メリー・ルー・ウィリアムス 1936年
Mary Lou Williams 1936
メリー・ルー・ウィリアムスは、粟村氏の名著『ジャズ・レコード・ブック』は183名のジャズマンを取り上げている中で唯一の女性器楽奏者である。その中で粟村師は次のように彼女を紹介する。
「ジャズ史上最高の女性器楽奏者と言われる彼女は、かつてアンディ・カークのバンドに提供した優れたアレンジの数々と”Lady who swings the band”と讃えられた簡潔でブルース・フィーリング溢れたピアノ・ソロによってスイング・イーラに忘れられない足跡を残した。
彼女はアール・ハインズから大きな影響を受けブギー並びにブルースの名手として名を成したが、時代の変遷と共に(中略)モンクやバド・パウエルの影響さえ巧みに消化して我々を驚かせた。(中略)また、ランスフォード、BG、ノーヴォ、エリントンといった有力バンドに提供した彼女のアレンジの素晴らしさについてもご存知の方は多いに違いない」と。そして彼女のアルバムというのも残念ながら、そうそうは見かけないのである。
<Date&Place> … 1936年3月2日 ニュー・ヨークにて録音
<Personnel> … アンディ・カークと彼のトゥエルヴ・クラウズ・オブ・ジョイ(Andy Kirk and his twelve clouds of joy)
<Contents> … 「MCAジャズの歴史」(MCA records VIM-17〜19)
Record 2B-4.[ウォーキン・アンド・スインギン](Walkin’ and swingin’)
「MCAジャズの歴史」に取り上げられたこの曲は、アンディ・カーク全盛時代の名演の一つに数えられているものである。作・編曲はもちろんメリー・ルー・ウィリアムス。力強くノリを生み出すリフと複雑なアンサンブルがうまくかみ合い他のバンドとは一線を画した興味深い演奏が聴ける。メリーのPソロ、実に短いが名手ウィルソンのTsソロが素晴らしい。
因みにレコード解説で、ギター奏者の名が、「テッド・ブリンソン」となっているが、どうググってもそういうギター奏者はおらず、他の解説書などでは「テッド・ロビンソン」となっているので、レコード解説の誤りだろうと思う。
<Date&Place> … 1936年3月7日 ニュー・ヨークにて録音
<Personnel> … メリー・ルー・ウィリアムス(Mary Lou Williams)
<Contents> … 「MCAジャズの歴史」(MCA records VIM-17〜19)
Record2 B-5.[オーヴァーハンド](Overhand)
ディスコグラフィーなどを見ると彼女は、1929年からメンフィス・ストンパーズでレコーディングを経験しているようだが、アンディ・カークと共にニュー・ヨークに上って録音した3月2日と本録音が僕の持っている最も古い吹込みである。
メリー・ルーのオリジナルのブルースである。カンサス風のブギ・ウギ・スタイルで演奏される。女性とも思えぬ力強いタッチでスケールの大きい演奏である。
<Date&Place> … 1936年4月2日 ニュー・ヨークにて録音
<Personnel> … アンディ・カークと彼のトゥエルヴ・クラウズ・オブ・ジョイ(Andy Kirk and his twelve clouds of joy)
3月2日からの移動
Trombone … ヘンリー・ウエルズ ⇒ In
<Contents> … "The best of Andy Kirk"(MCA2-4105)
| record1 A-1. | アンティル・ザ・リアル・シング・カムズ・アロング | Until the real thing comes along |
バンドの専属歌手、ファー・テレルの天井声のヴォーカルをフューチャーしたナンバー。テレルはカークの地元カンサス・シティのナイト・クラブで歌っているところをカークにスカウトされたという。この曲は彼の代表的なヒット曲になったという。ピアノのイントロの後直ぐにヴォーカルとなる。間奏はTsがリードするアンサンブルである。
<Date&Place> … 1936年12月9日 ニュー・ヨークにて録音
<Personnel> … アンディ・カークと彼のトゥエルヴ・クラウズ・オブ・ジョイ(Andy Kirk and his twelve clouds of joy)
Alto sax … アール・ミラー(Earl Miller) ⇒ In
<Contents> … "The best of Andy Kirk"(MCA2-4105)
| record1 A-2. | フィフティ・セカンド・ストリート | Fifty second street |
| record1 A-3. | ホワット・ウィル・アイ・テル・マイ・ハート | What will I tell my heart |
| record1 A-4. | ザ・レディ・フー・スイングス・ザ・バンド | The lady who swings the band |
| record1 A-5. | デディケイテド・トゥ・ユー | Dedicated to you |
A-2.[フィフティ・セカンド・ストリート]
スインギーなナンバーで、この曲もヴォーカル入りだが、歌っているのは「ハリー・ミルズ」(Harry Mills)という歌手だという。「ハリー・ミルズ」という歌手はミルズ・ブラーズでバリトンを担当している四男坊しか思い当たらないが、兄弟と離れてレコーディング参加したとも思えず、よく分からない。
ヴォーカルの後ウィリアムスのピアノ・ソロ、ウィルソンのTsソロ、再び短いピアノ・ソロが入り、短いClソロ、アンサンブルとなって終わる。
A-3.[ホワット・ウィル・アイ・テル・マイ・ハート]
これもヴォーカル入りで、こちらはテレル。ゆったりとしたバラード調。間奏はTsソロ、アンサンブル、Pソロ、再びヴォーカルに戻り、エンディングとなる。
A-4.[ザ・レディ・フー・スイングス・ザ・バンド]
こちらはハリー・ミルズがヴォーカルを取る。オブリガードはウィリアムスのP、ソロもまずはウィリアムスのPからTs、Pに戻り、Clソロ、そして短いP,Clソロからヴォーカルとなる。目まぐるしい展開で、タイトルの「ザ・レディ・フー・スイングス・ザ・バンド」とは勿論ウィリアムスのこと。
A-5.[デディケイテド・トゥ・ユー]
テレルのヴォーカル・ナンバー。この曲もスロウで、テレルはスロウ・バラッドを得意としたのであろう。ソロはミュートTp。
"The best of Andy Kirk"(MCA2-4105)の1936年の収録曲は、ヴォーカル・ナンバーばかりでジャズ的に興味をそそられない。
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