テディ・ウィルソン 1936年
Teddy Wilson 1936
テディ・ウィルソンのブランズウィックでの全133曲のディスコグラフィーを見ると、1936年のレコーディング・セッションは8回、31曲(内1曲は破棄)がレコーディングされているので、35年に比べると格段に増えているといえる。
その内「ザ・テディ・ウィルソン」に収録されているのは14曲、「ビリー・ホリディ物語」に収録されているのが12曲である。
テディ・ウィルソンにはブランズウィック・セッション以外の録音やブランズウィック・セッションでもビリーの加わっていない録音もあり、結構数多くの録音を残している。
ともかく順番に聴いていこう。右の写真はテディ・ウィルソン(左)とビリー・ホリディ(右)。真ん中の人物は不明。
<Date & Place> … 1936年1月30日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ビリー・ホリディ第1集」(CBS SONY SOPH 61-62)&「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| 曲名 | 原題 | 収録アルバム | 収録個所 |
| 人生は恋ありてこそ | Life begins when you're in love | 「ビリー・ホリディ物語」 | record1.B-8 |
| リズム・イン・マイ・ナーザリー・ライムス | Rhythm in my nursery rhymes | 「ザ・テディ・ウィルソン」 | record1.B-1 |
1936年最初のセッションは1月30日に行われた。ディスコグラフィーによれば、上記の2曲が録音されたようである。そしてインストものは「ザ・テディ・ウィルソン」に、ヴォーカルで参加したビリー・ホリディの歌入りは「ビリー・ホリディ物語」に収録されている。パーソネルは元々1回毎に変わることを前提としたシステムなので、ああそうですかという感じだが、新顔のクリス・グリフィンは5月からBGの録音に参加しているTp奏者なので、登場としてはこちらが早い。同じくTsのテディ・マクレーも初登場。こちらは拙HPではチック・ウェッブの録音で登場している。
record1 B-8.[人生は恋ありてこそ]
出だしのグリフィンのミュート・ソロ、それを受けて出る(ヴォーカル後も)マクレーが良い感じだ。巨泉氏はビリーもよく泣いていて(?)いいが得意なタイプの曲ではないとしている。日本ではアート・カール楽団の「スザンナ」(フォスターではない)のB面として発売され、この曲で油井正一氏はビリーを知り、一生忘れえぬ存在になったというエピソードを明かしている。
record1 B-1.[リズム・イン・マイ・ナーザリー・ライムス]
2ビートで少々デキシー風に演奏される。わざとそういうアレンジをしているのかは分からないが、少しコーニーな感じがする。合奏の後テディがまずソロを取る。続いてグリフィン、マクレーがソロを取り再びデキシー風の合奏に移る。
テディ・ウィルソンのブランズウィック2度目のセッションは3月に行われたが、ここでヴォーカルはビリーではなく、エラ・フィッツジェラルドが起用された。
<Date & Place> … 1936年3月17日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| record1 A-7. | クリストファー・コロンバス | Christopher Columbus |
| record1 A-8. | オール・マイ・ライフ | All my life |
2度目の録音は3月に行われた。ディスコグラフィーによれば、録音は全4曲、その内1曲は破棄され、1曲は未収録で2曲が収録されている。ここで注目は、「オール・マイ・ライフ」を歌うエラ・フィッツジェラルドである。チック・ウェッブ楽団の専属として1935年にレコード・デビューしているが本格的な吹込み活動はこの年からであり、この年は2月にチックの楽団で吹込み行っている。このエラをどのようにしてブランズウィック・セッションに連れてきたのだろうか?連れてきたのはジョン・ハモンド氏と思われるが、ミルドレッドにビリー、そしてエラとハモンド氏の見る目は確かである。
後にベニー・グッドマンが親しかったチックからエラを借りて録音を行い大問題となったくらいだからこの録音が揉めなかったはずはないと思うのだが、「ザ・テディ・ウィルソン」の解説書氏は全く触れていない。
record1 A-7.[クリストファー・コロンバス]
これまでBG、ヘンダーソン楽団も録音しているチュー・ベリー作の当時の人気曲で、迫力あるリズム・セクションに乗って、モートン(Tb)、ウィルソン(P)、マクレー(Ts)が力強いソロを展開する。
record1 A-8.[オール・マイ・ライフ]
Tb、Tpの短いイントロの後に展開するウィルソンのソロがリリカルで正に本領発揮。エラのヴォーカルも若々しく、素直で伸びやかであり素晴らしい。 ヘレン・ウォードの歌ったBGヴァージョン(4月24日録音なので順序は後、バックはBGトリオ)と比べるのも面白い。
<Date&Place> … 1936年4月24、27日 シカゴにて録音
<Personnel> … ベニー・グッドマン・トリオ(Benny Goodman Trio)
<Contents> …「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMG BVCJ-7030)
| CD3-8. | チャイナ・ボーイ | China boy | 4月24日 |
| CD3-9. | モア・ザン・ユー・ノウ | More than you know | 4月24日 |
| CD3-10. | オール・マイ・ライフ | All my life | 4月24日 |
| CD3-11. | レディ・ビー・グッド | Oh! Lady be good | 4月27日 |
| CD3-12. | ノーボディーズ・スイートハート | Nobody’s sweetheart | 4月27日 |
| CD3-13. | ほんとじゃ良すぎる | Too good to be true | 4月27日 |
CD3-8.[チャイナ・ボーイ]
アップ・テンポのナンバーで野口久光氏は実に傑作としている。クルーパのブラシによる名人芸のソロが聴けるナンバー。BGも負けじと素晴らしい。
CD3-9.[モア・ザン・ユー・ノウ]
スロー・バラードで、BGはシンプルなウィルソンのピアノをバックに実に気持ちよさそうに吹いている。
CD3-10.[オール・マイ・ライフ]
ウォードのヴォーカル入り。野口氏はウォードは19歳とは思えないうまさだとしているが、ウォードは1913年9月生まれという記述と1916年9月生まれという記述がある。もし1916年生まれとすればこの時点で19歳である。うまさに関しては正に同感で、過剰な表現を避け素直に歌い上げている。この曲でのウォードは好きだなぁ。野口氏とは逆にこれまでのウォードの歌唱の世慣れた感じは何だったのかと思ってしまう。
一方山輝夫ほどのえらは1918年生まれの18歳。18歳対19歳のヴォーカル対決とするとこの時点では、ウォードの方が1日の長ありという感じである。
CD3-11.[レディ・ビー・グッド]
ガーシュイン兄弟作で、スイング時代によく取り上げられたナンバー。この曲についても、野口氏は実に傑作としている。
CD3-12.[ノーボディーズ・スイートハート]
BGは速めのテンポに乗って快調に飛ばしていく。クルーパのソロもアイディアに富んだもの。
CD3-13.[ほんとじゃ良すぎる]
ウォードのヴォーカル入り。こちらも素直な表現で好感が持てる。
<Date & Place> … 1936年5月14日 シカゴにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| record1 A-1. | ブルース・イン・C・シャープ・マイナー | Blues in C sharp minor |
| record1 A-2. | メアリーの子羊 | Mary had a little lamb |
| record1 A-3. | 本当かしら | Too good to be true |
| record1 A-4. | ウォーミン・アップ | Warmin’up |
1936年第3回目の録音は、5月14日シカゴのグランド・テラスに出演中だったフレッチャー・ヘンダーソン楽団の猛者共6人にウィルソンが加わるという、気心の点ではまさに理想的な形で行われた。
record1 A-1.[ブルース・イン・C・シャープ・マイナー]
この2枚組セットの冒頭を飾るにふさわしいキャッチ―な曲を選んだというのが正しいだろう。印象的なベースのフレーズは、一度聴いたら忘れられない。クロスビーはこの曲において名声を確立したという。クロスビーのBに注目が集まるが、印象的なベースのイントロの後に出るウィルソンのピアノも音数を減らして間を活かしたソロはまさに彼の真骨頂というべきであろう。しかし本当に素晴らしいのは、エルドリッジで前後に2コーラス吹くが、1回目が余りにエモーショナルで泣きが効いた素晴らしいソロを取ったので、もう一度取ったのではないかとさえ思える。もちろんベイリー、ベリーのソロも抑えが効いて効果的なものである。
また、タイトルは「C♯マイナーのブルース」というジャム・セッションで行ったことを素直にタイトルにしただけだがそもそも「C♯マイナー」のブルースというのは珍しい。なぜこのキーを選んだのかウィルソンに訊いてみたいものだ。
record1 A-2.[メアリーの子羊]
フレッチャー・ヘンダーソンも少し後、5月23日に録音している。実に楽しいナンバーで、ここでのヴォーカルはエルドリッジ。テーマの後に出るベリーのTsソロがホーキンスほど唸らないホーキンス派のプレイで素晴らしい。ここではベリーが2度ソロを取るが、前曲同様ベリーが良いので、もう一度取ったのかとも思ってしまう。そういえば彼はヘンダーソン楽団での録音でもよいソロを取っていた。もちろんエルドリッジ、ベイリーも良い。
record1 A-3.[本当かしら]
BGトリオでは「本当じゃ良すぎる」という日本タイトルが付き、ヘレン・ウォードの歌入りであった(36年4月27日録音)。ややゆったりとしたテンポでここでもベリーが素晴らしいプレイを聴かせてくれる。当時としては長めのソロで実に聴き応えがある。次に出るウィルソンのソロもリリカルで申し分ない。そしてエルドリッジの歌い上げるソロも活きている。
record1 A-4.[ウォーミン・アップ]
テンポを上げてスインギーなナンバーに仕立てている。まずソロを取るのはベイリー(Cl)でこれが良い。と思っていると次に出るベリー(Ts)、エルドリッジ(Tp)、ウィルソン(p)と名人芸の連発である。
全体としてこの日のセッションは、ウィルソンのブランズウィックにおける全セッションの中でも白眉のものではないかと思われる。やはり一流のソロイストが揃うと出来映えも素晴らしいという当然といえば当然な結果になっている。ただ惜しむらくは、粟村師も書いているが録音を安上がりにするため、ほとんどがヘッド・アレンジでエンディングがディキシー風の集団合奏で締め括ることが多く、これがコーニーが感じになってしまっていることである。
<Date & Place> … 1936年6月30日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ビリー・ホリディ第1集」(CBS SONY SOPH 61-62)&「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| 曲名 | 原題 | 収録アルバム | 収録個所 | 収録アルバム | 収録個所 |
| 高嶺の花 | It's like reaching for the moon | 「ビリー・ホリディ物語」 | record2.A-1 |
| 想い出のたね | These foolish things | 「ビリー・ホリディ物語」 | record2.A-2 |
| 今度は貴方が泣く番よ | I cried for you | 「ビリー・ホリディ物語」 | record2.A-3 |
| 誰だか解る? | Guess who ? | 「ビリー・ホリディ物語」 | record2.A-4 | 「ザ・テディ・ウィルソン」 | record1.B-3 |
| 内気な恋 | Why do I lie to myself about you | 「ザ・テディ・ウィルソン」 | record1.B-2 |
第4回目のセッションは、場所をニューヨークに戻し、歌手にビリー・ホリディを加えて6月30日に行われた。全5曲の録音で、ビリー入りの4曲は「ビリー・ホリディ物語」に、インストの1曲と何故かビリーの歌入り1曲(「誰だか解る?」)の2曲が「ザ・テディ・ウィルソン」に収録されている。つまり珍しく「誰だか解る?」は双方に収録されている(ただし「ザ・テディ・ウィルソン」では「ゲス・フー」)と英語を読んだものになっているが)。
このセッションの聴き処は、ホッジス、カーネイといったエリントニアン参加と何といってもビリーのヴォーカルである。「ビリー・ホリディ物語」解説の大和明氏は、以下のように詳細に解説してくれる。
この日のビリーのヴォーカルには、初期における彼女の唱法の特色が十分に披露されている。
例えば、A-1、2における大きくヴィブラートを付けながらフレイズの語尾を引き延ばすようにして軽く下げる独特のフレイジング。
A-1、2、3のように歌い始めを原メロディーより高い音で始める。
A-3の”every road has a turning”と歌う部分のように殆ど平坦に引き延ばしたフレイズを重ねることによって平面的な感覚をもたらす唱法。
さらにA-2では最初から平坦な調子で大胆に歌い始める。
といったやり方などである。
演奏面では、どの曲もホッジス、カーネイが良い出来を示している。
[高嶺の花]
ハリー・カーネイがクラリネットを吹いた非常に珍しいもの。まずウィルソンがリリカルに歌い本領を発揮すると続くホッジスも負けじとロマンティックに歌い上げる。巨泉氏は「ややオーヴァーなヴィブラートが気になるが、持って生まれた感性の高さで限りない乙女の「憧れ」を見事に表現している」と述べている。この曲などは大和氏、巨泉氏の解説を読みながら味わうと楽しい。
[想い出のたね]
最近は原題通り「ディーズ・フーリッシュ・シングス」と称されることが多いと思う。サビを吹くカーネイのBsがさすがのプレイを聴かせる。
[今度は貴方が泣く番よ]
ビリーの十八番で、自伝によれば8コーラス歌ってサラ・ヴォ―ンをダウンさせたという。楽器ならわかるが、ヴォーカルで8コーラス歌うってどういうことだろう。よく分からない。
まず最初に吹くホッジスが素晴らしい。ビリーの歌唱の崩しがすごい。ヴォーカル後のウィルソンもリリカルだ。このレコードは当時1万5千枚も売れるという大ヒットを記録したという(普通は3〜4千枚程度)。
[誰だか解る?]
カーネイがクラリネットとバリトンを持ち替える。特にクラリネットではソロも披露する。なかなか達者なソロで、大和氏はバスター・ベイリーから、巨泉氏はバーニー・ビガードからの影響が感じられるという。軽い小唄で、ビリーも気楽に歌っているという。
[内気な恋]
短いPイントロの後、カーネイ(Bs)、ジョーンズ(Tp)、ホッジス(As)、ウィルソン(P)の短いソロが交互に奏されるインスト・ナンバー。
<Date&Place> … 1936年8月21日 ハリウッドにて録音
<Personnel> … ベニー・グッドマン・カルテット(Benny Goodman Quartet)
<Contents> …「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMG BVCJ-7030)
CD4-9.[ムーングロウ]
この日BGは自身のオーケストラで3面分の録音を行ったが、1面分だけオーケストラではない録音を行っている。BG、クルーパ、テディ・ウィルソンというトリオに初めてライオネル・ハンプトンが参加したカルテットによる録音で、カルテットで臨んだ最初のナンバーだという。多分BGはテストのつもりでハンプトンを呼んだのだろう。結果良かったので8月26日に改めて正式にレコーディングを行うことになったのであろう。
曲はジャック・ティーガーデン、デューク・エリントンらも吹き込んでいる当時のヒット・ナンバー。ヴァイブラフォン特有の金属的なサステインの聴いた音がクールで洒脱な雰囲気を盛り上げている。ハンプのVbソロをフューチャーしている。野口久光氏は、元々ハンプが得意としていたナンバーだという。
それにしても不思議なのはテディ・ウィルソンの参加で、今回ハンプトンは後から現地で加わったのであるが、ウィルソンはツアーに帯同してハリウッドまで来ていたことになる。トリオ演奏のためだけに?そうなのである。このことは映画を見て分かった。映画にこんなシーンがある。ハンプトンと出会う前である。人々がダンスを踊る前でビッグ・バンドの脇でBG、ウィルソン、クルーパがトリオ演奏をするのである。それに対しボールルームのオーナーが怒るのである。「なぜあいつら(ビッグ・バンド)は演奏しない?11人分のギャラを払ってるんだぞ!」やはりそうだったのだ。しかしそれではバンドのピアニスト、ジェス・ステイシーの立場がないではないか!
<Date&Place> … 1936年8月24日 ハリウッドにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> …「新たなる宝庫・黄金時代のベニー・グッドマン」(Nostalgia records CSM 890-891)&「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONP 50332-3)
| 「宝庫}record2.A面7. | ユー・ケイム・トゥ・マイ・レスキュー | You came to my rescue |
| 「テディ」record1.B面4. | 愛は君の瞳 | Here's love in your eyes |
8月21日と8月26日の間、8月24日グッドマンはテディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションに加わった。同日録音は4曲行われたが、そのうち2曲にグッドマンとウォードが参加している。その2曲が「新たなる宝庫・黄金時代のベニー・グッドマン」と「ザ・テディ・ウィルソン」に1曲ずつ収録されている。他の2曲にはグッドマンは参加しておらず、レッド・ハーパー(Red Harper)という歌手が参加している。飯塚経世氏によれば、ヴィクターと専属契約していたBGは「ジョン・ジャクソン」、ウォードが「ヴェラ・レイン」の変名でレコードは出たという。録音にハンプトンも参加しているが急きょ決まったのであろう。
[ユー・ケイム・トゥ・マイ・レスキュー]
メディアム・スロウのナンバー。イントロの後P、続いてVib、Tsの短いソロがあり、ウォードのヴォーカルとなる。オブリガードを付けるのはBGである。ヴォーカルの後ニュー・オリンズ風の集団即興となって終わる。
[愛は君の瞳]
Tpのリードする合奏の後短いウィルソンのPソロ続いてウォードのヴォーカルとなる。その後ムッソのTs、ハンプトンのVb、グッドマンのCl、再びウィルソンのPからニュー・オリンズ風の集団即興となる。
<Date&Place> … 1936年8月26日 ハリウッドにて録音
<Personnel> … ベニー・グッドマン・カルテット(Benny Goodman Quartet)
<Contents> …「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMG BVCJ-7030)
| CD4-10. | ダイナ | Dinah |
| CD4-11. | イグザクトリー・ライク・ユー | Exactly like you |
| CD4-12. | ヴァイブラフォン・ブルース | Vibraphone blues |
CD4-10.[ダイナ]
日本ではディック・ミネが歌ったナンバー。少しテンポを上げてここでもソロはBGとハンプが中心。
CD4-11.[イグザクトリー・ライク・ユー]
ハンプのヴォーカル入り。この小粋なヴォーカルが聴きものとは野口氏。BGのソロのバックでブギー調のピアノを聴かせるテディのプレイが面白い。
CD4-12.[ヴァイブラフォン・ブルース]
タイトル通りハンプをフューチャーしたブルース・ナンバー。ゆったりとしたブルースでBG、ウィルソンのブルース・プレイが堪能できる。これもハンプのヴォーカル入りで、オブリガードはBGが付ける。
8月26日のカルテット録音は今回のハリウッド巡業での最後の録音となった。
<Date&Place> … 1936年10月21日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ビリー・ホリディ第1集」(CBS SONY SOPH 61-62)
| record2 B-5. | もてすぎる貴方 | Easy to love |
| record2 B-6. | 君とスイング | With thee I swing |
| record2 B-7. | 今宵のあなた | The way you look tonight |
| record2 B-8. | 愛しているのは誰だと思う | Who loves you ? |
第6回目のテディ・ウィルソンのセッションは10月に行われた。4曲ほど吹き込まれたが、全てビリー・ホリディのレコードに収録されている。この日の面子はベニー・グッドマンの楽団のメンバーが半数以上を占めている。BGの楽団ではテナーを吹いているムッソが、ウエブスターがいるのでClに廻ったか?珍しいのは当時キャブ・キャロウェイの楽団に在籍していたミルト・ヒントンの参加で、1990年代まで活躍したベーシストの極めて初期のレコーディングである。
record2 B-5.[もてすぎる貴方]
コール・ポーターの作だが、巨泉氏によれば原メロディーは全く出てこないという。ランドルフは力量不足、ウエブスターはこの日は抑え気味でいい味を出している。
record2 B-6.[君とスイング]
イントロの後とエンディング前のウエブスターが聴き処。ムッソのClはまるでBGだという。
record2 B-7.[今宵のあなた]
現在もよく奏されるジェローム・カーン作のスタンダード・ナンバー。全体的に今一つ精彩がない出来とは巨泉氏。
record2 B-8.[愛しているのは誰だと思う]
巨泉氏の言うように、ランドルフの出だしのソロは全く素朴吹いているだけで、ベリガンとの力量の差が歴然である。
<Date&Place> … 1936年11月9日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ミルドレッド・ベイリー・アンド・ハー・オーケストラ(Mildred Bailey and her Orchestra)
<Contents> … "Mildred Bailey/Her greatest performances"(Columbia JC3L-22)
Record1 B-8.[ロング・アバウト・ミッドナイト]('long about midnight)
ベイリーの1936年のレコーディングは1曲だけ持っている。バンドはオーケストラとなっているが7重奏団である。ハモンド氏お得意の白黒混合セッションである。BGのバンドで活躍しているメンバーが目立つが、それはBGのバンドがそれなりのメンバーを揃えていたということだろう。ところが肝心のクラリネットはライバル的存在のアーティー・ショウというのが面白い。ウィルソンはアンサンブルをリードし、ソロも取ると活躍しているが、耳がどうしても珍しいミルドレッドのヤケ気味に聞こえるスキャット(鼻歌風)に行ってしまうのは僕だけか?
<Date&Place> … 1936年11月18日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベニー・グッドマン・カルテット(Benny Goodman Quartet)
8月26日と同じ
<Contents> …「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMG BVCJ-7030)
| CD5-5. | スイート・スー | Sweet Sue |
| CD5-6. | マイ・メランコリー・ベイビー | My Melancholy baby |
CD5-5.[スイート・スー]
ソロを取るのは御大のBGとテディそしてハンプトン。せっかく呼んだのだからという気遣いか。
CD5-6.[マイ・メランコリー・ベイビー]
現在でも歌われたり演奏されたりするスタンダード・ナンバー。ソロはBG、ウィルソン、ハンプと続く。
<Date&Place> … 1936年11月19日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ビリー・ホリディ 第2集」(CBS SONY SOPH 63-64)&「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| 曲名 | 原題 | 収録アルバム | 収録個所 |
| 黄金の雨 | Pennies from heaven | 「ビリー・ホリディ物語 第2集」 | record1.A-1 |
| これが人生なのね | That’life I guess | 「ビリー・ホリディ物語 第2集」 | record1.A-2 |
| 捧ぐるは愛のみ | I can't give you anything but love | 「ビリー・ホリディ物語 第2集」 | record1.A-3 |
| セイリン | Sailin’ | 「ザ・テディ・ウィルソン」 | record1.B-5 |
第7回目のセッションは11月19日に行われた。録音は4曲で、3曲がビリーの歌入り、もう1曲がインスト・ナンバーである。ということでここでもビリーのヴォーカル入りナンバーは「ビリー・ホリディ物語」に、インスト・ナンバーは「ザ・テディ・ウィルソン」に収められている。なお「ビリー・ホリディ物語」はLP2枚組が1セットで、トータルでは5セットLP10枚組みとなっている。ここから2セット目LPとしては3枚目に入る。
ここでのパーソネルの陣容は7名セプテットである。8月24日以来BGが参加した録音である。8月24日のセッションの時に書いたが、BGはサイドマン扱いされることを極端に嫌いこのセッションから「ジョン・ジャクソン(John Jackson)という変名を使うようになったという。今では堂々と「ベニー・グッドマン」と出ているが、SP盤発売当時は、クラリネットは”John Jackson”だったのである。
解説の大和氏によると、このセッションでビリーは実に大胆な唱法を示しているという。
record1 A-1.[黄金の雨]
最初から最後までこの曲の通常の歌い方を全く一新した唱法を取り、不必要なまでにリズム・セクションのテンポを殺しながらレイジーにフレイズを引き延ばし、しかも歌い始めから原メロディーより一段と高い音でスタートし、そのまま原メロディーにとらわれず、しなやかな感覚で歌いきっており、まったく新しい解釈による自由なアドリブ唱法を取っているのである。特に最後の”There'll be pennies from heaven for you and me”と歌うところの思い切った崩し方などはまさにこの頃のビリーの本領を充分に発揮した圧巻の出来といえる
ビリー以外、ウィルソン、ウエブスターも快調で、歌の後に出るBGもビリーに啓発されたように珍しく憂鬱そうなソロを取る。
record1 A-2.[これが人生なのね]
前曲とこの曲でのBGは実に思いやりに満ちたプレイで、巨泉氏は「この頃の二人の仲を想わせる」と書いている。やはりみんな知ってるんじゃないの?なぜ書かない?
record1 A-3.[捧ぐるは愛のみ]
サッチモはじめいろいろな人が演っているスタンダード・ナンバーである。こういう知っている曲だとビリーがかなり崩しまくって歌っていることがよく分かる。
record1 B-5.[セイリン]
ビリーの入った3曲は少しテンポを落としたグルーミーな雰囲気を醸し出していたが、一転インストのこちらはフロント3人とドラムのコジ―が絡み合うホット・ナンバーである。ジョーンズ⇒ウィルソン⇒BGと続き最後の1コーラスは、最初と同様全員による集団合奏で終わる。
<Date&Place> … 1936年12月2日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベニー・グッドマン・カルテット(Benny Goodman Quartet)
8月26日と同じ
<Contents> …「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMG BVCJ-7030)
| CD5-7. | タイガー・ラグ | Tiger rag |
| CD5-8. | サヴォイでストンプ テイク1 | Stompin' at the Savoy take1 |
| CD5-9. | サヴォイでストンプ テイク2 | Stompin’at the Savoy take2 |
| CD5-10. | ウィスパリング | Whispering |
CD5-7.[タイガー・ラグ]
ハンプを除いたトリオで演奏される。O.D.J.B.の時代からビックス等に愛奏されたナンバー。クルーパのドラムがフューチャーされる。
CD5-8、9.[サヴォイでストンプ]
オーケストラでも録音されており、2ヴァージョンを録音するとはよほどBGのお気に入りのナンバーだったのだろう。
CD5-10.[ウィスパリング]
ハンプはソロは取るが、BG、ウィルソンのバックではほとんど叩いていない(後半のBGソロのバックでは叩いている)。
この年最後のセッションは、12月16日に行われた。ミッジ・ウィリアムスのヴォーカル入りが2曲、インストが2曲計4曲レコーディングされたが、ミッジのヴォーカル入りの1曲が収録されず計3曲収録されている。
<Date&Place> … 1936年12月16日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)
<Contents> … 「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332)
| record1 B-6. | ライト・オア・ロング | Right or wrong |
| record1 B-7. | 二人でお茶を | Tea for two |
| record1 B-8. | 夢で逢いましょう | I'll see you in my dreams |
record1 B-6.[ライト・オア・ロング]
ランドルフの味のあるイントロに続き、ウィルソンが情熱を秘めた美しいタッチのソロを聴かせる。そしてムッソ、ランドルフと続きミッジの歌となる。鼻にかかったような声は独特のチャーミングな味をもたらしている。ビリーとは対極的な歌手である。バックのムッソも歌を引き立てるいい感じのオブリガードを吹いている。その後のウエブスターもスイング時代の代表的テナー奏者らしい貫禄あるソロを取り、ランドルフのリードによってラスト・アンサンブルに入る。
record1 B-7.[二人でお茶を]
超有名スタンダードで、ムッソはサブ・トーンでメロディーをストレートに吹いていき落ち着いた雰囲気を出しているが、バックを付けるウィルソンのピアノは躍動的で面白い対照となっている。第2コーラスでのランドルフのソロは、彼の代表的名演と評判の高いもの。第3コーラスのウエブスターもソフトなトーンで、ランドルフとの対照が興味深い。
record1 B-8.[夢で逢いましょう]
これも超有名スタンダード・ナンバー。通常メロウなムードで奏されることが多いが、ここでは快適なノリのいいリズム・セクションに導かれ、ウエブスター、ランドルフ、ムッソと快適なソロを披露する。
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