レナード・バーンスタイン「ジャズとは何か?」

Leonard Bernstein“What is Jazz ?”

「レナード・バーンスタイン/ジャズとは何か?」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 〜1956年録音

<Personnel> … レナード・バーンスタイン他

<Contents> … Leonard Bernstein“What is Jazz ?”(レコード…CBS YBCC 7、CD…CBS FCCP 93008)

「ジャズとは何か」

アメリカを代表するクラシック界の重鎮、レナード・バーンスタイン氏が「ジャズとは何か」を解説してくれた非常にありがたい録音。
氏は冒頭で「ニュー・オリンズから始まる歴史には触れないで音楽そのものを検証しよう」と語っており、その通り歴史的な背景は抜きにしてベッシー・スミスの古い録音から当時最新のジャズとしてマイルス・ディヴィスの演奏までを取り上げながら、リズムやビーとのこと、アドリブなどを解説してくれています。そしてクラシックのとの対比で語ることが多いのが分かりやすいと感じます。「クォーター・トーン」なども正直このレコードで初めて僕は知りました(汗!)。
さて使用されているマイルスの録音は1956年9月10日に吹き込まれた”Sweet Sue , just you”で、これはマイルスのコロンビア・レコード移籍の第1弾”’Round about midnight”に収録されているものです。この演奏は一連の解説の最後に収録され、バーンスタイン氏は「我々が今聴いているのは現在のジャズです。それは確固たる過去と生き生きとした未来を持ったフレッシュで生命力に富んだ芸術です」と締めくくっています。実際その通りなのですが、コロンビアがプレスティッジ・レコードから引き抜いた当時新人のマイルスの宣伝も兼ねているのでしょう。レコード”What is Jazz ?”の発売は1956年とのことですので、マイルスの録音を直ぐに組み込み、直ぐに発売したものと思われます。
バーンスタイン氏は、1943年病気のために指揮が出来なくなったブルーノ・ワルターの代役としてニューヨーク・フィルハーモニックを指揮して成功を収め一躍有名になったそうですが、同楽団の音楽監督に就任するのは1958年のことです。この1956年という時期は未だその地位を確実なものしたとはいえない状況であり、そんな時期に一般の白人たちには単なる黒人音楽として顧みられることのなかった「ジャズ」を正面から語るというのは大変に勇気の要ることであったと思われるのです。しかも氏は中でクォーター・トーンの説明するために何とスワヒリ族の歌を歌っているのです。クラシック界の期待の新星がアフリカの土人の歌を歌う、こんな冒険をするのはこの人くらいでしょうし、それだけ真摯にこのジャズという音楽の素晴らしさを受け止め、多くの人に知ってもらいたいと願っていたのでしょう。
なおこの録音は日本では最初にレコードで発売され後にCD化もされました。僕は双方もっているのですが、もしこれから買おうという方へ中古ショップでどちらも安く出ているので、見かけたらどちらも買われることをお勧めします。というのは、レコードはバースタイン氏のナレーション原文と飯塚経生氏の対訳を掲載しています(レコード・サイズ約7ページ)し、CDの方は小川隆夫が約12ページに渡って詳細に解説してくれています。どちらも大変に参考になるものです。

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