テディ・ウィルソンはわが国でも大変な人気を誇るピアニストであった。というか現在でも彼の弾くピアノを愛好するファンは数多い。モダン・ピアノからカクテル・ピアノまであらゆるピアニストに影響を与えたスタイリストであると言われるが、彼のピアノの魅力とはどんなところであろう。一言でいえば「端正で趣味が良く小気味よく軽快にスイングする」というところではないだろうか?「端正」も「趣味が良い」も「小気味よい」も非常にあいまいな形容詞なので、言葉で説明するのは難しいが、ベニー・グッドマンとのコンボや一連のブランズウィック・セッションなど全盛時代の彼のプレイを聴くと先ほどの形容詞が浮かんででくるのである。
彼は1912年テキサス州で生まれ、30年にデトロイト経由でシカゴに出て、31〜33年までルイ・アームストロングやアースキン・テイト等とプレイしていたという。そのころにルイのオーケストラに加わって録音に参加した1933年の録音が彼のレコード・デビューだと思われる。ディスコグラフィーを見てもこれ以前の録音はないので間違いないであろう。
テディ・ウィルソンはBG時代になるとその影は薄くなるが、アール・ハインズの影響を強く受けてそのキャリアをスタートさせたというが、そのハインズとかつて名コラボを行ったルイには、極めて好ましいピアニストと映ったのではないだろうか?
| Trumpet , vocal , speech & conduct | … | ルイ・アームストロング | Louis Armstrong | |||
| Trumpet | … | エリス・ホィットロック | Ellis Whitlock | 、 | ジルナー・ランドルフ | Zilner Randolph |
| Trombone | … | ケグ・ジョンソン | Keg Johnson | |||
| Clarinet & Alto sax | … | スコヴィル・ブラウン | Scoville Brown | 、 | ジョージ・オールダム | George Oldham |
| Clarinet & Tenor sax | … | アルバート・バッド・ジョンソン | Albert“Budd”Johnson | |||
| Piano | … | テディ・ウィルソン | Teddy Wilson | |||
| Banjo & Guitar | … | マイク・マッケンドリック | Mike McKendrick | |||
| Tuba & String Bass | … | ビル・オールダム | Bill Oldham | |||
| Drums | … | ヤンク・ポーター | Yank Porter |
| CD-2. | 想いのまま | I’ve got the world on a string | 1月26日 |
| CD-3. | ブルースを歌おう | I Gotta right to sing the blues | 1月26日 |
| CD-4. | ハッスリン・アンド・バーストリン・フォー・ベイビー | Hustlin’and bustlin’for baby | 1月26日 |
| CD-5. | シッティン・イン・ザ・ダーク | Sittin’in the dark | 1月26日 |
| CD-6. | ハイ・ソサイエティ | High society | 1月26日 |
| CD-7. | ヒーズ・ア・サン・オブ・ザ・サウス | He's a son of the south | 1月26日 |
| CD-8. | サム・スイート・ディ | Some sweet day | 1月27日 |
| CD-9. | ベイズン・ストリート・ブルース | Basin street blues | 1月27日 |
| CD-10. | ハニー・ドゥ! | Honey , do ! | 1月27日 |
| CD-11. | スノウボール | Snowball | 1月28日 |
| CD-12. | マホガニー・ホール・ストンプ | Mahogany hall stomp | 1月28日 |
| CD-13. | スイング・ユー・キャッツ | Swing you cats | 1月28日 |
CD-2.[想いのまま]では、ルイのカウントの後にウィルソンが短いイントロを弾き、CD-3.[ブルースを歌おう]共にルイのヴォーカルの前後にも極めて短いパッセージを弾いている。他ではCD-9.[ベイジン・ストリート・ブルース]のイントロで短いパッセージを弾いている程度で、アンサンブル中にピアノの音は聴こえるがソロを弾いている曲はない。さらにCD-6.[ハイ・ソサイエティ]やCD-12.[マホガニー・ホール・ストンプ]のようなニュー・オリンズ系の曲では、そもそもピアノの音もあまり聞こえない。
ただそういわれて聴くと、数少なく短いパッセージの中にハインズの影響が聴こえるような気もする。しかし残念ながらこれといったソロもないのはまだ新人扱いだったのであろう。
| Band reader& Clarinet , Alto sax & Arrangement | … | メズ・メズロウ | Mezz Mezzrow | ||||||
| trumpet | … | マックス・カミンスキー | Max Kaminsky | 、 | フレディ・グッドマン | Freddy Goodman | 、 | ベン・グシック | Ben Gusick |
| Trumpet, Alto sax, Vocals & Arrangement | … | ベニー・カーター | Benny Carter | ||||||
| Trombone | … | フロイド・オブライエン | Floyd O'Brien | ||||||
| Tenor sax | … | ジョニー・ラッセル | Johnny Russell | ||||||
| Piano | … | テディ・ウィルソン | Teddy Wilson | ||||||
| Guitar | … | クレイトン・デュア | Clayton "Sunshine" Duerr | ||||||
| Bass | … | ポップス・フォスター | Pops Foster | ||||||
| Drums | … | ジャック・マイセル | Jack Maisel |
パーソネルはWebから検索した。
| A面1. | ディソナンス | Dissonance |
| A面2. | スインギン・ウィズ・メズ | Swingin’with Mezz |
| A面3. | ユーア・ナット・ザ・ワン・フォー・ミー | Love , you're not the one for me |
このセッションでは、ウィルソンの華麗で端正なピアノ・ソロを聴くことができる。
A-1.[ディソナンス]
メズロウ作。第1コーラスのサビを取るのはカミンスキー。オブライエンのソロ(Tb)をはさんで出るのは、メズロウ(As)で、P、Tsに続くTpソロはカーターであるという。Pソロがいいなぁと思ったらテディ・ウィルソンだった、さすがだな。
A-2.[スインギン・ウィズ・メズ]
アレックス・ヒルとメズロウの共作で、アレンジも2人である。メズロウがClとAsで2度ソロを取り、最後に出るTpソロはカーターであるという。
A-3.[ユーア・ナット・ザ・ワン・フォー・ミー]
ゆったりとしたメロウなナンバーで、Tbがアンサンブルをリードする。ここでのアレンジはカーターで、珍しいカーターのヴォーカルも入っている。これがなかなかうまい。ヴォーカル後のAsソロはカーターではないかと思う。続く短いがPソロも良い。