カンサス・シティ・シックス 1938年

Kansas City Six 1938

ミルト・ゲイブラー

ジャズ評論家でありジャズ界の大物フィクサーとでもいった方がふさわしいと思われるジョン・ハモンド氏は、1938年3月18日ARC(The American record company)に、カウント・ベイシー楽団のピック・アップ・メンバー5人によるカンサス・シティ・ファイヴによる演奏のレコーディングを勧めた。その5人とは御大のベイシーはデッカの専属だったため除き、バック・クレイトン(Tp)、エディー・ダーハム(Tb&EG)、フレディー・グリーン(Gt)、ウォルター・ペイジ(B)、ジョー・ジョーンズ(Ds)であった。この演奏は素晴らしいものであったが、ARCはこれを発売しようとしなかった。この演奏については「カンサス・シティ・ファイヴ 1938年」を参照。そこでハモンド氏は友人であり、コモドア・ミュージック・ショップ(レコード店)の経営者であり、コモドア・レコードのプロデューサーでもあるミルト・ゲイブラー(Milt Gabler:1911〜2001 写真右)氏に相談し、この音源を買い取り、レコード化して発売することを勧めた。
ゲイブラー氏は、ベイシー楽団が「フェイマス・ドア」に出演したのを聴いており、レスター・ヤングのテナー・サックスとクラリネットを気に入り、何とかレスターをフューチャーしたレコードを自身でプロデュースしたいと望んでいた。そこでハモンド氏に、このメンバーにレスターを加えたレコーディングをセッティングしてくれるなら、「カンサス・シティ・ファイヴ」の録音を買い取り、レコード化し、発売しようという交換条件を出したのである。こうしてレスターを加えた「カンサス・シティ・シックス」のレコーディングが行われることになったのである。

「レスター・ヤング/カンサス・シティ・シックス」レコード・ボックス

<Date & Place> … 1938年9月27日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … カンサス・シティ・シックス(The Kansas city six)

Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Tromboneエディ・ダーハムEddie Durham
Clarinet & Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones

<Contents> … 「レスター・ヤング/カンサス・シティ・シックス(完全版)」(Commodore KIJJ 2064〜5)&"The Alternative Lester"(Tax m-8000)

Record1 A-1.ウェイ・ダウン・ヨンダー・イン・ニュー・オリンズWay down yonder in New Orleans
Record1 A-2.ウェイ・ダウン・ヨンダー・イン・ニュー・オリンズWay down yonder in New Orleans
Record1 A-3.カウントレス・ブルースCountless blues
Record1 A-4.カウントレス・ブルースCountless blues
Record1 A-5.ゼム・ゼア・アイズThem there eyes
Record1 A-6.ゼム・ゼア・アイズThem there eyes
Record1 A-7.アイ・ウォント・ア・リトル・ガールI want a little girl
Record1 A-8.アイ・ウォント・ア・リトル・ガールI want a little girl
Record1 B-1.ペイギン・ザ・デヴィルPagin’the devil
Record1 B-2.ペイギン・ザ・デヴィルPagin’the devil
「レスター・ヤング/カンサス・シティ・シックス」1枚目A面

左上の「レスター・ヤング/カンサス・シティ・シックス(完全版)」はマスター・テイクと別ヴァージョンの2種類が収録されているが、右の"The Alternative Lester"には別ヴァージョンだけが収録されている。

Record1 A-1,2.「ウェイ・ダウン・ヨンダー・イン・ニュー・オリンズ」
A-2が発売されたテイクである。テーマを吹くクレイトンとレスター(Clをプレイ)の絡みはタイトルを意識してかディキシーランド風である。ソロはクレイトン⇒レスター(ソロはテナー)⇒ダーハムである。
Record1 A-3,4.「カウントレス・ブルース」
曲はエディ・ダーハムの書き下ろし。「カウントレス」とはもちろん「カウント・ベイシー抜きで」という意味であろう。ここではダーハム⇒レスター⇒クレイトンとなる。レスターはソロでもClを吹いている。
Record1 A-5,6.「ゼム・ゼア・アイズ」
現在でも演奏されるスタンダード・ナンバー。何といってもフレディ・グリーンが歌っているのが珍しい。クレイトンがリードするテーマの後フレディのヴォーカル⇒レスター(Ts)⇒クレイトン⇒ダーハム(Gt)と繋ぎ、途中からレスターがClで絡む。
Record1 A-7,8.「アイ・ウォント・ア・リトル・ガール」
実にリリカルな演奏を聴かせてくれる。大和昭氏は「ジャズ史上に残る」とまで言い切っている。ソロはレスター(Ts)⇒クレイトン⇒ダーハム(Gt)。A-7がマスター・テイク。
Record1 B-1,2.「ペイギン・ザ・デヴィル」
レスター、クレイトン、ダーハム(Tb)3人のピアニシモ・アンサンブルがユニークなアンサンブルを奏でる中を、珍しくペイジ(B)がメロディックなプレイで前面に出る。エモーショナルなレスターのClソロからクレイトンのオープン・ソロ、エンディングは静かなリフを繰り返す。

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