グレン・ミラー 1930年

Glenn Miller 1930

グレン・ミラーの1930年の録音はレッド・ニコルスの楽団に加わったものしか見当たらない。Web情報によると、2つのブロードウェイ・ミュージカル、「ストライク・アップ・ザ・バンド」(Strike up the band)と「ガール・クレイジ」(Girl Crazy)のピット・バンドで演奏していたという。因みにどちらも音楽担当はジョージ・ガーシュインである。この年はミラーのトロンボーン・ソロは全く聴かれずアレンジ等で活躍していたのであろう。

<Date&Place> … 1930年2月3日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … レッド・ニコルス・アンド・ヒズ・ファイヴ・ぺニーズ (Red Nchols and his five pennies)

 
Trumpet & Band leaderレッド・ニコルスRed Nichols
Trumpetマニー・クラインManny Kleinトミー・タネンTommy Thunen
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagardenグレン・ミラーGlenn Miller
Alto sax & Clarinetジミー・ドーシーJimmy Dorsey
Tenor saxベイブ・ラッシンBabe Russin
Bass saxエイドリアン・ロリーニAdrian Rollini
Pianoジャック・ラッシンJack Russin
Guitarトミー・フェラインTommy Feline
Tubaジャック・ハンセンJack Hansen
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … “Red Nchols and his five pennies”(Ace of Hearts AH-63)

AH-B面3曲目アイム・ジャスト・ワイルド・アバウト・ハリーI'm just wild about Harry

1921年にユービー・ブレイクがブロードウェイのミュージカル「シャッフル・アロング」(Shuffle along)のために書いた曲だという。テンポはミディアム、まずAsソロが入り、P、Tbソロが聴かれるのはティーガーデンではないかと思われるが、ミラーはオーケストラ・ピットでよく演奏していたナンバーなのでミラーの可能性もある。そしてテンポが倍になり変わった吹き方のもう一度Asのソロとなる。このドーシーのソロが面白い。
この録音で一番驚くことは、ディキシー色が一掃されていることである。BassがTubaに変わるということは、流れ的には逆行であり、またディキシー色が強くなるかと思えば、全く逆の展開になっている。

<Date&Place> … 1930年7月2、3日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … レッド・ニコルス・アンド・ヒズ・ファイヴ・ぺニーズ (Red Nchols and his five pennies)

Trumpet & Band leaderレッド・ニコルスRed Nichols
Trumpetルビー・ウェインシュタインRuby Weinsteinチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagardenグレン・ミラーGlenn Miller
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Alto saxシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Tenor saxベイブ・ラッシンBabe Russin
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Banjoトレグ・ブラウンTreg Brown
Bassアーティー・ミラーArtie Miller
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … 『レッド・ニコルス物語』(MCA-3012)&“Red Nchols and his five pennies”(Ace of Hearts AH-63)

MCAA面6曲目、AH-B面4曲目チャイナ・ボーイChina Boy1930年7月2日
MCAB面1曲目アラビアの酋長The shiek of Araby1930年7月3日
MCAA面3曲目シム・ミ・シャ・ウォブルShim-Me-Sha-Wabble1930年7月3日

次の録音は5か月後の7月2日と3日に行われたセッションとなる。AH盤には1曲収録されているが、これはMCA盤と被る(チャイナ・ボーイ)。
[チャイナ・ボーイ]はグレン・ミラーの編曲によるファイヴ・ぺニーズの代表作という。イントロとエンディングのTbはミラーであろうか、ティーガーデンか?ニコルス、BGのソロも力演で素晴らしいが、続くサリヴァンの2コーラスに渡るソロは圧巻である。
[アラビアの酋長]について大和明氏は、この演奏後ティーガーデンの十八番となったとし、以下詳しく解説している。
「バンジョーのトレグ・ブラウンがストレート・メロディーで『俺らはアラビアの酋長だ』と歌い出すと、すぐ横からティーガーデンがそれを抑え、大胆にメロディーを崩してジャジーな感覚を出す。そしてグレン・ミラーのトロンボーンがストレート・メロディーで美しく流していくのに対して、ティーガーデンの奔放なアドリブが絡んでいくところなど実に素晴らしい。以後ティーガーデンは常にこの形式でこの曲を演奏することにしたという。続いてBG、ニコルスとソロがリレーされ再びティーガーデンのヴォーカルで締めくくる。
[シム・ミ・シャ・ウォブル]について、大和氏は「かつてミフ・モールの名演があったとし、ここでは大型コンボによる各自のソロが楽しめるとする。ソロ・オーダーは、ベイブ・ラッシン、BG、ジャック・ティーガーデン、サリヴァンそしてニコルスによるアンサンブル・リードからラスト・コーラスへと引き継がれる。ちょっとぎこちないラッシンのソロに比べて、ダーティー・トーンを交えたBG、余裕を感じさせるティーガーデンのソロは聴き応えがある。
「レッド・ニコルスとファイヴ・ぺニーズ」―キャッチ―なバンド名でキャッチ―なジャズを演奏した。レッド・ニコルスはビックスの影響を受けた素晴らしいトランぺッターである。
BGはニコルスの48のレコーディングに参加している。彼はこう言っている、「レッドに呼ばれれば我々は行った。我々は若くスタミナがあった。」
この録音でBGはいつもより薄く強いタッチでプレイしている。ベイブ・ラッシンの力強く音数の多いテナー・ソロは続くティーガーデンに明るく生き生きとした雰囲気を吹き込んでいる。
解説のジョージ・サイモン氏も触れていないが、僕は、僕だけかもしれないがこの曲のエンディングの部分に着目している。このアンサンブルは後のスイング時代によく使われた正に「リフ」である。この時代は普通に奏されていたのであろうか?今後少しずつ勉強していきたいと思うが、これこそスイング・リフの先駆けではないかと思っている。

<Date&Place> … 1930年10月23日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … レッド・ニコルス・アンド・ヒズ・ファイヴ・ぺニーズ (Red Nchols and his five pennies)

Trumpet & Band leaderレッド・ニコルスRed Nichols
Trumpetルビー・ウェインシュタインRuby Weinsteinチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Tromboneグレン・ミラーGlenn Millerジョージ・ステルGeorge Stell
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Alto saxシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Flute & Tenor saxラリー・ヴィニョンLarry Binyon
Pianoジャック・ラッシンJack Russin
Banjoトレグ・ブラウンTreg Brown
Bassアーティー・ミラーArtie Miller
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalディック・ロバートソンDick Robertson

<Contents> … “Red Nchols and his five pennies”(Ace of Hearts AH-63)

record B-5.アイ・ガット・リズム(I got rhythm)
ご存知ジョージ・ガーシュイン作曲アイラ・ガーシュイン作詞のスインギーなナンバーで出版されたのは1930年というから最も初期の演奏の一つであろう。元々は1928年の”Treasure girl”というブロードウェイ・ミュージカルのために作られたが、後にテンポを速めて”Girl crazy”で使われたのだという。ミラーはオーケストラ・ピットで何度も演奏したナンバーであろう。完全にスイング時代に突入した演奏である。

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