ザ・ミルズ・ブラザーズ 1931年

The Mills Brothers 1931

少年時代のミルズ・ブラザーズ

ミルズ・ブラザーズはオハイオ州ピクアのミルズ家の4人の兄弟によって結成されたコーラス・グループで、2,000曲以上の録音を行い、5,000万枚以上のレコードを売り上げ、30曲以上のゴールド・レコードを獲得し、ザ・フォー・キングス・オブ・ハーモニー“The four kings of harmony”と呼ばれている。
1936年に急逝した長兄のジョン(ジュニアと呼ばれる)に代わって、父親のジョン(シニアと呼ばれる)が加わって活動を続けますが、この父親は理髪店を持ち理髪師をしながら、自己のカルテットを持つという「バーバー・ショップ・カルテット」を地で行くような人物でした。この「バーバー・ショップ・ミュージック」については、拙HP「ジャズの歴史5 … pure.jazu 2」でも触れましたが、この「バーバー・ショップ・カルテット」は1890年代から1900年代初頭にかけて爆発的に流行したと言われているので、父のジョンはその真っただ中にいたことになり、その息子たちである、「ミルズ・ブラザーズ」は、それに育てられた二世たちということができるでしょう。
彼らは他の黒人たちと同様に年少のころから、教会やその聖歌隊などで歌い始めています。そして1930年オーディションに合格し、全米ネットワーク・ラジオ(CBS)で彼らの歌が流れることになります。そしてその勢いをかって1931年初めてのレコーディングを行うことになる。その時吹き込んだのが『タイガー・ラグ』で、この曲はこれまで何度か登場しているが、彼ら吹込みが1931年度年間ヒットチャート第6位にランクされるほどの大ヒットとなった。
「MCA Jazz , Jive , Jump」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1931年10月9日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ザ・ミルズ・ブラザーズ(The Mills Brothers)

Guitar & VocalJohn Mills Junior
Tenorハーバート・ミルズHerbert Mills
Baritoneハリー・ミルズHarry Mills
Lead tenorドナルド・ミルズDonald Mills

<Contents> … "Jazz , jive and Jump"(MCA 3519-20)

record2 A-2.[タイガー・ラグ(Tiger rag)]
ミルズ・ブラザーズのレコード・デビュー曲で1931年度年間ヒット・ランキングで第6位にランクされる大ヒット曲。Webでのディスコグラフィーによると、B面の"Nobody's Sweetheart"とともに9月25日と10月9日に録音を行っている。9月25日録音がNGだったので10月9日に取り直しを行ったのではないかと思う。
O.D.J.B.(オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド)のリーダーでTp奏者のニック・ラロッカが作ったと自身主張しているが、実際はニュー・オリンズの黒人たちが演奏していたナンバーと言われる。そのO.D.J.B.は1917年8月17日に第1回目のレコーディングを行っている。「オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド 1917年」を参照のこと。
ブラザーズはもともとカズーを使っていたが、ある時そのカズーを忘れたために、口に手を当てて声でカズーの音の物まねをしたところそれが大受けしたことで、声による楽器の物まねを売り物大成功を果たした。ここではトランペットのフレーズ、音の見事な物まねが聴ける。オリジナルのSPレコード盤には「ギター以外の楽器は使用しておりません」というコメントが記されていたという。
実に洗練されたコーラス・ワークで魅了されるが、『タイガー・ラグ』の旋律がほとんどい出て来ない。
[The early Mills Brothers]レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1931年11月19日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ザ・ミルズ・ブラザーズ(The Mills Brothers)

同上

<Contents> … "The early Mills Brothers"(MCA 1556)

B-5.[ユー・ラスカル・ユー(You rascal you)]
兄弟たちは11月19日にも"You rascal you"と"Baby , won't you please come home"の2曲の吹込みを行った。レコード裏面のデータには"unissued take"とあるので、発売されずにボツっ他方のテイクということであろう。これも『タイガー・ラグ』同様古いニュー・オリンズのナンバー。なぜボツったかわからぬほどの見事なコーラス・ワークである。ここでもトランペット物まねでコーラス・アンサンブルをリードし、ソロ・ヴォーカルのオブリガードを付けている。実に聴き応えがある1曲である。

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