ドン・レッドマン Don Redman 1932年

Don Redman 1932

フレッチャー・ヘンダーソンやマッキニーズ・コットン・ピッカーズなどを経て名声を高め、デューク・エリントンをして、「常に私たちの世界に高くそびえたっている存在だった。」(デュークエリントン自伝)と言わしめたドン・レッドマンは、前年1931年ついに自らのバンドを立ち上げる。右の写真はその1931年後半のドン・レッドマン楽団の写真。ほぼ中央で一人立っているのがレッドマン。その天才の自身名義の1932年の録音を聴いていこう。
なお、バンド・メンバーはこの年最初の録音から年内はなく、音源もすべて”Don Redman and his orchestra 1931-1933”(The chronological 543)のみなので、録音毎の<Personnel>と<Contents>は割愛する。

<Date & Place> … 1932年2月26日 ニューヨークにて録音(Brunswick)

<Personnel> … ドン・レッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Don Redman and his Orchestra)

 
Alto sax , Bandleader & Conductorドン・レッドマンDon Redman
Trumpetシャーリー・クレイShirley Clayラングストン・カールLangston Curlシドニー・ド・パリスSidney de Paris
Tromboneクロード・ジョーンズClaude Jonesフレッド・ロビンソンFred Robinsonベニー・モートンBenny Morton
Clarinet & Alto saxエドワード・インジEdward Ingeルパート・コールRupert Cole
Tenor saxロバート・キャロルRobert Carroll
Pianoホレス・ヘンダーソンHorace Henderson
Banjo & Guitarタルコット・リーヴスTalcott Reeves
Tuba & String bassボブ・イサグイアー(?)Bob Ysaguirre
Drumsマンジー・ジョンソンManzie Johnson

前年10月の録音から4か月ほどたっているが、メンバーの移動はTpの2人(レナード・ディヴィス、ヘンリー・レッドアレン⇒シャーリー・クレイ、シドニー・ド・パリス)のみであり、この年は上記のメンバーで変動がない。

<Contents>

CD-6.ハウム・アイ・ドゥイン ? How'm Idoin’
CD-7.トライ・ゲッティング・ア・グッド・ナイツ・スリープTry getting a good night's sleep

CD-6.[ハウム・アイ・ドゥイン ?]
レッドマンの語りに多分バンドマンが応えるような形式のナンバー。低音部はチューバが担当している。ポップス調の曲でソロはない。
CD-7.[トライ・ゲッティング・ア・グッド・ナイツ・スリープ]
こちらもレッドマンの語りをフューチャーしたナンバー。ドラムで時計の音らしき効果音を出し、「よく眠れるようやってみな(Try getting a good night's sleep)」という語りのような気がするが、自信はない。一種の面白ソングだろうが、当時のアメリカ人には受けたのだろうか?ド・パリスやベニー・モートンと言った一流プレイヤーを揃え、天才レッドマンがやる音楽かという気もする。

<Date & Place> … 1932年6月28、30日 ニューヨークにて録音(Brunswick)

CD-8.ガット・ザ・サウス・イン・マイ・ソウルGot the south in my soul6月28日
CD-9.イフ・イッツ・トゥルーIf it's true6月28日
CD-10.イッツ・ア・グレイト・ワールド・アフター・オールIt's a great world after all6月28日
CD-11.ユー・ゲイヴ・ミー・エヴリシング・バット・ラヴYou gave me everything but love6月28日
CD-12.二人でお茶をTea for two6月30日
CD-13.ホット・アンド・アンキシアスHot and anxious6月30日
CD-14.アイ・ガット・リズムI got rhythm6月30日

6月28日と30日に行われた吹込みでは、「黒いビング・クロスビー」と呼ばれたハーラン・ラティモア(Harlan Lattimore)を起用している。不況の時代を反映したポップス・ナンバーという感じだ。ラティモアはフレッチャー・ヘンダーソンの吹込みにも登場する歌手である。
CD-8.[ガット・ザ・サウス・イン・マイ・ソウル]
PとTpのイントロからアンサンブルに入り、短いTb、Tpのソロからラティモアの歌となる。その後アンサンブルを挟むが特別な響きは感じない。
CD-9.[イフ・イッツ・トゥルー]
アンサンブルの後短いTpからヴォーカルに移る。オブリガードはTbが付けている。アンサンブルに移りAsソロ、再度ヴォーカルで終わる。低音部はチューバ。
CD-10.[イッツ・ア・グレイト・ワールド・アフター・オール]
コーラスをバックにレッドマンが語りのようなヴォーカルを繰り広げる。バック・コーラスはうまいが誰が歌っているのであろうか?アンサンブルの響きは心地よい。短いTp、Cl、Ts、Tbのソロが矢継ぎ早に出てくる。
CD-11.[ユー・ゲイヴ・ミー・エヴリシング・バット・ラヴ]
少しゆったり目のメロウなナンバー。これもラティモアのヴォーカル・ナンバー。
CD-12.[二人でお茶を]
ポップス・ナンバーだが、レッドマン楽団の演奏は精緻で複雑なアレンジが施されている。この辺りはレッドマンらしい聴き応えのあるアンサンブルである。短いTpソロの後ラティモアのヴォーカルが入る。ヴォーカルの後は短いTbソロ、そしてアンサンブルでエンディングに向かう。
CD-13.[ホット・アンド・アンキシアス]
どう聴いても「イン・ザ・ムード」の旋律が出てくる。そういえばヘンダーソン楽団も1931年に演っていたナンバー。ソロは短いTsのみ。ちょっとだけ出るスキャット・ヴォーカルはドン・レッドマン。
CD-14.[アイ・ガット・リズム]
ガーシュイン・ナンバー。デューク・エリントンも演っていた。ここはインストだけで、アンサンブルで聴かせる。Clが活躍する。短いベース・ソロも入る。

<Date & Place> … 1932年9月16日 ニューヨークにて録音(Brunswick)

ハーラン・ラティモア
CD-15ペイガン・パラダイスPagan Paradise
CD-16ツータイム・マンTwo-time man

CD-15.[ペイガン・パラダイス]
ハーラン・ラティモア(写真右)のヴォーカル・ナンバー。ソロはミュートTpとTbが取る。
CD-16.[ツータイム・マン]
ここでのヴォーカルはレッドマン。「ツー・タイム・マン」(二度の男)とはどういう意味であろうか?ソロはTb、Tp、Clが取っている。
[Don Redman]

<Date & Place> … 1932年9月16日 ニューヨークにて録音(Brunswick)

CD-17.アンダーニース・ザ・ハーレム・ムーンUnderneath the harlem moon
CD-18.エイント・ザ・ラッキー・ワン ?Ain't the lucky one ?
CD-19.ドゥイン・ホワット・アイ・プリーズDoin’what I please
CD-20.ナガサキNagasaki

CD-17.[アンダーニース・ザ・ハーレム・ムーン]
ハーラン・ラティモアのヴォーカル・ナンバー。前奏のアンサンブルが見事で、ヴォーカルの後Tb、Tp、Asの短いソロが入るが聴き処はアンサンブルであろう。
CD-18.[エイント・ザ・ラッキー・ワン?]
この曲もラティモアのヴォーカル・ナンバー。ここでもアンサンブルが見事で特にヴォーカルの後のTp、Tsの短いソロを挟んだアンサンブルが素晴らしい。
CD-19.[ドゥイン・ホワット・アイ・プリーズ]
レッドマンが語りというかヴォーカルをとる。ヴォーカルのバックも含めてアンサンブルの響きが素晴らしい。短いTb、Tp、Asソロを挟んだアンサンブルが見事。リズムもよくスイングしている。
CD-20.[ナガサキ]
日本人として「長崎」というタイトルが気になる。英語が分かれば歌詞から察しられたかもしれないが残念なことである。これもレッドマンがヴォーカルをとる。レッドマンと多分バンド・マンのコーラスが楽しい。
ビル・ロビンソン

<Date & Place> … 1932年12月29日 ニューヨークにて録音(Brunswick)

CD-21.ドゥイン・ザ・ロウ・ダウンDoin’the Low‐down
CD-22.ドゥイン・ザ・ロウ・ダウンDoin’the Low‐down

同じ曲を当代二大エンターティナーが芸を競うという趣向が楽しい。
CD-21.[ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン]
まずは当時大スターだった「ミスター・ボージャングル」(写真左)ことビル・ロビンソン(Bill Robinson)のヴォーカルとそのタップ・ダンスをフューチャーし、
CD-22.[ドゥイン・ザ・ロウ・ダウン]
「ミスター・ハイ・ホー・マン」キャブ・キャロウェイ(Cab Calloweay)の特異なヴォーカルをフューチャーしている。
もしこの2曲をカップリングしてレコードを発売したなら当時相当売れたのではないかと想像する。

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