ロニー・ジョンソン 1927年
Lonnie Johnson 1927
<Date & Place> … 1927年5月1日 セント・ルイスにて録音
<Personnel> … ジョー・ブラウン (Joe Brown)
<Contents> … “Lonnie Johnson/Vol.1 1926-28”(Matchbox Records MSE 1006)
| B-4. | スーパー・スティシャス・ブルース | Superstitious blues |
| B-5. | コットン・パッチ・ブルース | Cotton patch blues |
<Date & Place> … 1927年5月1日 セント・ルイスにて録音
<Personnel> … レイモンド・ボイド (Raymond Boyd)
<Contents> … “Lonnie Johnson/Vol.1 1926-28”(Matchbox Records MSE 1006)
| B-6. | ブラックバード・ブルース | Blackbird blues |
| B-7. | アンカインド・ママ | Unkind Mama |
ジョー・ブラウンというどこにでもいそうな名前のブルース・シンガーとレイモンド・ボイドというブルース・シンガーのバックを務めたもの。この二人については全くデータがなく不明である。同日の録音。どちらもテンポはゆったりしていて、両歌手とも朴訥な感じの歌唱法である。いかにもローカルの土臭いブルースだ。B-7.アンカインド・ママではたっぷりとギター・ソロを聴かせてくれる。
<Date & Place> … 1927年5月3日 セント・ルイスにて録音
<Personnel> … ロニー・ジョンソン (Lonnie Johnson)
<Contents> … “Lonnie Johnson/Vol.1 1926-28”(Matchbox Records MSE 1006)
| B-8. | バック・ウォーター・ブルース | Buck water blues |
ロニー・ジョンソン自身のギター&ヴォーカルの弾き語り。ヴォーカルはクセがなく迫力には乏しいが何といっても抜群のギターが光る。ピアノのジョン・アービーは1926年には自身名義のレコードなども吹き込んでいる実績あるピアニストだという。
ジョンソンは、1927年12月のルイ・アームストロングのレコーディングに参加している。
シュラー氏によれば、12月の録音は、まとまりがあり、くつろぎと緊張感を絶妙に配合したものとなっているという。この12月の録音は傑作揃いであるが、特に偉大なギタリストであるロニー・ジョンソンが加わった4面分は素晴らしいとし、ロニーの加入によって、ルイはもはや孤立無援ではなく、強力な援軍を抱えることになったという。ロニーのスウイング感あふれるリズミックな伴奏とルイとの有名な2小節の交換はクラシック・ジャズの華やな成果の一つという。
さらにロニーの影響は、ドッズとオリーにも及んでいて、彼らもルイとの録音の中で最高の演奏を行い、さらにリルでさえ一つ上の演奏を行っているのである。これに加えてピアノの低音部の音域が何らかの理由でうまく録音された。ホット・ファイヴに初めてある種の低音が与えられたのである。このためこれらの録音は過去のどの録音よりも首尾一貫して音楽的に素晴らしい響きを持つことになったとロニー・ジョンソンベタ誉めである。
それほどまでシュラー氏が評価するという人物は、ジャズの歴史の本にも登場しないし、人名辞典にも登場しないが、初期ジャズ、ブルース・ギターのパイオニアの一人で、ルイと共演出来るとしたらこの人物をおいて他にはいないと言えるであろう。
<Date & Place> … 1927年12月9日、10、13日 シカゴにて録音
<Personnel> … ルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・ホット・ファイヴ (Louis Armstrong & his hot five)
<Contents> … 「ルイ・アームストロング傑作集 第3集」(Odeon OR-8004)&「黄金時代のルイ・アームストロング」(EMI TOCJ-5221-28)
| B面2.CD2-20. | ワンス・イン・ア・ホワイル | Once in a while | 12月10日 |
| B面3.CD2-21. | アイム・ノット・ラフ | I’m not rough | 12月10日 |
| B面4.CD2-22. | ホッター・ザン・ザット | Hotter than that | 12月13日 |
| B面5.CD2-23. | サヴォイ・ブルース | Savoy blues | 12月13日 |
この4面分の僕の感想を最初に書いておこう。一言でいえば素晴らしい。シュラー氏によれば、「ホッター・ザン・ザット」と「アイム・ノット・ラフ」に至っては、我々は美学的、演奏技術的な側面での改革者としてのルイの成長のほとんど頂点に対面することとなる。ここで初めてジェリー・ロール・モートンの水準にほぼ匹敵する高度に発達した形式感覚と多彩なテクスチュア―に出会うのであるとする。んー、すごい!
大和氏とシュラー氏の評価を紹介していこう。特にシュラー氏はその著作「初期のジャズ」5ページ半を費やし詳細に記述している。僕には理解できない個所もあるが、賢明な皆さんは膝を打つ場面があるかもしれないと思い引用させていただく。
B面2.CD2-20.ワンス・イン・ア・ホワイル
アンサンブルからルイのメロディックなリードが群を抜いており、ソロでもルイが絢爛たるプレイで圧倒する。特にストップ・タイムに乗ったソロで繰り出す豊かなアイディアが素晴らしいとは、大和氏。
そしてシュラー氏は、ルイによる興味深い最終のストップ・コーラスを含んでいる。これは右の2小節のパターン、すなわち曲の最初の4小節に由来するチャールストンのリズムの拡大型の上で、展開される(譜例12)。
この不均等なパターンの上では、ルイの居心地は必ずしも良くないようで、オリー同様、入りを一度間違えている。彼のコーラスには緊張の気配が漂っており、録音の3分間が終わろうとしていることに突然気付いたかのように、不意に終了する。これと同じような凡庸な終止やしくじりその他の欠点は、ホット・ファイヴとセヴンの録音はほとんど録り直しがなかったというオリーの証言を裏付けるものかもしれない。
B面3.CD2-21.アイム・ノット・ラフ
大和氏は、最も初期のソロ・ギター奏者であるロニー・ジョンソンが客演し、美しく響かせるギター・ソロがフューチャーされる。ラストはリフ・アンサンブルで盛り上げる。
一方シュラー氏は、この曲の出来映えも「ホッター・ザン・ザット」に劣らず素晴らしい。ここでも興味深い形式枠組みが展開される(譜例11)。ロニーが冒頭部で多彩で興味深い音色のみならず異様な強度を加味した、チターのような響きのトレモロ音を導入することによって、この演奏の異例な音調を設定する(A1)。 A1とA2との相違は、後者が真ん中のドッズの2小節の「長い音」のブレイクを含めて、参加者全員によってはるかに威勢良く演奏されている点にある。全体としてアンサンブルによる演奏が、小節の数の点でも質的にも優位を占める。
アンサンブルがニューオリンズの本物のアンサンブルの精神、半ば笑って、半ば泣いてとでも形容するしかないあの異様な精神を取り戻している(スタイル変化うの意気盛んな演奏にしては誠に意外と見えることであろう)。最後のコーラスの真ん中の4小節で驚くべきことが持ち上がる。ルイがアンサンブルを弾むようなダブル・タイムに連れ込む刹那に、オリーが正反対のリズムで2小節の上向するグリッサンドを吹き出す。その結果ここで生まれた対照は、活気あるアンサンブルの即興の中で芽生える直感が偶然もたらす幸福なひと時の一つなのである。
この曲の最初の4小節にはめ込まれた小さな呼びかけと応答のパターン(A1の箇所のTpとTbの間)が、これに続くアンサンブルの3コーラスの中の2つの中に、A3のTpとGt、A6のClとTbの楽句の中に、保存されていることに注目することもまた興味深いところがある。9月と12月のホット・ファイヴの録音が以前のどの録音よりもアンサンブルによるアンサンブルによる演奏を含んでいたことも重要である。奏者の数が減っただけに、長いソロを強調する替わりにソロを最もうまくやれる2人の人間、ルイとロニーに委ねたのである。
B面4.CD2-22.ホッター・ザン・ザット
これもリルの作品で「タイガー・ラグ」を素に書かれた。既に3管アンサンブルはほとんど使われず、ソロのリレーで演奏は進行し、次のスイング時代におけるコンボ演奏の在り方を示唆している。ルイのスキャットとロニーのギターとの短いやり取りも面白い。
ロニー・ジョンソンの加入が重要な役割を演ずる注目すべき演奏である。
アンサンブルとソロは、“ホット・ジャズ”という用語が作られた理由が納得できるようなやり方でスイングしている。その点は別にしても、この曲の形式的な枠組みは、その32小節の下位区分の内部においてのみならず、全体構造においても相当な多様性を示しいているという点で、興味深い(譜例10)。
偏在する2小節のブレイクが演奏のテクスチュアな多様性に貢献していることは明らかである。ついでながら、ルイのブレイク(A1の箇所)は、シュラー氏の記憶では楽句の終止ではなく、次の即興的要素への関連楽句としてのトランペットのブレイクの最初の事例である。楽器編成が冒頭部のフル・アンサンブルから二つのソロのコーラス(リズム・セクションのみ伴奏)を経由して声とギターだけに縮小されると、次いで最初の3コーラスにおける2小節のブレイク群が、これらの2小節のブレイクの全連鎖で構成された半コーラスの楽句を極めて論理的に導く。続いてピアノの間奏が登場し、次第に楽句編成が拡大されて、やがて再びフル・アンサンブルへと復帰し、興味深い断片を織り込んだ最終コーラスの後、はじめの方の2小節のTpとGtのやり取りを回顧して演奏が終了する。
この構造的な枠組みの中に数多くの刺激的な契機が盛り込まれている。まずは歌唱のコーラス(譜例10のA3の箇所)のブリッジにおけるルイのリズム上の創意、チャールストンのリズムの一類型を使って、ルイは、24の符点4分音符の連鎖を組み立てる。この楽句の比類のないスイング感は別にしても2つの点で、これは革新的である。第一に、二つの符点4分音符の単位が3拍に相当すること。したがってルイは、ジョンソンが4/4拍子の伴奏を付けているのに、本質的には4/3拍子で即興していることになる(今日のモダン・ジャズにおいてはありふれていることだが、これが1927年では異例であったことは言うまでもない)。
第二に、このシンコペイションの連続が、ソロイストたちが(とりわけ20年代においては)教条的なまでに固執する傾向にあった伝統的な8小節の分割の枠内で、それを超越して首尾一貫して行われることである。ルイは、このコーラスの26小節目の冒頭に至って初めて3/4拍子のパターンから抜け出るわけだが、このようにして驚異的なほどに現代的な味わいを持つ非均衡を導入したのである。これは、演奏者の無能力によってそうなる場合を別にすれば、同時代の人間がほとんど聞いたことのない感覚だった。
ロニー・ジョンソンは、ルイと2小節のブレイクの交換の際に、相手のフレーズを自由自在に変更し、模倣する(譜例10のB)。その卓抜な技量によって彼の手腕が判断できるというものである。
オリーのソロの後、ルイの自信あふれる華麗なブレイクがフル・アンサンブルを呼び戻すわけだが、そこではまだ彼の切り札を出さず、4小節のストップ・タイム(最終コーラスの第25~28小節)に至って素晴らしい演奏を披露する。時折彼の歌唱のコーラスの3/4拍子のパターンを回顧しながら、その4小節を颯爽と跨ぎ超えていく。この壮観に耳を澄ませていただきたい。
B面5.CD2-23.サヴォイ・ブルース
オリーが録音前夜に書き上げたという作品。アンサンブルも3管の絡みではなく、ハーモニーで進行するなど新しい行き方を示している。ロニーのGtソロに続くルイのソロに心のぬくもりが感じられる。なお、当時(1927年)のルイはCorとTpを併用していたと言われるので、これらの演奏のいくつかはCorではなくTpかもしれない。
この曲と「ワンス・イン・ア・ホワイル」の2曲は成果として他の4曲比べて出来映えとして劣る。
この「サヴォイ・ブルース」はルイが火花を散らすようなソロに終始する。3か所のアンサンブルによる演奏のうち、2か所はごく単純な編曲で、一つだけがアンサンブルの即興演奏である。
<Date & Place> … 1927年12月17日 シカゴにて録音
<Personnel> … ロニー・ジョンソン (Lonnie Johnson)
<Contents> … “Lonnie Johnson/Vol.2 1927-32”(Matchbox Records MSE 1013)
| A-1. | カンサス・シティ・ブルース・パート1 | Kansasu City blues part1 |
| A-2. | カンサス・シティ・ブルース・パート2 | Kansasu City blues part2 |
カンサス・シティ・ブルース
ルイ・アームストロングとの歴史的なセッションの4日後に行われた吹込みは、ピアノのド・ロア・サーチ―とのコンビで行われた。ゆったりとしたテンポのブルースで、歌詞の内容はともかくノンビリとした雰囲気が漂う。
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