フレッチャー・ヘンダーソンやマッキニーズ・コットン・ピッカーズなどを経て名声を高め、デューク・エリントンをして、「常に私たちの世界に高くそびえたっている存在だった。」(デュークエリントン自伝)と言わしめたドン・レッドマンは、前年1931年ついに自らのバンドを立ち上げる。右の写真はその1931年後半のドン・レッドマン楽団の写真。ほぼ中央で一人立っているのがレッドマン。その天才の自身名義の1932年の録音を聴いていこう。
なお、バンド・メンバーはこの年最初の録音から年内はなく、音源もすべて”Don Redman and his orchestra 1931-1933”(The chronological 543)のみなので、録音毎の<Personnel>と<Contents>は割愛する。
| Alto sax , Bandleader & Conductor | … | ドン・レッドマン | Don Redman | ||||||
| Trumpet | … | シャーリー・クレイ | Shirley Clay | 、 | ラングストン・カール | Langston Curl | 、 | シドニー・ド・パリス | Sidney de Paris |
| Trombone | … | クロード・ジョーンズ | Claude Jones | 、 | フレッド・ロビンソン | Fred Robinson | 、 | ベニー・モートン | Benny Morton |
| Clarinet & Alto sax | … | エドワード・インジ | Edward Inge | 、 | ルパート・コール | Rupert Cole | |||
| Tenor sax | … | ロバート・キャロル | Robert Carroll | ||||||
| Piano | … | ホレス・ヘンダーソン | Horace Henderson | ||||||
| Banjo & Guitar | … | タルコット・リーヴス | Talcott Reeves | ||||||
| Tuba & String bass | … | ボブ・イサグイアー(?) | Bob Ysaguirre | ||||||
| Drums | … | マンジー・ジョンソン | Manzie Johnson |
前年10月の録音から4か月ほどたっているが、メンバーの移動はTpの2人(レナード・ディヴィス、ヘンリー・レッドアレン⇒シャーリー・クレイ、シドニー・ド・パリス)のみであり、この年は上記のメンバーで変動がない。
| CD-6. | ハウム・アイ・ドゥイン ? | How'm Idoin’ |
| CD-7. | トライ・ゲッティング・ア・グッド・ナイツ・スリープ | Try getting a good night's sleep |
CD-6.[ハウム・アイ・ドゥイン ?]
レッドマンの語りに多分バンドマンが応えるような形式のナンバー。低音部はチューバが担当している。ポップス調の曲でソロはない。
CD-7.[トライ・ゲッティング・ア・グッド・ナイツ・スリープ]
こちらもレッドマンの語りをフューチャーしたナンバー。ドラムで時計の音らしき効果音を出し、「よく眠れるようやってみな(Try getting a good night's sleep)」という語りのような気がするが、自信はない。一種の面白ソングだろうが、当時のアメリカ人には受けたのだろうか?ド・パリスやベニー・モートンと言った一流プレイヤーを揃え、天才レッドマンがやる音楽かという気もする。
| CD-8. | ガット・ザ・サウス・イン・マイ・ソウル | Got the south in my soul | 6月28日 |
| CD-9. | イフ・イッツ・トゥルー | If it's true | 6月28日 |
| CD-10. | イッツ・ア・グレイト・ワールド・アフター・オール | It's a great world after all | 6月28日 |
| CD-11. | ユー・ゲイヴ・ミー・エヴリシング・バット・ラヴ | You gave me everything but love | 6月28日 |
| CD-12. | 二人でお茶を | Tea for two | 6月30日 |
| CD-13. | ホット・アンド・アンキシアス | Hot and anxious | 6月30日 |
| CD-14. | アイ・ガット・リズム | I got rhythm | 6月30日 |
6月28日と30日に行われた吹込みでは、「黒いビング・クロスビー」と呼ばれたハーラン・ラティモア(Harlan Lattimore)を起用している。不況の時代を反映したポップス・ナンバーという感じだ。ラティモアはフレッチャー・ヘンダーソンの吹込みにも登場する歌手である。
CD-8.[ガット・ザ・サウス・イン・マイ・ソウル]
PとTpのイントロからアンサンブルに入り、短いTb、Tpのソロからラティモアの歌となる。その後アンサンブルを挟むが特別な響きは感じない。
CD-9.[イフ・イッツ・トゥルー]
アンサンブルの後短いTpからヴォーカルに移る。オブリガードはTbが付けている。アンサンブルに移りAsソロ、再度ヴォーカルで終わる。低音部はチューバ。
CD-10.[イッツ・ア・グレイト・ワールド・アフター・オール]
コーラスをバックにレッドマンが語りのようなヴォーカルを繰り広げる。バック・コーラスはうまいが誰が歌っているのであろうか?アンサンブルの響きは心地よい。短いTp、Cl、Ts、Tbのソロが矢継ぎ早に出てくる。
CD-11.[ユー・ゲイヴ・ミー・エヴリシング・バット・ラヴ]
少しゆったり目のメロウなナンバー。これもラティモアのヴォーカル・ナンバー。
CD-12.[二人でお茶を]
ポップス・ナンバーだが、レッドマン楽団の演奏は精緻で複雑なアレンジが施されている。この辺りはレッドマンらしい聴き応えのあるアンサンブルである。短いTpソロの後ラティモアのヴォーカルが入る。ヴォーカルの後は短いTbソロ、そしてアンサンブルでエンディングに向かう。
CD-13.[ホット・アンド・アンキシアス]
どう聴いても「イン・ザ・ムード」の旋律が出てくる。そういえばヘンダーソン楽団も1931年に演っていたナンバー。ソロは短いTsのみ。ちょっとだけ出るスキャット・ヴォーカルはドン・レッドマン。
CD-14.[アイ・ガット・リズム]
ガーシュイン・ナンバー。デューク・エリントンも演っていた。ここはインストだけで、アンサンブルで聴かせる。Clが活躍する。短いベース・ソロも入る。
| CD-15 | ペイガン・パラダイス | Pagan Paradise |
| CD-16 | ツータイム・マン | Two-time man |
CD-15.[ペイガン・パラダイス]
ハーラン・ラティモア(写真右)のヴォーカル・ナンバー。ソロはミュートTpとTbが取る。
CD-16.[ツータイム・マン]
ここでのヴォーカルはレッドマン。「ツー・タイム・マン」(二度の男)とはどういう意味であろうか?ソロはTb、Tp、Clが取っている。
| CD-17. | アンダーニース・ザ・ハーレム・ムーン | Underneath the harlem moon |
| CD-18. | エイント・ザ・ラッキー・ワン ? | Ain't the lucky one ? |
| CD-19. | ドゥイン・ホワット・アイ・プリーズ | Doin’what I please |
| CD-20. | ナガサキ | Nagasaki |
CD-17.[アンダーニース・ザ・ハーレム・ムーン]
ハーラン・ラティモアのヴォーカル・ナンバー。前奏のアンサンブルが見事で、ヴォーカルの後Tb、Tp、Asの短いソロが入るが聴き処はアンサンブルであろう。
CD-18.[エイント・ザ・ラッキー・ワン?]
この曲もラティモアのヴォーカル・ナンバー。ここでもアンサンブルが見事で特にヴォーカルの後のTp、Tsの短いソロを挟んだアンサンブルが素晴らしい。
CD-19.[ドゥイン・ホワット・アイ・プリーズ]
レッドマンが語りというかヴォーカルをとる。ヴォーカルのバックも含めてアンサンブルの響きが素晴らしい。短いTb、Tp、Asソロを挟んだアンサンブルが見事。リズムもよくスイングしている。
CD-20.[ナガサキ]
日本人として「長崎」というタイトルが気になる。英語が分かれば歌詞から察しられたかもしれないが残念なことである。これもレッドマンがヴォーカルをとる。レッドマンと多分バンド・マンのコーラスが楽しい。
| CD-21. | ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン | Doin’the Low‐down |
| CD-22. | ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン | Doin’the Low‐down |
同じ曲を当代二大エンターティナーが芸を競うという趣向が楽しい。
CD-21.[ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン]
まずは当時大スターだった「ミスター・ボージャングル」(写真左)ことビル・ロビンソン(Bill Robinson)のヴォーカルとそのタップ・ダンスをフューチャーし、
CD-22.[ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン]
「ミスター・ハイ・ホー・マン」キャブ・キャロウェイ(Cab Calloweay)の特異なヴォーカルをフューチャーしている。
もしこの2曲をカップリングしてレコードを発売したなら当時相当売れたのではないかと想像する。
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