エディ・コンドン 1928年

Eddie Condon 1928

前年1927年の12月にレッド・マッケンジ―という有名な歌手の知己を得レコード・デビューすることになったエディ・コンドンとその一党。そこにはティッシュメーカー、メズロウやクルーパなど素晴らしい才能が揃っていたためか順調にレコーディングの機会を得られたようだ。
録音順でいうと次に当たるのが、約3か月半後の録音となる「ザ・シカゴ・リズム・キングス」によるものである。このバンド名もニューオリンズの名門No.O.R.K.(ニューオリンズ・リズム・キングス)に因むものであろう。パーソネルも、Tpがジミー・マクパートランドからマグシー・スパニアに、Tsがバド・フリーマンからメズ・メズロウに代わっているくらいで、ほぼ”McKenzie and Condon's Chicagoan”と同じである。なぜかレッド・マッケンジ―も参加しているが。
ともかくこの3曲はルイ・アームストロング1927年の傑作「バーベキュー料理で踊ろう」にも匹敵するような素晴らしい出来を示している。各自のソロも比較的長く聴き応えがある。

<Date&Place> … 1928年4月6日、5月2日 シカゴにて録音

<Personnel> … ザ・シカゴ・リズム・キングス(The Chicago Rhythm kings)

Cornetマグシー・スパニアMuggsy Spanier
Clarinetフランク・テッシュメーカーFrank Teschemacher
Tenor saxメズ・メズロウMezz Mezzrow
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Banjo & Vocal A-5エディ・コンドンEddie Condon
Bassジム・ラニガンJim Lanigan
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalレッド・マッケンジ―Red McKenzie

<Contents> … 「ザ・シカゴアンズ/1928-1930」(Decca SDL-10361)

A面3曲目ゼアール・ビー・サム・チェンジィズ・メイドThere'll be some changes made4月6日
A面4曲目アイヴ・ファウンド・ア・ニュー・ベイビーI've found a new baby4月6日
A面5曲目家へ帰っておくれBaby , won't you please come home5月2日

A-3.ゼアール・ビー・サム・チェンジィズ・メイド
1923年にW・ベントン・オーヴァーストリートという人が作ったスインギーなヒット曲という。シカゴ・リズム・キングスの傑作の一つ。第1コーラスはスパニアがリードするアンサンブル、そしてマッケンジーのヴォーカルが続き、その後のテッシュメーカーのクラリネット・ソロが何といっても素晴らしい。そしてラストも名手スパニアがリードするアンサンブルで締める。
A-4.アイヴ・ファウンド・ア・ニュー・ベイビー
1928年ジャック・パルマーとスペンサー・ウィリアムスの作曲したとされるが、実際はもっと昔からディキシーランド・ジャズ・ナンバーとして演奏されており、これほど広く親しまれた曲も珍しいという。解説では元は歌曲というが、意外にヴォーカルは入っていない。ソロ・ワークはテッシュメーカーのCl、サリヴァンのP、メズロウのTs、スパニアのCorいずれも聴き応え十分である。

A\5.家へ帰って遅れ
1919年チャールス・ウァーフィールド作詞、これもクラレンス・ウィリアムス作曲の歌もの。ここもスパニアのリードによるアンサンブル、テッシュメーカーのCl、コンドンの歌、スパニアとテッシュメーカーの絡みと見事でシカゴ・スタイルの代表作というのもうなづける。

<Date&Place> … 1928年4月28日 シカゴにて録音

<Personnel> … マッケンジーとコンドン楽団 (McKenzie and Condon's boys , direction of Mr. Tesch)

Clarinet & Alto saxフランク・テッシュメーカーFrank Teschemacher
Alto saxロッド・クレスRod Cless
Tenor saxメズ・メズロウMezz Mezzrow
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Banjo & Vocal A-5エディ・コンドンEddie Condon
Bassジム・ラニガンJim Lanigan
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalレッド・マッケンジ―Red McKenzie

<Contents> … 「ザ・シカゴアンズ/1928-1930」(Decca SDL-10361)

A-6.ジャズ・ミー・ブルース(Jazz me blues)
久しぶりマッケンジーとコンドン名義の録音。Corなしという珍しいセッション。アレンジはテッシュメーカーで自身のソロも素晴らしい。しかし素晴らしいのは一人テッシュメーカーだけではない。ロッド・クレスのAs、メズロウのTs、サリヴァンのPなど聴き処の多い作品である。

<Date&Place> … 1928年7月6日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel>…ミフ・モールと彼のリトル・モーラーズ (Miff Mole and his little Molers)

Band leader & Tromboneミフ・モールMiff Mole
Cornetレッド・ニコルスRed Nichols
Clarinetフランク・テッシュメーカーFrank Teschemacher
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Banjoエディ・コンドンEddie Condon
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … 「シカゴ・スタイル・ジャズ」(Columbia ZL-1091)

A面4曲目ワン・ステップ・トゥ・ヘヴン(ウィンディ・シティ・ストンプ)One step to heaven(Windy city stomp)
B面1曲目シム・ミイ・シャ・ワープルShim-me-Sha-Wabble

この2曲はミフ・モール(Tb)がリーダーを務めるバンドの演奏で、そもそも日本ではミフ・モールのレコード発売自体が極めて少なく貴重だという。コンドン一党がニュー・ヨークに進出しての録音となったようだ。
A-4.ワン・ステップ・トゥ・ヘヴン
これはシカゴ・スタイルと言いながらニューヨークで録音されたもの。当時のレッド・ニコルスの演奏が聴ける貴重なものだという。イントロからCl、Tp、Tbがみごとなアンサンブルを奏し、テッシュメーカー、ビックス張りのニコルスのソロが快適であるとは解説の石原氏。そしてモールのソロへと続き、アンサンブルとなって終わる。
B-1.シム・ミイ・シャ・ワープル
スペンサー・ウィリアムスが1917年に書いたナンバー。石原氏のレコード解説によると、この作品はミフ・モールの代表作として、たくさんの批評家が最高評価を与えているという。軽快なサリヴァンのピアノのイントロに始まり、シカゴ・スタイルのデリケートな演奏が聴かれる。石原氏は、特に後半のモールのアンサンブルとホット・ソロが素晴らしい作品としているが、ソロがちょっと短すぎないか。も少し聴きたいところだ。しかし白人Tb奏者の興味深いレコードとしてコレクションには欠かせない1作と石原氏は述べている。

<Date&Place> … 1928年7月28日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … エディー・コンドン・カルテット (Eddie Condon Quartet)

Band leader & Banjoエディ・コンドンEddie Condon
Clarinetフランク・テッシュメーカーFrank Teschemacher
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … 「シカゴ・スタイル・ジャズ」(Columbia ZL-1091)

A面3曲目オー・ベイビーOh Baby
B面2曲目インディアナIndiana

ニューヨークに進出しての録音で、カルテットによる演奏というのがまず珍しい。こういう小編成のバンドでは個々の音がよく聴こえるので、コンドン氏はよくやる気になったなとも思う。実際に聴いてみると、バンジョかギターのコード・ストロークが聴こえるような聴こえないような微妙な感じだが…。
なお、この録音においてクルーパは初めてドラム・セットをフルに活用するチャンスが与えられたという。ハリキリ過ぎてちょっとうるさいと思うところもあるが、まぁそれが若さというと言うこともできる。
また、この2曲の録音日について、レコード解説の石原氏の記述は混乱している。A-3[オー・ベイビー]の項では28年1月28日とし、B-2[インディアナ]の解説には、この2曲は同日1928年7月28日の録音とある。「1」と「7」を見間違えたか?他のディスコグラフィーにはどちらも7月28日の録音とあるので、両曲とも7月28日の録音とした。

A-3.オー・ベイビー
これもアメリカでは発売されず、オーストラリア、英国のパーロフォンで出され好評を博していたためコレクターの間で話題になっていたという。テッシュメーカーは最初短くクラリネットでソロを取るが出来としてはそれほど感心しない。却って後半のアルト・ソロの方が良いと思う。
B-2.インディアナ
バラード・マクドナルドとジェイムス・F・ハンレイの共作で1917年に書かれたディキシーランドのスタンダード・ナンバー。O.D.J.B.も1917年にコロンビアに吹き込んでいる
クルーパのシンバルによるイントロ、テッシュメーカーがアルトでメロディーを奏し、サリヴァンが軽快でスムースなスイング時代を先取りするようなソロを取る。そしてクラリネットに持ち替えたテッシュメーカーの力のこもった堂々たるソロを経由してエンディングに入る。Clの2コーラス目盛り上げる部分で珍しくコンドンのバンジョーの音が明確に聴こえる。クルーパが思い切りドラムを叩いた記念すべき傑作。

次の録音は10月30日に行われたエディ・コンドンと彼のフット・ウォーマーズによるもので、名手ティーガーデンの若き日の録音として大変貴重だという。

<Date&Place> … 11928年10月30日 ニューヨークにて録音

<Personnel>…エディ・コンドンと彼のフット・ウォーマーズ (Eddie Condon and his Footwarmers)

Band leader & Banjoエディ・コンドンEddie Condon
Cornetジミー・マクパートランドJimmy McPartland
Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Clarinetメズ・メズロウMezz Mezzrow
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Bassアーティ・ミラーArtie Miller
Drumsジョニー・パウエルJohnny Powell

<Contents> … 「シカゴ・スタイル・ジャズ」(Columbia ZL-1091)

B面3曲目「メイキン・フレンズ」(Makin' friends)
曲はティーガーデンとコンドン、そしてTpのマクパートランドの共作という。サリヴァンのスインギーなプレイに先導され、ティーガーデン、メズロウの短いソロそしてティーガーデンの味のあるヴォーカルが入る。コンドンのバンジョーによるコード・プレイもしっかり聴こえる。解説の石原氏は、ここで聴かれるメズロウのソロとテッシュメーカーのソロを比べるとシカゴ・スタイルのフレーズなり約束された形式が理解できるというが、残念ながら僕はその境地には達していない。

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