グレン・ミラー 1942年

Glenn Miller 1942

初めて見たジャズ映画が「グレン・ミラー物語」でした。1953年製作で第27回アカデミー賞録音賞を受賞しています。ジャズ映画って何かというと、ジャズマンのことを取り上げた映画のことです(正式な用語ではありません)。この映画を見た時のことは覚えています。多分高校生の時だったと思います。でももちろんすべて覚えているわけではありません。主演のグレン役はジェームス・スチュアート、似ているので起用されたようです。覚えているのは、初めから売れたわけではなくいい奥さんと結ばれること、有名な「イン・ザ・ムード」、「ムーンライト・セレナーデ」などの心地よいサウンドです。また、戦争で亡くなったことも印象に残っています。楽しげな軍隊での軍楽隊エピソードはあまり覚えておらず、飛行機に乗って飛び去った後、行方が分からなくなったということは覚えていました。トータルとしてみるととても楽しい映画です。
その後しばらく見る機会はなかったのですが、最近はご覧のようにワンコインでDVDが買えます。改めて見直すと、事実と違うのでは?と思う部分もあるのですが、これは記録映画ではないので仕方ないでしょう。では何映画なのでしょう?エンターテイメントなんでしょうか?実は僕個人はよく分からないでいます。やはり印象に残っているのは、終盤パリに向かう飛行機に乗るが、その飛行機が行方不明になるという結末はハッピー・エンドのアメリカ映画らしくありません。グレンが亡くなったという報を受けて涙を見せる夫人ですが、あっと言う間に立ち直り、でもグレンの音楽は生きているという結末は強引にハッピー・エンドらしく装ったとしか見えません。
改めてDVDを見て感じたことは、入隊関連のことで38歳で妻も子もいて、率いるバンドが人気絶頂のミュージシャンがなぜ志願兵として軍隊に入るのか、愛国心が強いのだと言われればそれまでですがどうも不思議でなりません。そして入隊時の地位が少尉、すぐに大尉になっています。いいのでしょうか?戦場で、最前線で命を張っている男たちを尻目に実戦を全く経験しない兵隊がいきなり少佐になってしまっていいのでしょうか?確かに軍楽隊の演奏中に爆撃機が飛来するというエピソードもありますが、取って付けたような感じを否めません。白人だから?黒人は怒りませんか? この映画はアメリカでも大当たりしたそうで、気をよくしたユニヴァーサル映画は2年後に「ベニー・グッドマン物語」を製作します。

<Date&Place> … 1942年4月2日、5月20日 ハリウッドにて録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Trombone & Band Leaderグレン・ミラーGlenn Miller
Trumpetデイル・マクミクルDale McMickleスティーヴ・リプキンスSteve Lipkinsビリー・メイBilly Mayジョニー・ベストJohnny Best
Tromboneジミー・プリディJimmy Priddyポール・タナ―Paul Tannerフランク・ダノルフォFrank D'Annolfo
Saxベイブ・ラッシンBabe Russinテックス・べネキーTex Benekeウィルバー・シュワルツWilbur Schwartzアーニー・キャサレスErnie Caceresアル・クリンクAl Klinkスキップ・マーチンSkip Martin
Pianoチャミー・マクレガーChummy MacGregor
Bassドク・ゴールドバーグDoc Goldberg
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill
Chorusザ・モダネアーズThe Modernaires
この録音に関してはWebにパーソネルが掲載されていない。ただレコードに記載のパーソネルは1941年11月3日からの移動として、
Sax … ロイド・マーチン(Lloyd Martin) ⇒ ロイド・マーチン(Lloyd Martin)という意味不明の記載がある。因みにロイド・マーチンは愛称「スキップ・マーチン」の方が名が通っている。そして彼は1941年11月3日には参加していない。ともかくパーソネルには加えておいた。

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

D-3.アメリカン・パトロールAmerican patrol4月2日
D-4.カラマズーI've got a gal in Kalamazoo5月20日
D-3.「アメリカン・パトロール」
この曲は最近ではとんと聞かなくなったが、僕が、小学校時代運動会で必ずと言っていいほどかかっていた。19世紀にミーチャムという人が書いた曲で、これもジェリー・グレイがダンス・ナンバーにアレンジして評判になったという。演奏はサックス・セクションで出て、全体にアンサンブル演奏を基調としてミラー・スタイルの典型といえよう。
D-4.「カラマズー」
これはミラー楽団が2本目に出演した1942年の映画「オーケストラの妻たち(Orchestra wives)」の主題歌としてハリー・ウォーレン(作曲)、マック・ゴードン(作詞)の共作した曲。これもベスト・セラーとなった。この吹込みはTs奏者テックス・ベネキーがヴォーカリストとしてコーラス・グループ、ザ・モダネアーズと掛け合いで歌うノヴェルティー風の演出である。

<Date&Place> … 1942年7月15日 シカゴにて録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Direction & Band Leaderグレン・ミラーGlenn Miller
Trumpetデイル・マクミクルDale McMickleスティーヴ・リプキンスSteve Lipkinsビリー・メイBilly Mayジョニー・ベストJohnny Best
Tromboneジミー・プリディJimmy Priddyポール・タナ―Paul Tannerフランク・ダノルフォFrank D'Annolfo
Saxテックス・べネキーTex Benekeアーニー・キャサレスErnie Caceresスキップ・マーチンSkip Martinウィルバー・シュワルツ
Pianoチャミー・マクレガーChummy MacGregor
Guitarボビー・ハケットJack Lathrop
Bassドク・ゴールドバーグDoc Goldberg
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill
Vocalマリオン・八トンMarion Hutton
Vocalスキップ・ネルソンSkip Nelson
Chorusザ・モダネアーズThe Modernaires
5月20日からの移動。
Sax … ベイブ・ラッシン、アル・クリンク ⇒ Out
Guitar … ボビー・ハケット ⇒ In

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

D-5.ジューク・ボックス・サタディ・ナイトJuke box Saturday night6月14日
D-6.ザット・オールド・ブラック・マジックThat old black magic6月15日
D-5.「ジューク・ボックス・サタディ・ナイト」
A.スティルマン、P.マクグランスが合作したノヴェルティ・ナンバー。解説によると、ジューク・ボックスからの音楽という形で、ハリー・ジェイムスそっくりのTpによる「チリチリピン」やコーラス・グループのインク・スポッツの18番「イフ・アイ・ディドント・ケア」が物真似風にフューチャーされているという。ユーモアにあふれた曲。ヴォーカルはテックス・ベネキ―とマリオン・八トンにモダネアーズがコーラスを付ける。
D-6.「ザット・オールド・ブラック・マジック」
ビング・クロスビー主演映画「スター・スパングルド・リズム(“Star spangled rhythm “)」の主題歌で、クロスビーやフランク・シナトラらのレコードが大ヒットしたらしい。ハロルド・アーレンの1942年のトップ・ヒット曲で、ここではスキップ・ネルソンのヴォーカル・ナンバーとして取り上げられている。この吹込みは42年7月15日に行われているが、この前後3日間の吹込みがオリジナル・グレン・ミラー・オーケストラの最後のレコーディングとなった。

番外編

<Date&Place> … 1942年以降

<Personnel> … グレン・ミラーと空軍バンド(Glenn Miller and the air force band)

Direction & Band Leaderグレン・ミラーGlenn Miller
Others不明Unknown

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

D-7.「セントルイス・ブルース・マーチ」(St. Louis blues march)
いわずと知れたW.C.ハンディのブルースの名曲をジェリー・グレイがマーチ風にアレンジしたもの。この演奏はミラーが志願して入隊、アーミー・バンドを結成してからの吹込みで、メンバーや録音日は明らかにされていない。アイゼンハワー元帥がこの演奏を聴いて大いに兵士の士気を鼓舞するものとして賛辞を送ったというグレイの編曲は普通の軍楽隊の演奏能力で十分演奏できるように平易な手法で書かれているという。マーチ・テンポの楽しさとジャズ風のフレイジングがマッチしており、第2次世界大戦中盛んに軍隊で演奏されたようで、映画「グレン・ミラー物語」でも空軍閲兵のシーンに使われていた。

グレン・ミラーは1944年12月15日、すでに解放されたパリのクリスマス・コンサートに出演するために、楽団とは別に単身陸軍のノースマン大型機でイギリスのベッドフォード基地からパリに向けて飛び立ったまま永久に消息を絶ってしまう。英仏海峡上空でドイツ空軍に襲われたか、飛行機事故なのかついにわからず、1年後にアメリカ軍当局は公式にグレン・ミラー少佐の氏を発表したのであった。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。

お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。