porter stomp)

TpがリードするアンサンブルからBGのCl、ミラーのTs、ティーガーデンのTs、カーター(多分)のAs、ステイシーのP、Tpと短いソロ回しが行われる。最後はカンサス風のリフのアンサンブルとなる。顔見世的演奏だがこれだけ役者が揃うと聴き応えはある。

「メトロノーム・オールスターズ」1940年

<Personnel> … メトロノーム・オールスター・ナイン(Metronome Allstar Nine)

Trumpetハリー・ジェイムズHarry James
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Clarinetベニー・グッドマンBennyGoodman
Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxエディ・ミラーEddie Millerチャーリー・バーネットCharlie Barnet
Pianoジェス・ステイシーJess Stacy
Electric guitarチャーリー・クリスチャンCharlie Christian
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … ユーチューブ(YouTube)

「オールスター・ストラット」(Allstar strut)

ヘッド・アレンジによると思われるブルース・ナンバー。ピアノのイントロからディキシー風のコレクティヴ・アンサンブルとなり、カーターと思われるAs、クリスチャンのGt、ティーガーデン、ステイシー、BG、ハガートのB、ジェイムズのTp、ミラーのTs、クルーパと短いソロ回しが行われ、再びディキシー風のコレクティヴ・アンサンブルとなって終わる。完全に顔見世曲。クリスチャンのソロはほぼ8分音符を使って行われる。

<Date & Place> … 1940年5月20日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Carter and his orchestra)

 
Band leader , Trumpet , Clarinet & Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Trumpetラッセル・スミスRussell Smithビル・コールマンBill Colemanシャド・コリンズShad Collins
Tromboneミルトン・ロビンソンMilton Robinsonサンディ・ウィリアムスSandy Williams
Alto saxジョージ・ドーシーGeorge Dorseyカール・フライCarl Frye
Tenor saxスタッフォード・サイモンStafford Simonサミー・ディヴィス
Pianoソニー・ホワイトSonny White
Guitarユリシーズ・リヴィングストンUlysses Livingston
Bassヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsケグ・パーネルKeg Purnell

パーソネルについて「MCAジャズの歴史」ではTpにラッセル・スミスが加わっていることになっているが、Web上でのディスコグラフィーでは、ビル・コールマンとシャド・コリンズの2人でスミスが加わっていない。
またDsを<ケグ・ジョンソン>としているがこれは明らかに<ケグ・パーネル>の間違い。
テナー・サックスの「サミー・ディヴィス」だが、有名な歌手とは別人。

<Contents> … 「MCAジャズの歴史」(VIM -19)

record3B面7.ポム・ポム(Pom Pom)
カーターの作曲、編曲。スインギーなナンバーで、カーターはClをプレイしている。ソロはウィリアムス(Tb)、コリンズ(Tp)、サイモン(Ts)、カーター(Cl)の短いソロが散りばめられている。

「コールマン・ホウキンスとチュー・ベリー」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1940年5月25日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … コールマン・ホウキンス・アンド・ザ・チョコレート・ダンディーズ(Coleman Hawkins and the chocolate dandies)

Band leader & Tenor saxコールマン・ホウキンスColeman Hawkins
Trumpetロイ・エルドリッジRoy Eldridge
Alto sax & Pianoベニー・カーターBenny Carter
Guitarバーナード・アディソンBernard Addison
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsシドニー・カトレットSidney Catlett

この<ザ・チョコレート・ダンディーズ>という名前はよく聞く名前である。評論家岩波洋三氏によれば、「20年代末から30年代半ばにかけて幾つかのレコーディング・セッションにおいて使用されているが、中でも29年、30年にヘンダーソン楽団のピック・アップ・メンバーを主に、ベニー・カーターが中心となって行われたレコーディングが有名である。ホーキンスもそのセッションに参加していたので、おそらくこのコモドア録音に当たって2人にとって懐かしいこのバンド名を使うことにしたのであろう」という。

<Contents> … 「コールマン・ホウキンスとチュー・ベリー」(Commodore K23P-6614)

A面1.スマックSmack
A面2.あなたに首ったけI surrender dear
A面3.恋のため息I can't believe that you're in love with me
A面4.デディケイションDedication
「コールマン・ホウキンスとチュー・ベリー」A面ラベル
A面1.「スマック」
「スマック」とは、フレッチャー・ヘンダーソンのあだ名。メンバー全員がヘンダーソンのバンドの出身者であることから往年のボスに捧げる意味で付けられたタイトルでこのレコードのために作られた曲という。ソロはカーター(As)が2コーラス、エルドリッジ(Tp)、ホウク(Ts)と続く。
A面2.「あなたに首ったけ」
ホークの素晴らしいバラード・プレイが堪能できる。カーターはここではピアノを弾いている。一部エルドリッジもソロを取るがホークの独壇場である。
A面3.「恋のため息」
古いスタンダード・ナンバー。ホークのリードするアンサンブルからそのままホークのソロになり、エルドリッジ、カーターもホークに劣らぬソロを取り、エルドリッジのリードするアンサンブルからエンディングに向かう。
A面4.「デディケイション」
「スマック」と同様評論家のレナード・フェザー氏が書き下ろしたゆったりとしたテンポのナンバー。この曲ではホークとリズム隊のカルテットで演奏され、ここでもホークのプレイが堪能できる。

「ビリー・ホリディ」レコード第5集」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1940年10月16日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ビリー・ホリディ・ウィズ・ベニー・カーター・アンド・ヒズ・オールスター・オーケストラ(Billie Holiday with Benny Carter and his allstar Orchestra)

Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Bandleader , Clarinet & Alto saxベニー・カーター Benny Carter
Trumpetビル・コールマンBill Coleman
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Tenor saxジョージ・オウルドGeorge Auld
Pianoソニー・ホワイトSonny White
Guitarユリシーズ・リヴィングストンUlysses Livingston
Bassウィルソン・メイヤーズWilson Meyers
Drumsヤンク・ポーターYank Porter

<Contents> … 「ビリー・ホリディ物語 第5集」(SOPH 69〜70)

Record1 B-5.セントルイス・ブルース その1St. Louis blues part1
Record1 B-6.セントルイス・ブルース その2St. Louis blues part2
Record1 B-7.ラヴレス・ラヴLoveless love

この日のセッションはビリーのセッションではなく、W.C.ハンディの作品を録音するためにベニー・カーターをリーダーとするオールスター・バンドが組まれ、その2曲にビリーは起用されたのだという。因みにこの日は全4曲録音され、残りの2曲はブルース・シンガーのジョー・ターナーが起用されているという。4曲ともアレンジはベニー・カーターでここに収録されていない2曲も含めて実に素晴らしいアレンジであるという。

B-5、6.「セントルイス・ブルース」
ご存知超有名ブルース・ナンバー。ビリーがこういう歌を歌うのも実に楽しみである。ともかくビリーが歌うと普通の同曲とは思えない独自性がある。ソロはカーターがクラリネットで取っている。
B-7.「ラヴレス・ラヴ」
W.C.ハンディ作の変形ブルースという記述とブルースではないという記述がある。確かこの曲はディキシーの名曲「ケアレス・ラヴ」を素にしているはず。中間のオウルドのTsソロが良い。

<Date & Place> … 1940年11月19日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Carter and his orchestra)

 
Band leader , Trumpet , Clarinet & Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Trumpetラッセル・スミスRussell Smithシドニー・ド・パリスSidney De Parisボビー・ウィリアムスBobby Williams
Tromboneミルトン・ロビンソンMilton Robinsonマディソン・ヴォーンMadison Vaughnベニー・モートンBenny Morton
Alto saxチャウンシー・ホウトンChauncey Haughton
Alto sax & Baritone saxジョージ・ジェイムズGeorge James
Tenor saxジョージ・アイリッシュGeorge Irishスタッフォード・サイモンStafford Simon
Pianoソニー・ホワイトSonny White
Guitarエヴェレット・バークスデイルEverett Barksdale
Bassヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsウィリアム・パーネルWilliam Purnell

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ10/ザ・ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RA-58)

A面1.オール・オブ・ミーAll of me
A面2.カクテルス・フォー・ツーCocktails for two
A面1.「オール・オブ・ミー」
スイング時代からバップ、モダン期を通じてのスタンダード・ナンバー。サックス・アンサンブルが複雑で難しそうだが、このアンサンブルこそカーターの得意なものだったという。ソフトで美しいTbソロはモートンで、同じように美しくエモーショナルなClソロはカーター。
A面2.「カクテルス・フォー・ツー」
トミー・ドーシーのナンバーが有名だが、このカーターの演奏も名演である。カーターはここではAsを美しく歌いあげている。もう一人ホワイト(P)のソロも美しい。

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