ブラインド・ブレイク 1926年

Blind Blake 1926

ブラインド・ブレイク

ブラインド・ブレイクはスイング・ジャーナル社『ジャズ人名辞典』に拠れば、「"The King of Ragtime Guitar"と称されるクラシック・ブルースの草分けの一人。ブルースばかりではなく、カントリーやミンストレル・ソングも演奏し、ブルース以前の音楽の香りも残していると言われる。」僕が引っ掛かったのは、この「ブルース以前の音楽の香りも残している」というくだりである。僕の理解ではブルースは、ワークソングやフィールド・ハラーのような「野」の音楽から自然発生的に現れたもので、その際ギターは最も手近で手軽な楽器として使われ定着していったというものだった。
しかしこれを読むと「ブルース」という前にも何らかの音楽があったということになる。それは素直に読めば「ワークソング」、「フィールド・ハラー」の香りを残しているということであり、すなわち彼のギター・プレイにはその香りが残っているということなのだろうか?それとも全く異なる何かなのであろうか?

ブラインド・ブレイクCDボックス

<Date & Place> … 1926年7月 シカゴにて録音

<Personnel>

Guitarブラインド・ブレイクBlind Blake
Vocalレオラ・ウィルソンLeola Wilson

<Contents> … ”Blind Blake/Remastered”(JSP 7714A〜E)

CDA-1.ダイイング・ブルースDying blues
CDA-2.アシュレイ・セント・ブルースAshley St. blues

ブルース・ナンバーである。男性版ブルースの最初の成功したレコードは<ブラインド・レモン・ジェファーソン>の1926年の吹込みという記述を紹介した。この吹込みもほぼ同時期の録音である。しかしこちらはブレイクは歌っておらず、女性ブルース・シンガーの伴奏を演奏している。歌伴のピアノをギターに置き換えたような感じ。しかしチョーキングなどギターの特徴も生かした演奏を行っている。音は悪くバランスがヴォーカル寄りだが、彼のテクニックのすごさは伝わってくる。

<Date & Place> … 1926年8月〜11月 シカゴにて録音

<Personnel>

Guitar&Vocalブラインド・ブレイクBlind Blake

<Contents> … ”Blind Blake/Remastered”(JSP 7714A〜E)

CDA-3.アーリー・モーニング・ブルースEarley morning blues1926年8月
CDA-4.ウェスト・コースト・ブルースWest coast blues1926年8月
CDA-5〜7.ウェスト・コースト・ブルースWest coast blues1926年10月
CDA-8〜9.アーリー・モーニング・ブルースEarley morning blues1926年10月
CDA-10.ブレイクズ・ウォリィド・ブルースBlake’s worried blues1926年10月
CDA-11〜12.カムオン・ボーイズ・レッツ・ドゥ・ザット・メッシン・アラウンドCome on boys let’s do that messin’ around1926年10月
CDA-13.タンパ・バウンドTampa bound1926年10月
CDA-14〜15.スキードル・ルー・ドゥー・ブルースSkeedle Lou doo blues1926年11月
CDA-16.ストーンウォール・ストリート・ブルースStonewall street blues1926年11月

ブレイクのギターと弾き語りである。二重録音などというスタジオ・ギミックのない時代、ギターを弾きながら歌ったことを考えるとものすごいテクニックである。現代でこれだけ弾きながら歌える人はほとんどいないのではないかと思う。
僕が感じるところを書くと、A-5.6の弾き語りなどはブルースというよりは後のフォーク・ソングの草分けのような感じがする。
ブルースの特徴ともいわれるブレイクが無い。『ジャズ人名辞典』では「声はあまり良くない」とあるが、そうは感じられない。訥々とした歌いっぷりで味がある。
A-11,12、ではスキャットが聴かれる。そしてA-16で初めてブレイクが聴かれる。

ブラインド・ブレイクCDボックス第1集

<Date & Place> … 1926年11月 シカゴにて録音

<Personnel>

Vocalレオラ・ウィルソンLeola Wilson
Guitarブラインド・ブレイクBlind Blake
Piano(CD A-17 only)ジミー・ブライス(多分)Jimmy Blythe

<Contents> … ”Blind Blake/Remastered”(JSP 7714A〜E)

CDA-17.ステイト・ストリート・マン・ブルースState street man blues
CDA-18.ダウン・ザ・カントリーDown the country
CDA-19.ブラック・バイティング・ビー・ブルースBlack biting bee blues
CDA-20.ウィルソン・ダムWilson Dam

A-1、2と同じ女性ブルース・シンガーのバックを務めたもの。ブレイクは歌から解放されて思い切りテクニックを揮っている感じする。同時代のベッシー・スミス+ピアノ伴奏と比べてやはり素朴な味わいがある。
現代ではブルース・ギターと言えば先だって亡くなられたB.B.キングやマディ・ウォーターズさらには白人のエリック・クラプトンなどのギタリストのプレイを思い浮かべてしまう。なんとなく確立されたカテゴリーのような感があるが、このブラインド・ブレイクの演奏などを聴いていると、この時代はフォーク・ソング、ジャグ、ブルースなどがまだ混然としていたような感じがする。アメリカにおける<ギター・プレイ>の歴史が概観できるような書物はないだろうか?極めて気になるんですけど。

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