ミード・“ラックス”・ルイス 1941年

Meade "Lux" Lewis 1941

僕の持っているルイスの1941年唯一のレコードである。生粋のニューオリンズ生まれのクラリネット奏者エドモンド・ホールの初リーダー作への参加である。この録音はギター、それもアコースティック・ギターでチャーリー・クリスチャンが加わっていることで話題になった。この実に意外な組み合わせで、また意外なことにルイスがピアノではなくチェレスタを弾いているのである。そしてさらにこの録音はこの年唯一のブルーノート・レーベルの録音でもある。母国ドイツがナチス下でヨーロッパ中を戦乱の渦に巻き込んでいる中、ライオン氏としてはあまり目立った行動は差し控えたのかもしれない。

「チャーリー・クリスチャン&エドモンド・ホール/メモラブル・セッションズ」レコード・ジャケット

<Date&Place> … 1941年2月2日(2月5日という説) ニューヨークにて録音

<Personnenl> … エドモンド・ホール・カルテット(Edmond Hall Quartet)

Clarinetエドモンド・ホールEdmond Hall
Guitarチャーリー・クリスチャンCharlie Christian
Celesteミード・ルクス・ルイスMeade Lux Lewis
Bassイスラエル・クロスビーIsrael Crosby

吹込みの人選に当たっては、ライオン氏とホールで行ったのであろう。ホールとクリスチャンは一度共演歴がある。BGが坐骨神経痛の手術で休暇中の1940年10月エディ・ハワードというポピュラー歌手の伴奏を務めたビル・コールマンのバンドで顔を合わせている。ライオン氏とジョン・ハモンド氏は知人の間柄なので、ハモンド氏が間を取り持ったのかもしれない。ともかくエレキ・ギターで売ったクリスチャンがアンプなしのギターを弾いており、クリスチャンがアコースティック・ギターを弾いた録音はこれしか存在しないという。もしかするとホールの要望だったのかもしれない。
また意外なのは、ブギ・ウギ・ピアノで鳴らしたミード・ルクス・ルイスがチェレスタを弾いているとこである。粟村政昭氏などは「珍盤」と評し、瀬上保男氏は「ジャズ・レコード史上最もユニークな楽器編成の傑作」と評している。僕は全篇を通して「このチェレスタがなかったら傑作度が上がったろうに」と思ってしまう。どうしてもブルースとチェレスタの音の響きは合わないと思うのである。

<Contents> … 「チャーリー・クリスチャン&エドモンド・ホール/メモラブル・セッションズ」(Blue Note NR-8101)&「ブルーノートSP時代 1939−1952」(TOCJ-5231〜38)

A面1.&CD3-1.ジャミン・イン・フォアJammin' in four
A面2.&CD3-2.エドモンド・ホール・ブルースEdmond Hall blues
A面3.&CD3-3.プロファンドリー・ブルーProfoundly blue
A面4.&CD4-7.プロファンドリー・ブルーProfoundly blue
A面5.&CD3-4.セレスチャル・エクスプレスCelestial express
「ジャミン・イン・フォア」
ルイスのイントロで始まるアップ・テンポのブルース。ソロはルイスからホール、クリスチャン、クロスビーからホールがリードするアンサンブルで終わる。
「エドモンド・ホール・ブルース」
ゆったりとしたブルース。情感のこもったホールのプレイが素晴らしい。バックを付けるチェレスタがうるさい。クリスチャンに付けてほしいと思う。
「プロファンドリー・ブルー」
粟村政昭氏がその名著『ジャズ・レコード・ブック』で「名演」と評している。実にゆったりとしたナンバーで、初めにソロを取るのはクリスチャン、そして徐にホールが音数を減らしたソロを展開し、ルイスのチェレスタがソロの後、全員で合奏となる。
「セレスチャル・エクスプレス」
少しテンポを上げた演奏。多分ブギー・ウギー調だと思うが、チェレスタだとそう聴こえない。エンディングはリフで盛り上げをはかっている。
この一連の録音はエドの初リーダー作で、クリスチャンがアコースティック・ギターをプレイし、ルイスのチェレスタを弾くという多分実験作なのだろう。実験するなとは言わない。しかしこの実験が成功か失敗かと言えば自ずと答えは見えているのではないか?2度とこの種の編成でブルーノートも、エドも録音していないことからも明らかである。歴史的価値はあるかもしれないが、愛聴盤とはならないレコードである。

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