ナット・キング・コール(本名:ナサニエル・アダムズ・コールズ Nathaniel Adams Coles)と言えば、僕や僕の親世代などにはヴォーカリストとして有名で、その甘い歌声の中にも黒人独特の粘っこさもある独特の声でたくさんの人々を魅了したものだった。しかし彼は元々はピアニストであり、僕の最も信頼する評論家の粟村政昭氏などは、「歯切れの良いタッチ、、比類のないスイング感を持ち、上品なユーモアと強力な左手を備えた稀に見る趣味の良いピアニスト」とベタ褒めである。
少し後にデビューしたヴォーカルも上手いオスカー・ピーターソンと同じ芸風であり、コールはピアノを弾かずヴォーカルに徹するから、ピーターソンは歌を歌わずピアノに徹するという取引をしたという噂があり、
この話は単なる根も葉もない都市伝説と思われていたが、実際2人はそういう話をしたという打ち明け話があり周囲を驚かせた。
1936年兄でベーシストのエディ・コールの率いる六重奏団に加わってプロとしてのキャリアをスタートさせ、紆余曲折の末ソロ・ピアニストとしてナイト・クラブで活動を開始した。ニューヨークに進出した折、ナイト・クラブで歌ったところ「こんな下手な歌はダメだ」マネージャーに怒られたというから、歌はその後上手くなったのだろうか?その後カリフォルニアに移り、1939年にはピアノ、ギター、ベースのシンプルな編成からなる「ナット・キング・コール・トリオ」を結成して活動を始める。このトリオは好評で、ロスアンゼルスに来ていたベニー・グッドマン楽団に在籍していたライオネル・ハンプトンが1940年ナイト・クラブで演奏しているところを聞きに行き、レコーディングに起用することになったのである。
| Band leader & Vibraphone | … | ライオネル・ハンプトン | Lionel Hamton |
| Piano | … | ナット・キング・コール | Nat King Cole |
| Guitar | … | オスカー・ムーア | Oscar Moore |
| Bass | … | ウェズリー・プリンス | Wesley Prince |
| Drums | … | アル・スピールドッグ | Al Spieldock |
| Vocal | … | ヘレン・フォレスト | Helen Forrest |
コール、Gのオスカー・ムーア、Bのウェズリー・プリンスはコール・トリオのオリジナル・メンバー。ドラムのスピールドックは、全く不明の人物で現地のミュージシャンではないかと思う。ヴォーカルのヘレン・フォレストはBG楽団の専属歌手である。
| Record5.B-1 | ハウス・オブ・モーガン | House of Morgan |
| Record5.B-2 | アイド・ビー・ロスト・ウィズアウト・ユー | I'd be lost without you |
| Record5.B-3 | セントラル・アヴェニュー・ブレークダウン | Central avenue breakdown |
| Record5.B-4 | ジャック・ザ・ベルボーイ | Jack the bellboy |
前回5月10日と同じメンバー。
| Record5.B-5 | ドゥ・ラ・メ・テイク1 | Dough-Ra-Me take1 |
| Record5.B-6 | ドゥ・ラ・メ・テイク2 | Dough-Ra-Me take2 |
| Record5.B-7 | ジャイヴィン・ウィズ・ジャーヴィス | Jivin’with Jarvis |
| Record5.B-8 | ブルー・ビコーズ・オブ・ユー | Blue because of you |
| Record5.B-9 | ゴースト・オブ・ア・チャンス | A ghost of a chance |
ライオネル・ハンプトンの1940年5月の吹込みに起用されレコード・デビューを果たしたナット・キング・コール率いるトリオは、その後デッカと契約する。そして1941年10月まで計4回のセッションで16曲の吹込みを行うことになる。音源は「ナット・キング・コール/イン・ザ・ビギニング」(Nat “King” Cole/In the begininng)MCA records VIM-4514である。
| Band leader & Piano | … | ナット・キング・コール | Nat King Cole |
| Guitar | … | オスカー・ムーア | Oscar Moore |
| Bass | … | ウェズリー・プリンス | Wesley Prince |
| A面1. | ハニーサックル・ローズ | Honeysuckle rose |
| A面3. | スイート・ロレイン | Sweet Lorraine |
| A面6. | ジス・サイド・アップ | This side up |
| B面1. | ゴーン・ウィズ・ザ・ドラフト | Gone with the draft |
キング・コールズ・スイングスターズ名義の録音は1939年からいくつかあるが、トリオでのある程度メジャーなレーベルへの録音は初めてとなる。
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