ファッツ・ウォーラー 1935年

Fats Waller 1935

ウォーラーが昨年組織した「ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム」の基本メンバーだった、ベースのビリー・テイラーがチャールズ・ターナーに代わる。そしてギターやドラムスにも移動が起こる。これは少し景気も上向き始め、録音など演奏する機会が増えてきたことによる二かもしれない。

<Date&Place> … 1935年1月5日 ニュージャージー州キャムデンにて録音

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

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Bandleader ,Piano & Vocalファッツ・ウォーラーThomas “Fats” Waller
Trumpetビル・コールマンBill Coleman
Tenor sax & Clarinetユージン・セドリックEugene Sedric
Guitarアル・ケイシーAlbert Casey
Bassチャールズ・ターナーCharles Turner
Drumsハリー・ダイアルHarry Dial

<Contents> … "The indispensable Fats Waller"(PM43686)&「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」(RCA RA-23〜27)

「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」1枚目A面
indispensable Record2-B面6、「栄光の遺産」Record1-A面6.アイム・100パーセント・フォー・ユーI'm hundred percent for you
indispensable Record2-B面7.ベイビー・ブラウンBaby Brown
indispensable Record2-B面8、「栄光の遺産」Record1-A面7.ベイビー・ブラウンBaby Brown
「栄光の遺産」Record1-A面8.ナイト・ウィンドNight wind

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ」の解説氏は、全般的なこととして、抒情派Tp奏者ビル・コールマンの代表作で、「アンド・ヒズ・リズム」の数ある録音の中でも最高のトランペットを聴かせてくれると書いている。粟村師は、ヴィクターのヴィンテージ・シリーズを高く評価しながら、34年吹込みの、”Baby Brown”、”Night wind”、”Rosetta”を収録していないのは不思議千万と述べていた。実際には35年吹込みだったが…。
まずこの時代では珍しいコンボ演奏であることに注目したい。そのためかとても聴きやすくすんなり耳に入ってくる。
B-6.[アイム・100パーセント・フォー・ユー]
ソフトなナンバーでTpソロのイントロ、続くGtの短いソロ、アンサンブルそしてP、Tp、Clとの掛け合いソロなどを聴くと各人実力者同士であることが分かる。珍しくウォーラーのヴォーカルを入っていないが、それでも十分に聴くに値する素晴らしいパフォーマンスである。油井正一氏は、「ウォーラーの代表作」と言い切っている。
B-7、8、[ベイビー・ブラウン]
"indispensable"だけに収録されているB-7ヴァージョンがウォーラーのヴォーカル入りで、B-8はヴォーカルなしのインスト・ヴァージョン。どちらも楽し気な演奏である。考えてみると後のモダン期以降のジャズってこういう楽しい雰囲気の演奏って実に数が少ないような気がする。B-7のヴォーカル入りはウォーラーのお道化たヴォーカルが極めて強烈である。
A-8.[ナイト・ウィンド]
実に素晴らしい曲と演奏である。現代に取り上げても古めかしさなど微塵も感じないと思う。オルガンが効いている。
「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」

<Date&Place> … 1935年3月6日、5月8日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Bandleader ,Piano & Vocalファッツ・ウォーラーThomas “Fats” Waller
Trumpetハーマン・オウトレイHerman Autray
Clarinet & Alto saxルディ・パウエルRudy Powell
Guitarアル・ケイシーAlbert Casey
Bassチャールズ・ターナーCharles Turner
Drumsハリー・ダイアルHarry Dial

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」(RCA RA-23〜27)

Record 1B-1.ロゼッタRosetta3月6日
Record 1B-2.手紙でも書こうI'm gonna sit right down and write myself a letter5月8日
Record 1B-1.[ロゼッタ]
作曲はアール・ハインズ。ウォーラーのヴォーカル入りヴァージョンもあるらしいが、ここではインスト・ヴァージョン。実にスロウでメロウな演奏ぶりである。「アンド・ヒズ・リズム」によるものであるが、ディスコグラフィーがレコード・ボックスには付いておらずWebで調べたもの。ウォーラーのチェレスタが印象的だ。ピアノとチェレスタを直角に並べ、どちらもすぐ弾けるようにして、レコーディングに臨んだのだという。現代のキーボード奏者のようだ。
Record 1B-2.[手紙でも書こう()]
この曲がウォーラーの最高最大のヒット曲だという。このヒットによってウォーラーは大人気を得たという。ウォーラーの歌い方はストレ−トでおどけた様子は全くない。第一級のジャズ・ヴォーカル・レコードである。ヴォーカルに付くクラリネットのオブリガードもいい。 「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」1枚目B面

<Date&Place> … 1935年6月24日、8月20日、11月29日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Bandleader ,Piano & Vocalファッツ・ウォーラーThomas “Fats” Waller
Trumpetハーマン・オウトレイHerman Autray
Clarinetルディ・パウエルRudy Powell
Membranophoneアーノルド・ボーリングArnold Boling
Guitarジェイムス・スミスJames Smith
Bassチャールズ・ターナーCharles Turner
Drumsアーノルド・ボールデンArnold Bolden

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」(RCA RA-23〜27)

Record 1B-3.ダイナDinah6月24日
Record 1B-4.ユーアー・ザ・ピクチャーYou're the picture6月24日
Record 1B-5.ユーアー・ソー・ダーン・チャーミングYou're so darn charming8月20日
Record 1B-6.ウォー・イズ・ミーWoe ! is me8月20日
Record 1B-7.ア・リトル・ビット・インディペンデントA little bit independent11月29日
Record 1B-8.ユー・ステイド・アウェイ・トゥー・ロングYou stayed away too long11月29日
メンブラノフォン ヴォンヴォンという低音がジャグのように響くが、Webによればメンブラノフォン(写真右)という打楽器らしい。それ以外はどの曲も典型的な「アンド・ヒズ・リズム」の演奏スタイルという。ほとんど一発録りのジャム・セッション形式だったというが、面子がいいので成立したのだろう。
Record 1B-3.[ダイナ]
言わずと知れた日本ではディック・ミネが大ヒットさせた曲。ウォーラー色満載である。実に楽しい。解説氏によるとここで聴き逃がせないのが、ウォーラーのピアノ奏法であり、リーダー・シップだという。ピアノを注意して聴くと、最初から最後までギター、ベース、ドラムをリードしながら弾いている。歌いながらでも掛け声をかけながらでも、他人がソロを取っている時でも、自分のソロの時でも、ウォーラーの左手はリズムを刻みリードしている。ここにウォーラー・バンドがスイングする源泉がある。この絶え間なく弾き続ける奏法は、ウォーラー、ティタム共通の弾き方で、この弾き方は数人のピアニストにしかできない至芸だったと述べている。クラリネット、トランペットそしてウォーラーのピアノとソロも良いし、バンド全体の演奏が素晴らしい。
「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」ライナー・ノート Record 1B-4.[ユーアー・ザ・ピクチャー]
前「ダイナ」と同日の録音で、前作の雰囲気を引き継いで実に楽しい演奏になっている。ウォーラーのピアノ・ソロが素晴らしい。解説には、ギターはジェイムズ・スミスという人が弾いているらしいが、この人物については、解説氏も不明としている。実にモダンな出来栄えである。
Record 1B-5.[ユーアー・ソー・ダーン・チャーミング]
この辺りのヴォーカルはあまり羽目を外さ過ぎず落ち着いて聴いていられる。演奏もよくスイングしている。
Record 1B-6.[ウォー・イズ・ミー]
ヴォーカルを楽器として使うジャム・セッションなのだという。ソロはクラリネット、トランペットと続く。
Record 1B-7.[ア・リトル・ビット・インディペンデント]
ここでは前セッションとは逆に、ジャム形式を薄くし、ヴォーカルの比重を高くしたという。ゆったりとしたテンポの曲で、一聴地味な歌い方だが、その中にあるペーソスは味わい深い。
Record 1B-8.[ユー・ステイド・アウェイ・トゥー・ロング]
ヴォーカルの後のピアノ・ソロ、支えるリズム陣、トランペットによるオブリガードなどが混然一体となってグルーヴを作り上げていく。進行していく。バンド全体が一つに溶け合って素晴らしい演奏を繰り広げると解説氏は述べている。
「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」2枚目A面

<Date&Place> … 1935年12月4日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・ヒズ・リズム・アンド・オーケストラ (Fats Waller his rhythm and orchestra)

Bandleader ,Piano & Vocalファッツ・ウォーラーThomas “Fats” Waller
Trumpetハーマン・オウトレイHerman Autrayシドニー・ド・パリスSidney De Paris
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Reedsルディ・パウエルRudy Powellドン・レッドマンDon Redmanユージン・セドリックEugene Sedricロバート・キャロルRobert Caroll
Pianoハンク・ダンカンHank Duncan
Guitarアル・ケイシーAlbert Casey
Bassチャールズ・ターナーCharles Turner
Drumsヤンク・ポーターYank Porter

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」(RCA RA-23〜27)

Record 2A-1.[ファンクショナイジン(Functionizin')]

ここで初めてビッグ・バンドが登場する。解説に拠るとこの年巡業のためオーケストラを組織したが、そのバンドでの録音だという。注目はドン・レッドマンの参加で、この曲の洗練されたアレンジから考えて、レッドマンがアレンジしたのであろうという。
そう言われて聴くとかなりアンサンブルなど洗練されたサウンドだと思う。

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