ジミー・ランスフォード 1934年

Jimmy Lunceford 1934

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第9巻ザ・ビッグ・バンド・エラ第1集/ジミー・ランスフォード」解説を担当する粟村政昭氏は、「1934年1月、ランスフォード楽団は、ニューヨークの高名なコットン・クラブと契約を結ぶことができた。この時彼らを援助したアーヴィング・ミルズが、配下のアレンジャーであったウィル・ハドソンをバンドに紹介し、ニューヨークにおける最初のレコーディングで「ホワイト・ヒート」と「ジャズノクラシー」という二つの作品が演奏されることになった」と述べている。
鬼才サイ・オリヴァーが入団したもののまずはスポンサー優先ということだったのであろう。

<Date & Place> … 1934年1月26日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ジミー・ランスフォード・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jimmy Lunceford and his Orchestra)

Band leader & Alto saxジミー・ランスフォードJimmy Lunceford
Trumpetエディー・トンプキンスEddie Tompkinsトミー・スティーヴンソンTommy Stevensonサイ・オリヴァーSy Oliver
Tromboneラッセル・ボウルズRussell Bowlesヘンリー・ウエルズHenry Wells
Clarinet & Alto Sax & Baritone saxウィリー・スミスWillie Smith
Clarinet & Tenor Saxジョー・トーマスJoe Thomasアール・カルザーズEarl Carruthers
Pianoエド・ウィルコックスEd Wilcox
Guitarアル・ノリスAl Norris
Bassモーゼズ・アレンMoses Allen
Drums , Vibraphone & Bellsジミー・クロフォードJimmy Crawford

前回1933年5月15日吹込みからの移動は、
Trumpet … ウィリアム・トムリン ⇒ サイ・オリヴァー(Sy Oliver)のみ。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」(RCA RA-50)

A面3曲目ホワイト・ヒートWhite heat
A面4曲目ジャズノクラシーJazznocracy
A面5曲目チラン・ゲット・アップChillun , get up
A面6曲目リーヴィング・ミーLeaving me

A-3.[ホワイト・ヒート]
粟村師は解説で「バンドの陣容は、充実してきており急速調のナンバーを整然として演奏できる合奏能力にも見るべきものがあったが、ハドソンの編曲そのものが当時人気のあったカサ・ロマ楽団風のメカニカルなものであったために、後年のランスフォード・スタイルから見れば極めて味のない演奏となったのは致し方なかった」と述べている。またソロについては、Tpはハイ・ノートを得意としたトミー・スティーヴンソン、Tbはラッセル・ボウルズとだけ述べているがTsもなかなか見事なソロを聴かせる。
A-4.[ジャズノクラシー]
タイトルは当時の新経済学説テクノクラシーをもじったもので、ウィル・ハドソンの作編曲になるもの。Tbソロは、ボウルズ、Tpソロはサイ・オリヴァーというが、Tsもいい感じのソロを取る。アンサンブルはどこかで聞いたことのあるようなメロディーである。確かにこの2曲はメカニカルな演奏のような気がする。
A-5.[チラン・ゲット・アップ]
何度も書いて恐縮だが、このRCAのボックス・セットにはディスコグラフィーが付いていない。本来は付いていたものを再発売する時に省いたとしか思えない。粟村氏自身解説中に「別掲のディスコグラフィーに明らかなごとく〜」と書いているが、そのディスコグラフィーがないのである。不親切極まりない。Webで探したディスコグラフィーによれば、A-5とA-6もA-3、4と同様の1月26日の録音である。粟村師は全く触れておらず、まず最初にA-3、4を録音したと書いてあるが師はどのようにディスコグラフィーを書いているのだろうか?
解説では演奏自体について書いている。
「スピリチュアル風の曲で、編曲はサイ・オリヴァー。ヴォーカリストはヘンリー・ウエルズで、これにトンプキンス、オリヴァー、スミスのトリオが絡む。メンバーの多くがヴォーカルに秀でていたこともランスフォード楽団の大きな特色の一つであったが、ここでは見事なコーラス・ワークを聴かせてくれる。
ウエルズの歌は、今となってはいかにも時代めいているが、後年オリヴァー・アレンジの原型ともいうべき手法があちこちに散見されるのとトンプキンス、スミス、ボウルズらの短いソロがスポットされている辺りを聴くべきであろう。」
A-6.[リーヴィング・ミー]
ファッツ・ウォーラーの原曲を、エド・ウィルコックスがアレンジしたもの。ここでもヘンリー・ウエルズが歌っているが、トンプキンスとジョー・トーマスのソロも聴かれる。ランスフォード流のバラード演奏の系列に入る作品であろうと粟村師は書くがこの「ランスフォード流のバラード」なるものが僕にはまだ分かっていない。

<Date & Place> … 1934年3月20日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ジミー・ランスフォード・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jimmy Lunceford and his Orchestra)

前回1月26日から移動無し。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」(RCA RA-50)

B面1曲目スインギン・アップタウンSwingin’ uptown
B面2曲目ブレックファースト・ボールBreakfast ball
B面3曲目ヒア・ゴーズHere goes
B面4曲目ヒア・ゴーズHere goes
B面5曲目リメンバー・ホエンRemember when
B面6曲目リメンバー・ホエンRemember when
B-1.[スインギン・アップタウン]
粟村師は、「サイ・オリヴァーの作編曲で、オリヴァー並びにバンドの真価が発揮された演奏である。この作品辺りをきっかけにしてランスフォード楽団は独自のバンド・カラーを築くことになった。アップ・テンポの演奏だが、先のウィル・ハドソンのチャートとは、全く異なった雰囲気が出ている点を特に聴いてほしい」とは粟村師。
ソロを取るのは、ウィリー・スミス(ClとAs)、ジョー・トーマス、エディー・トンプキンス、ラッセル・ボウルズ。、かなり複雑な編曲を見事にこなすアンサンブルの素晴らしさも特筆に値する。
B-2.[ブレックファースト・ボール]
次曲「ヒア・ゴーズ」と共にコットン・クラブのショウのために書かれたナンバーで、アレンジャーはサイ・オリヴァー。やや時代がかったジャイヴ・ナンバーだが、スミス、トンプキンス(歌の前に出るミュート・ソロ)、オリヴァー(歌とオープンTp)、ウエルズらの活躍によって十分に聴かせるナンバーとなっている。この曲も編曲はかなり入り組んでいる。
B-3、4.[ヒア・ゴーズ]
いかにもこの時代らしいヘンリー・ウエルズのヴォーカルをフューチャーした作品で、Tom Whaley(トム・ホエリー?)という人が書いているという。テイクは2つあるが大幅に違いはない。
B-5、6.[リメンバー・ホエン]
これもウィル・ハドソンの作編曲で、ウエルズのヴォーカル入り。少しだけ聴かれるTpソロはサイ・オリヴァー。傑出した演奏ではないが、アンサンブルの良さ、とりわけウィリー・スミスのリードするサックス・セクションの素晴らしさが光っている。

<Date & Place> … 1934年9月4・5日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ジミー・ランスフォード・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jimmy Lunceford and his Orchestra)

3月20日のメンバーに
Alto Sax … ラフォーレ・デント(Laforet Dent) ⇒ In

<Contents> … 「ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ジミー・ランスフォード」(MCA WMC5-328)

CD1ソフィスティケイテッド・レディSophisticated lady1934年9月4日
CD2ローズ・ルームRose room1934年9月4日
CD3成層圏Stratosphere1934年9月4日
CD4スターダストStardust1934年9月5日
CD5リズム・イズ・アワ・ビジネスRhythm is our business1934年12月18日
CD-1.[ソフィスティケイテッド・レディ]
ご存知エリントン・ナンバー。ランスフォード楽団はエリントン・ナンバーを好んで演奏したとあるが、エリントンの当時の著作権管理者はアーヴィング・ミルズだったことを考えれば、ミルズの息のかかったランスフォードがエリントン・ナンバーを取り上げたのは単に好んでいたからだけではないだろう。ウィリー・スミスのアレンジで、解説に拠ればスミス自身が率いる4人のリード群のソリの見事さは、当代随一の名演と言われた演奏だそうである。確かに素晴らしいアンサンブルである。
CD-2.[ローズ・ルーム]
後にベニー・グッドマンとチャーリー・クリスチャンの共演で有名となるナンバー。ここでもアンサンブルが素晴らしい。これもアレンジはウィリー・スミスで、彼はアレンジャーとしての手腕を云々されることはほとんどないが実にきめ細やかで素晴らしいアレンジだと思う。
CD-3.[成層圏]
ランスフォードの自作。アップ・テンポのナンバーで、構成は複雑、実に難しそうなアンサンブルを一糸乱れぬ吹奏で聴かせる。
CD-4.[スターダスト]
ご存知ホーギー・カーマイケルの大傑作。戦前から活躍している評論家の野川香文氏が絶賛した名演。サックス4本の甘く粘るようなソリは芸術的香気さえ感じさせるという。アレンジはピアノのエド・ウィルコックスで、ヴォーカルはTbのヘンリー・ウエルズ。
CD-5.[リズム・イズ・アワ・ビジネス]
ランスフォード楽団の代表作。バンド・メンバーを曲に載せて次々に紹介していくという企画もの。

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