コールマン・ホーキンス 1944年

Coleman Hawkins 1944

ビ・バップの旗手の一人ディジー・ガレスピーは、1943年史上初めての・バップ・コンボを結成するが、不幸なことにこのバンドは一度も吹込みのチャンスを得られないまま、分裂してしまう。一方、テナー・サックスの開拓者コールマン・ホーキンスは、1943年の末頃コモドア、シグネチュアといったマイナー・レーベルに次々と傑作を吹き込んでいた。しかしホークは、1944年ガレスピーのバンドのメンバー、ジョージ・ウォーリントンを除く全員を雇い入れ、バップに取り組んだ録音を行うのである。

「ビリー・ホリディ/クロノロジカル・オーダー」レコード・ボックス

<Date&Place> … 1944年1月18日 ニューヨーク/メトロポリタン・オペラ・ハウスにて実況録音

<Personnel> … エスクアイア・オール・アメリカン・オールスターズ(Esquire all-American all-stars)

Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetロイ・エルドリッジRoy Eldridge
Tromboneジャック・ティーガーデンJackTeagarden
Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Tenor saxコールマン・ホウキンスColeman Hawkins
Pianoアート・ティタムArt Tatum
Guitarアル・ケイシーAl Casy
Bassオスカー・ペティフォードOscar Pettiford
Drumsシドニー・カトレットSidney Catlett

「オールスターズ」に恥じない豪華なメンバーである。僕にはアート・ティタムで、こういう顔見世的なものにも参加していたことが意外である。しかし何といっても大戦中にこのようなコンサートが企画され実施されたことに驚く。この3曲はビリーのヴォーカルがほとんどであり、多分この3曲だけが演奏されたわけではないと思うが、この3曲に限って言えば、これだけのメンバーは必要ないと思う。

「ビリー・ホリディ/クロノロジカル・オーダー」1枚目B面

<Contents> … "Billie Holiday/Live and private recordings in Chronological order"

record1.B面4.ドゥ・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミーDo nothin' till you hear from me
record1.B面5.アイ・ラヴ・マイ・マンI love my man
record1.B面6.アイル・ゲット・バイI'll get by
record1.B面4.「ドゥ・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー」
エリントン・ナンバー。超スローなテンポで噛みしめるようにビリーが歌い込んでいる。ビリーのヴォーカル一本で、ソロはなし。
record1.B面5.「アイ・ラヴ・マイ・マン」
ビリーの作。タイトルは(Billie's blues)となっている。ビリーにしては珍しいブルース・ナンバー。ここでもテンポを非常に遅くし、人人確認するように歌っている。この曲もほとんどビリーの歌で、ソロはなし。
record1.B面6.「アイル・ゲット・バイ」
MCの紹介が入る。少しテンポ・アップしたスインギーなナンバー。しかしここでもソロはない。

同日に「ライオネル・ハンプトンとVディスク・オール・スターズ」によるV-discの録音も行われた。どちらの録音が先に行われたか等は資料が無く不明である。上記メンバーにTpにサッチモ、Vibにライオネル・ハンプトンが加わり、ヴォーカルのビリーとClのビガードが抜けたことになっている。いずれにせよ超豪華メンバーである。

<Date & Place> … 1944年1月18日 ニューヨーク録音

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンとVディスク・オール・スターズ(Lionel Hampton and The V-disc allstars)

Band leader & Vibraphoneライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetルイ・アームストロングLouis Armstrongロイ・エルドリッジRoy Eldridge
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Pianoアート・ティタムArt Tatum
Guitarアル・ケイシーAl Casey
Bassオスカー・ペティフォードOscar Pettiford
Drumsシドニー・カトレットSidney Catlett

<Contents> … "Lionel Hmpton/Hampton"(Master of Jazz R2CD 8017)

CD2-9.フライング・オン・ア・ディスク(Flying on a disc)

1944年11月末までAFMのストにより、正式な録音はかなり減りますが、戦地にいる兵士慰問用のレコード(V-disc)は、多数録音されました。ライオネル・ハンプトンの音楽は陽気で元気がよく、ダンスにもぴったりということでV-discにはうってつけだったのではないでしょうか?それにしてもメンバーがスゴイ、これぞオールスター・バンドといった陣容です。
演奏するのは、ライオネル・ハンプトン・バンドの十八番中の十八番、「フライング・ホーム」。イントロからハンプのVbがリードし、そのままソロに突入します。続いてTpソロ、これはサッチモです。続いてClとなりますが、ディスコグラフィーにはClの記載はありません。CDには、バーニー・ビガードとありますが。続いてホークのTs、続くTpソロはエルドリッジ、ビッグ・シドの短いソロがありリフが入って一旦終了したように聴こえますが、その後ドラムに移動したハンプとビッグ・シドのドラム合戦となり、最後はリフで大いに盛り上げて終了します。12分弱の長尺録音で、これぞV-discならではと言ったところでしょう。

<Date & Place> … 1944年2月16、22日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … コールマン・ホーキンス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Coleman Hawkins And His Orchestra)

Band leader & Tenor saxVocalコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
trumpetディジー・ガレスピーDizzy Gillespieヴィクター・クールセンVic Coulsenエディ・ヴァンダーヴィアEddie Vanderveer
Alto saxレオ・パーカーLeo Parkerレナード・ロウリーLeonard Lowry
Tenor saxレイ・エイブラムスRay Abramsドン・バイアスDon Byas
Baritone & Tenor saxバド・ジョンソンBudd Johnson
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Bassオスカー・ペティフォードOscar Pettiford
Drumsマックス・ローチMax Roach

ほとんど通常のビッグ・バンドの布陣だが、トロンボーン・セクションが無いことが珍しい。またレオ・パーカーはこの時期未だアルトを吹いていた。

<Contents> … Youtube

ウッデン・ユーWoody'n you2月16日
ブー・ディー・ダートBu-Dee=Daht2月16日
イエスタディズYesterdays2月16日
ディスオーダー・アット・ザ・ボーダーDisorder at the border2月22日
フィーリング・ゼロFeeling zero2月22日
レインボウ・ミストRainbow mist2月22日

この録音は、ハーレムでレインボウ・ミュージック・ショップを経営していたフランク・ヴァラード氏が、ホークのかつてのヒット曲"Body and soul"の再演を狙って企画され、氏自ら立ち上げたアポロ・レーベルに吹き込まれた。

ウッデン・ユー
ガレスピーの作で、後々まで何度も吹い込みをしている。ホウキンスが豪放なリードを取るアンサンブルによるテーマが奏され、多分ガレスピー自身によるソロ、再びホークが出て終わる。確かに新しい響きがするが、これがバップかどうかは、よく分からない。
ブー・ディー・ダート
バド・ジョンソンの作。この曲も多分アンサンブルのリードを取り、まずソロを吹くのはホークであろう。アンサンブルの後短いTpソロは多分ガレスピー。
イエスタディズ
短いアンサンブルの後、ソロを吹き始め終始一貫ホークのソロで埋め尽くされている。
ディスオーダー・アット・ザ・ボーダー
ヘッド・アレンジによるブルース・ナンバー。初めにソロを取るTpは、ディズであろう。続いてホークが4コーラスのソロを取って、アンサンブルに戻る。全くバップという感じはしないのだが…。
フィーリング・ゼロ
ここで初めてミディアム・スロウなナンバーが登場する。少しばかり変わったアンサンブルの後ホウキンスのソロとなる。このソロも不思議な音使いをしているような気がする。
レインボウ・ミスト
この曲では、最初からホウキンスの男性的なテナー・サックスが、正に「うねるような、たゆたうような」テナー・プレイを聴かせてくれる。

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