ブルース・ピープル 1937年

Blues People 1937

僕の持っているロバート・ジョンソン以外のブルース音源を日付順に聴いていこう。この年の録音で驚くことは、これまでブルースのメッカとして最も録音数が多かったシカゴでの録音が一つもないことである。一体どうしたことだろうか?
「MCAブルースの古典」レコード・ボックス

<Date & Place> … 1937年2月15日 テキサス州ダラスにて録音

<Personnel> … ブラック・アイヴォリー・キング(Black ivory king)

<Contents> … 「MCAブルースの古典」(Victor VIM-20〜22)

Record1.B-5.ザ・フライング・クロウThe flying crow
奏者の本名は、ディヴ・アレクサンダーというテキサス東部のピアニストだという。解説の中村とうよう氏によればテキサス東部はピアノ・ブルースの盛んな土地柄だったらしい。曲名を直訳すると「空飛ぶカラス」であるが、これは「汽車」のことだという。ピアノの伴奏、ソロが極めてユニークである。とうよう氏は駅や踏切で鳴らす鐘の音の描写を交えているのだという。
「RCAブルースの古典」CD・ボックス

<Date & Place> … 1937年5月5日 イリノイ州オーロラにて録音

<Personnel> … ロバート・リー・マッコイ(Robert Lee McCoy)

Vocal & Guitarロバート・リー・マッコイRobert Lee McCoy
Harmonicaサニー・ボーイ・ウィリアムソンSonny Boy Williamson
Guitarジョー・ウィリアムスJoe Williams

<Personnel> … サニー・ボーイ・ウィリアムソン(Sonny Boy Williamson)

Vocal & Harmonicaサニー・ボーイ・ウィリアムソンSonny Boy Williamson
Guitarロバート・リー・マッコイRobert Lee McCoy
Guitarジョー・ウィリアムスJoe Williams

<Contents> … 「RCAブルースの古典」(BMG BVCP-8734)

CD2-19.タフ・ラックTough luck
CD2-20.グッド・モーニン・スクールガールGood mornin’ schoolgirl
同日、同場所、同メンバーでの吹込みだが、それぞれ名義が異なる。
まず「タフ・ラック」はロバート・リー・マッコイの作で歌もマッコイ。マッコイは1909年11月30日にアーカンソー州ヘレナで生まれ、本名はロバート・マッカラム。元々ハーモニカを吹いていたが、ヒューストン・スタックハウスにギターを習って、ギターに転向したという。さらに戦後名前を「ロバート・ナイトホーク」と改め、エレキ・ギターを持ちその流麗なスライド双方で一世を風靡したという。
サニー・ボーイ・ウィリアムソンは、伝説のザ・バンドの映画「ラスト・ワルツ」で、唇を血だらけにしてもハーモニカは吹くもんだと言ったブルース・ハープのリジェンド。この曲はサニー・ボーイの初レコーディング作だという。実にモダンで、カッコいいリフ・フレーズを持ち、後に白人ブルース・マン、ジョニー・ウィンターがノリノリのライヴ・パフォーマンスを聴かせたナンバーであり、日本では憂歌団が「ちょいとそこ行くネェチャン」と歌った元歌。
「MCAブルースの古典」1枚目B面

<Date & Place> … 1937年7月12日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ブラインド・ボーイ・フラー(Blind boy Fuller)

Guitar & Vocalブラインド・ボーイ・フラーBlind boy Fuller

<Contents> … 「MCAブルースの古典」(Victor VIM-20〜22)

Record2.A-3.ホエア・マイ・ウーマン・ユースタ・レイWhere my woman usta lay
フラーはノース・カロライナ州の出身で、東海岸の伝統的ブルースの第1人者だという。いかにもこの地方らしい軽い感じが歌にもギターにもうかがえるという。名前に「ブラインド」が付く通り全盲だった。タイトルの”usta lay”とはどういう意味なのであろうか?とうよう氏は何も語っていないが。
「RCAブルースの古典」CD2

<Date & Place> … 1937年8月2日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … スリーピー・ジョン・エステス(Sleepy John Estes)

Vocal & Guitarスリーピー・ジョン・エステスSleepy John Estes
Harmonicaハミー・ニクソンHammie Nixon
Kazooリー・ブラウンLee Brown
Guitarチャーリー・ピケットCharlie Picket

<Contents> … 「MCAブルースの古典」(Victor VIM-20〜22)

Record3.A-4.アイ・エイント・ゴナ・ビー・ウォリード・ノーモアI ain't gonna be worried no more

「MCAブルースの古典」には、エステスの曲が2曲収録されている。もう1曲は1935年の作品で拙HPでは取上げ済み。ニクソンとの名コンビにカズーとギターがもう1本加わっている。カズーのリー・ブラウンは本来ピアニストだが、ここではカズーを吹いているという。メンフィスのヴィール・ストリート辺りの酒場で演奏されるカントリー・スタイルのショウ・バンド、ダンス・バンドの雰囲気が漂ってくる作品。
「MCAブルースの古典」3枚目A面

<Date & Place> … 1937年10月5日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ロゼッタ・ハワード・ウィズ・ハーレム・ハムファッツ(Rosetta Howard with harlem hamfats)

Vocalロゼッタ・ハワードRosetta Howard
ハーレム・ハムファッツは1936年10月2日の録音を取り上げたことがある。その時とメンバーが変わらなければ以下の通りである。

<Personnel> … ザ・ハーレム・ハムファッツ(The harlem hamfats)

Trumpetハーブ・モランドHerb Morand
Clarinetオーデル・ランドOdell Rand
Pianoホレス・マルカムHorace Malcom
Vocal & Guitarジョー・マッコイJoe McCoy
Mandlinチャーリー・マッコイCharlie McCoy
Bassジョン・リンゼイJohn Lindsay
Drumsフレッド・フリンorパーリス・ウィリアムズ

<Contents> … 「MCAブルースの古典」(Victor VIM-20〜22)

Record3.A-6.そのリンネルを下げてくれLet your linen hang low
これほど分かりやすい歌はない。「リンネル」は「腰巻」のことで、「その腰巻を脱ぎなよ」、「先にお金をくれなきゃ脱がないわ」というやり取り。ロゼッタはシカゴ生まれのシンガーで、バックを務める「ハーレム・ハムファッツ」はニューオリンズ出身のトランぺッター、ハーブ・モランドとミシシッピのブルース・マン、ジョー・マッコイが協力して作ったジャズとブルースの混成グループ。ロゼッタと掛け合いで歌っているのはジョー・マッコイ。このマッコイはメンフィス・ミニーとの1934年の録音では、「カンサス・ジョー」と名乗っていたという。ロゼッタは名前から見ても、この曲の役柄から見ても女性のはずだが、声はどう聴いても男に聴こえる。

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