1929〜30年にかけてのニュー・ヨークでの録音は、シカゴではM.K.C.P.のメンバーによる録音であるのに対し、強力なソロイストを補強した臨時編成バンドによる録音である。
デトロイトで仕事があったために、ニュー・ヨークには一部のメンバーしか来れなかったということになってはいるが、ソロイストにスターがいないという弱みをカバーするためのアイディアとみることもできる。因みにそのソロイストとは、ジョー・スミス(Tp)、シドニー・ド・パリス(Tp)、コールマン・ホーキンス(Ts)、ベニー・カーター(As)といった一流どころのプレイヤーが呼ばれた。
| Band leader | … | ウィリアム・マッキニー | William McKinney | |||
| Trumpet | … | ジョー・スミス | Joe Smith | 、 | シドニー・ド・パリス | Sidney De Paris |
| Trombone | … | クロード・ジョーンズ | Claude Jones | |||
| Arrangement , Alto sax & Vocal | … | ドン・レッドマン | Don Redman | |||
| Alto sax | … | ベニー・カーター | Benny Carter | |||
| Tenor sax | … | コールマン・ホーキンス | Coleman Hawkins | |||
| Banjo | … | デイヴ・ウィルボーン | Dave Wilborn | |||
| Tuba | … | ビリー・テイラー | Billy Taylor |
このようにゲスト的にスター的なソロイストが加わっての録音は、1928年よりエキサイティングな仕上がりとなり、一連のニューヨーク録音は、非常に好評を博したという。
| B面1曲目 | プレイン・ダート | Plain dirt | 11月5日 |
| B面2曲目 | ジー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー | Gee , Ain't I good to you | 11月5日 |
| B面3曲目 | ザ・ウェイ・アイ・フィール・トゥディ | The way I feel today | 11月5日 |
| B面4曲目 | ミス・ハナ | Miss Hannah | 11月5日 |
| B面5曲目 | ホェアエヴァ・ゼアズ・ア・ウィル・ベイビー | Wherever there's a will , baby | 11月7日 |
B-1.プレイン・ダート
編曲はジョン・ネスビットで、ソロ・オーダーはシドニー(Tp)⇒クロード(Tb)⇒ホーキンス(Ts)だというが、いずれも極めて短く思う存分その腕を発揮したという感じではない。
B-2.ジー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
レッドマンの編曲で、ソロ・オーダーはスミス(Tp)⇒シドニー(Tp)⇒カーター(As)⇒レッドマン(Vo)だという。テーマ部分のソロはスミスで美しい音色である。続くオープンのソロはシドニー、続くカーターのソロも見事、解説に拠るとこの時期カーターは全てのサックス奏者の目標になっていたという。
B-3.ザ・ウェイ・アイ・フィール・トゥディ
レッドマンの編曲で、ソロ・オーダーはクロード(Tb)⇒スミス(Tp)⇒レッドマン(Vo)⇒ホーキンス(Ts)だという。短いからかもしれないが、クロードもスミス、ホーキンスに引けを取らない吹奏ぶりだと思う。
B-4.ミス・ハナ
ソロ・オーダーは、レッドマン(As、Vo)⇒シドニー(Tp)⇒カーター(Cl)⇒ホーキンス(Ts)。このB面すなわちニュー・ヨーク録音面では、レッドマンはこの曲しかソロを取っていない。その理由を聞かれたレッドマンは「私は、ベニー・カーターのように演奏できるとは思っていないからだ」と語ったという。ここで聴かれるカーターのクラリネット・ソロは彼の代表作の一つと言われているという。また、アームストロング直系と言われるシドニーのソロも素晴らしい。シュラー氏はこれらに全く触れず、チューバのビリー・テイラーの華麗なプレイによって、ジャズ・レコードでの最低音D♭が披露されていると記載している。
B-5.ホェアエヴァ・ゼアズ・ア・ウィル・ベイビー
こちらは2日後の11月7日の録音。M.K.C.P.のメンバー以外について変動があるかどうかは不明。ソロ・オーダーはシドニー(Tp)⇒レッドマン(Vo)⇒ホーキンス(Ts)。ホークは少々粗削りな面もあるが、後の男性的な持ち味を先取りするような堂々たるソロを展開している。