ディジー・ガレスピー 1937年

Dizzy Gillespie 1937

若きディジー・ガレスピー

記念すべきディジー・ガレスピーの初レコーディングである。初レコーディングはテディ・ヒルが率いるNBCオーケストラの一員として、ブルーバード・レーベルへ吹き込まれた。
テディ・ヒルは1920年代後半から活躍しているテナー・サックス奏者で、1934年不況の真っただ中に自己のバンドを組織する。そして翌35年には初めてのレコーディングを行っているので、サックス・プレイヤーとしての腕前はともかくバンド経営の才は卓越したものがあったと言えるだろう。しかしテディ・ヒルの名前が一番知られるのは、ビ・バップ勃興の基地ともいえる「ミントンズ・プレイ・ハウス」のマネージャーとして先見の明を発揮したところであろう。そして彼の先見の明はバンドを辞めたロイ・エルドリッジの後任としてスイング時代の名トランぺッターとして知られるフランキー・ニュートンを経由して、ディジー・ガレスピーを起用したことにも表れている。
この年彼が吹き込んだのは3曲しか持っていないが、よく言われるように尊敬するロイ・エルドリッジのスタイルそのままに若々しいディズが輝かしいトランペットを吹き上げる姿が捉えられている。
「ザ・ビッグ・バンド・イーラ 第2集」

<Date&Place> … 1937年5月17日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … テディ・ヒルと彼のNBCオーケストラ(Teddy Hill and his NBC orchestra)

Band leader & Tenor saxテディ・ヒルTeddy Hill
trumpetビル・ディラードBill Dillardディジー・ガレスピーDizzy Gillespieシャド・コリンズShad Collins
Tromboneディッキー・ウェルズDickie Wells
Clarinet & Alto saxラッセル・プロコープRussell Procope
Alto saxハワード・ジョンソンHoward Johnson
Tenor & Baritone saxロバート・キャロルロバート・キャロル
Pianoサム・アレンSam Allen
Guitarジョン・スミスJohn Smith
Bassリチャード・フルブライトRichard Fullbright
Drumsビル・ビーソンBill Beason
「ディジー・ガレスピー/ヴィンテージ・シリーズ」

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ10/ザ・ビッグ・バンド・イーラ《第2集》」(RCA RA-54〜59)&「ヴィンテージ・シリーズ/ディジー・ガレスピー」(Victor VRA-5011)

record3 B-6、A-2.ユアーズ・アンド・マインYours and mine
record3 B-7、A-1.キング・ポーター・ストンプKing porter stomp
record3 B-8、A-3.ブルー・リズム・ファンタジーBlue rhythm fantasy
[ユアーズ・アンド・マイン]
ヴォーカル入りで、歌っているのはTpのビル・ディラード。「ヴィンテージ・シリーズ」解説の油井正一氏は「ディジーのソロが若々しい」と書いている。しかし「ザ・ビッグ・バンド・イーラ」の解説大和明氏は、このTpソロはディジーではなくシャド・コリンズではないかという。どちらが正しいでしょうか?
[キング・ポーター・ストンプ]
ジェリー・ロール・モートン作の有名ナンバーで、ベニー・グッドマンなど多くのジャズメンが取り上げている。
この演奏ついて、油井氏は余り語っていない。一方大和明氏は、「若干19歳の新進トランぺッター、ディジーが初めて吹き込んだ輝かしいファースト・ソロ・プレイ。(中略)ロイ・エルドリッジのスタイルそのままにはち切れんばかりの若さを示す」と歌い上げている。僕はディジーのソロは短くて、明確なソロという感じがしないが、力強くアンサンブルをリードする姿は頼もしい。演奏自体は、後半のリフも含めて迫力満点で実に素晴らしい。
[ブルー・リズム・ファンタジー]
この曲についても油井氏は余り語っていない。ソロについて、Tsはロバート・キャロルではないかと思うが、原盤解説でテディ・ヒルとなっているのでそれを採る。しかしヒルのソロというのはほとんど存在しないので、判然としないが…、と書いている。一方大和氏は明確にロバート・キャロルと言い切っている。どちらが正しいのでしょう?
一方大和氏はかなり詳しく解説している。「テディ・ヒル楽団で最もよく知られたナンバー。ヒルと共作したチャッピー・ウィレットが編曲を行っている。ヒル楽団は34年5月4日にこの曲を一度録音しているが、ここでは新進トランぺッター、ガレスピーを迎え再録音したものである。特に注目したいのは、ウィレットの編曲で、これは時代に先行した斬新でユニークな手法が使われている。アンサンブルからジョンソン(As)とプロコープ(Cl)の呼びかけと応答が浮き上がり、そのままプロコープの新鮮なソロからガレスピー(Tp)のアドリブに入る。このソロもエルドリッジのスタイルを踏襲したものであり、続くキャロル(Ts)がチュー・ベリー風のソロを取る」とかなり詳しい。演奏は素晴らしいの一言に尽きる。本当に実力があったバンドであることが分かる。

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