トーマス・“ファッツ”・ウォーラーの1931年の録音は、「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第5巻 ジャズの巨人 ファッツ・ウォーラー」(RVC RA-23〜27)の解説に拠れば、4曲の録音があるという。前年30年の半分、前々年29年の39曲に比べれば大幅減である。但しWebで検索してみるとジャック・ティーガーデンとの共演3曲の他にピアノ・ソロが2曲あるようなのでトータルでは5曲のはずであるが。ともかく僕はそのピアノ・ソロは持っていないため、ティーガーデンとの3曲が僕の持っているウォーラーの全てである。
| Bandleader , Trombone & Vocal | … | ジャック・ティーガーデン | Jack Teagarden | |||
| Trumpet | … | チャーリー・スピヴァク | Charlie Spivak | 、 | チャーリー・ティーガーデン | Charlie Teagarden |
| Alto sax | … | ジョー・カタライン | Joe Catalyne | 、 | マックス・フエアリー | Max Farley |
| Clarinet & Tenor sax | … | ピー・ウィー・ラッセル | Pee Wee Russell | |||
| Baritone sax | … | エイドリアン・ロリーニ | Adrian Rollini | |||
| Piano | … | ファッツ・ウォーラー | FatsWaller | |||
| Guitar | … | ナッピー・ラメアー | Nappy Lamare | |||
| Bass | … | アーティー・バーンスタイン | Artie Bernstein | |||
| Drums | … | スタン・キング | Stan King |
| Record1B面7. | ザッツ・ホワット・アイ・ライク・アバウト・ユー | That's what I like about you |
| Record1B面8. | ユー・ラスカル・ユー | You rascal you |
| Record2A面1. | チャンセズ・アー | Chances are |
ティーガーデンとファッツ・ウォーラーが共演したのは、2度目1度目は2年前の1929年9月30日の録音であった。その時はウォーラー名義(Fats Waller and his buddies)で、その時もすばらしいえんそうであった。
B-7.[ザッツ・ホワット・アイ・ライク・アバウト・ユー]は、ティーガーデンとウォーラーのヴォーカルの絡みが聴かれる。低音で落ち着いた風のある2枚目ティーガーデンに対してウォーラーは、少し3枚目的な役回りを演じているような気がする。「道化」も彼の大きな売り物だったから仕方がないことかもしれないが。そしてこの曲こそ、ロリーニのバス・サックス、C・ティーガーデンのTp、ラッセルのCl、J・ティーガーデンのTb、ウォーラーのPと短いソロが入り乱れる。3分という制約がなく録音していたらかなり面白い作品になったのではないかと思う。
B-8.[ユー・ラスカル・ユー]は、ルイ・アームストロングがこの年の4月28日、キャブ・キャロウェイが9月23日に録音しているナンバーだが、元々は古いニューオリンズの曲だという。ここでのリード・ヴォーカルは勿論ジャックで、ウォーラーが前曲よりも明確に3枚目的に絡む役を引き受けている。ただしこの作品の注目すべき点は、ルイも、キャブも皆ニューオリンズ風の雰囲気を漂わせた作品であったのに対し、イントロこそディキシー風だが後半特にエンディングなどはスイング時代そのものを彷彿とさせるリフで締めにかかるのである。前2者に比べるとグッとスイングに近づいた感じがする。編曲が見事なのだろう。
A-1.[チャンセズ・アー]は、前2曲同様やはりストライド風のプレイに感じるウォーラーのピアノが効いている。この曲でウォーラーのヴォーカルの出番はなく、ピアノに専念している。
僕が感じるこの31年のティーガーデンの録音の白眉は「ユー・ラスカル・ユー」で、これは聴き応えのある作品だと思う。理由は前述の通り。
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