トミー・ドーシー 1930年

Tommy Dorsey 1930

この年のトミー・ドーシーの吹込み音源は全てベニー・グッドマン関連である。自己のバンドを立ち上げる前サイドマン時代のドーシーの音源集のようなものは今のところ見当たらない。しかしBGについてはサイドマン時代の音源集が出ているのだから、ジャズ界における影響力という点ではやはりBGの方が上ということになるであろう。

”Benny Goodman collector's gems 1929-45”2枚組BOX

<Date & Place> … 1930年1月16日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … リューブ・ブルーム・アンド・ヒズ・バイユー・ボーイズ(Rube Bloom & his bayou boys)

Piano & Band leaderリューブ・ブルームRube Bloom
Trumpetマニー・クラインManny Klein
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Bass saxエイドリアン・ロリーニAdrian Rollini
Banjo多分エディ・ラングEddie Lang ?
Drumsスタン・キングStan King
Vocalロイ・エヴァンスRoy Evans

<Contents> …「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」(Columbia CSM890〜891)

record1 A-3.南から来た男(The man from the south)
リューブ・ブルームは後に1930年4月録音の「ザ・ホール・ダーンド・シングス・フォー・ユー」(Ben Selvin and his orchestra)でもピアノを弾いているが、当時アメリカでは非常に著名な作編曲家で、他に「沼地の歌」、「ペントハウス・セレナーデ」などが有名という。また彼はビックス・バイダーベックや多くのジャズメンと親交を重ねたことでも知られているという。これは自作曲を演奏したもの。ヴォーカルに絡むオブリガード、ソロと随所にBGのクラリネットとクラインのTpが活躍が目立つが、ほんのわずかだがドーシーの短いソロも聴かれる。。

”The Young Benny Goodman”CDジャケット

<Date & Place> … 1930年4月9日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Violin & band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetレオ・マッコンヴィルLeo McConvilleマニー・クラインManny Klein
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsジミー・ドーシーJimmy Dorseyルイ・マーチンLouis Martinハイミー・ウルフソンHymie Wolfson
ViolinUnknown
Pianoルーブ・ブルームRube Bloom
Guitarトニー・コルッチ?Tony Colucci
Tubaノーマン・マクファーソンNorman McPherson
Drumsスタン・キングStan King

<Contents> … ”The young Benny Goodman”(Timeless CBC 1-088)

CD-17.ザ・ホール・ダーンド・シングス・フォー・ユー(The whole darned thing's for you)
先ずこれはジャズではない。当時のポップ・ミュージックであろう。BG、トミー・ドーシー、再びBGのソロが入る。ドーシーは後年を思わせる柔らかい音で吹いている。これが後のスタイル作りに反映されているのかもしれない。全般的にジャズ・コンセプトの下に行われた演奏ではなく、ジャズ・ファンにとってはドーシーその他の記録という以外の価値はない。

「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」1枚目A面ラベル

<Date & Place> … 1930年5月26日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ザ・チャールストン・チェイサーズ(The charleston chasers)

 
Trumpetフィル・ナポレオンPhil Napoleon
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Pianoアーサー・シャットArthur Schutt
Ukulele & Vocalエディー・ウォルターズEddie Walters
Bassウォード・レイWard Lay
Drumsスタン・キングStan King

<Contents> …「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」(Columbia CSM890〜891)

record1 A-5.ヒア・カムズ・エミリー・ブラウン(Here comes Emily Brown)
コン・コンラッドとジャック・ミスキルの共作した「1931年のニュー・ムービー トーン・フォーリーズ」(飯塚氏の解説によるがこの単語を検索してもヒットしない)の(多分映画の)主題歌。そもそも「The protean Mr. Goodman」についている飯塚氏の解説は分かり難く字送り等誤りが多い。
ウクレレ中心の演奏と飯塚氏は書くが余り強調されてはいない。ソロはTpとBGのクラリネットそして続いてドーシーのソロとなる。ドーシーのソロも良く、エキサイティングな快演である。

「ベニー・グッドマン秘蔵名演集」CDジャケット

<Date & Place> … 1930年5月21日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel> … ホーギー・カーマイケル・アンド・ヒズ・オーケストラ(Hoagy Carmichael and his orchestra)

Vocal & band leaderホーギー・カーマイケルHoagy Carmichael
Cornetビックス・バイダーベックBix Beiderbeckeバッバー・マイレィBubber Miley
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Alto saxUnknown
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Violin & Vocalジョー・ヴェヌーティJoe Venuti
Pianoアーヴィング・ブロドスキーIrving Brodsky
Guitarエディ・ラングEddie Lang
Bassハリー・グッドマンHarry Goodman
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalカーソン・ロビンソンCarson Robinson
「ベニー・グッドマン秘蔵名演集」CDラベル

<Contents> … 「ベニー・グッドマン秘蔵名演集」(PDTD-1046)

CD-10.ロッキン・チェア―Rockin’chair
CD-11.バーナクル・ビル・ザ・セイラーBarnacle Bill the sailor

ニュー・ヨークに復帰した復帰したビックス・バイダーベックは、親友ホーギー・カーマイケルのオールスター編成のバンドに加わりヴィクターに2曲吹き込んだ。ビックスとカーマイケルはインディアナ大学時代からの知り合いである。このバンドはパーソネルを見ればわかるように、トミー・ドーシー、ベニー・グッドマン、ジミー・ドーシー、バド・フリーマン、ジョー・ヴェヌーティー、エディ・ラング、ジーン・クルーパといったスターたちを揃えており、その仲間たちとの吹込みでその日の午後のビックスは幸福そうに見えたという。
CD-10.ロッキン・チェア―
ホーギー・カーマイケル作。後にミルドレッド・ベイリーが歌い大ヒット、「ロッキング・チェア−・レディ」と呼ばれる元になった曲。この録音にBGのソロはない。要はこういう歴史上貴重録音にも参加していました的なことだろうか?因みにTpのソロもビックスではなく、レコード会社の意向でババー・マイレイだったそうだ。ババー・マイレイは初期エリントン・バンドで存在感を発揮したトランぺッターで、1932年29歳の若さでこの世を去る天才的プレイヤーである。ビックスとマイレイの共演というのは意外な組み合わせで興味深い。ともかく豪華な顔ぶれである。CD解説の野口氏はクルーパのドラムが素晴らしいと書いている。Tpソロの合間に極めて短いドーシーのTbソロが挿入される。
CD-11.バーナクル・ビル・ザ・セイラー
「水夫のバーナクル・ビル」というタイトルで「ポパイ・ザ・セイラー・マン」を思わせるような曲。カーマイケルとロビンソンの掛け合いのようなヴォーカルの後短いビックスのソロ、再びヴォーカルの掛け合いの後テンポが倍になりBGが16小節に渡るソロを吹く。その後は効果音的な音をBGは担当している。こちらもクルーパのドラムが素晴らしいと野口氏は書いている。ヴォーカルで参加したロビンソンはカントリー・ミュージック畑の大物でなぜここに参加したのかは不思議ではある。因みにドーシーのソロはない。

「ベニー・グッドマン秘蔵名演集」CDジャケット

<Date & Place> … 1930年9月8日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel>…ビックス・バイダーベック・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bix Beiderbecke and his orchestra)

Band leader & Cornetビックス・バイダーベックBix Beiderbecke
Trumpetレイ・ロドウィッグRay Lodwig
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & Alto saxベニー・グッドマンBenny Goodmanジミー・ドーシーJimmy Dorsey
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Baritone saxミン・ライブルックMin Leibrook
Violinジョー・ヴェヌーティJoe Venuti
Pianoアーヴィング・ブロドスキ―Irving Brodsky
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalウェストン・ヴォーンWeston Vaughan

<Contents> … 「ベニー・グッドマン秘蔵名演集」(PDTD-1046)&“An introduction to Bix Beiderbecke 1924-1930”(Best of jazz 4012)

CD-12.ディープ・ダウン・サウスDeep down south
CD-13.アイ・ドント・マインド・ウォーキン・イン・ザ・レインI don't mind walkin' in the rain
CD-14&CD-22.アイル・ビー・ア・フレンド・”ウィズ・プレジャー”I'll be a friend "With pleasure"

クラリネットにはもう一人、ピー・ウィーラッセルが参加している。人選に当たって八方美人のビックスは知り合い3人に声をかけてしまったのだ。そこで「アイル・ビー・ア・フレンド・”ウィズ・プレジャー”」はそれぞれの奏者で計3テイク録られたが、ピー・ウィーのものはオクラ入りとなった。それで2人の名がクレジットされることになったのである。
CD-12.ディープ・ダウン・サウス
こちらの録音にはホーギー・カーマイケルは関与していないようだが、メンバーはホーギーとのセッションとほぼ同じである。しかしこちらの方がぐっとジャズっぽい。
ウエスのヴォーカルの後BGが4小節、ビックス16小節、再びBG8小節のソロを取る。CD解説の野口氏はビックスのソロはビックスらしからぬサウンドで残念だが、BGのソロは聴きものであると書いている。しかしビックス=BGというソロ回しは貴重である。ドーシーのソロはない。
CD-13.アイ・ドント・マインド・ウォーキン・イン・ザ・レイン
冒頭ビックス8小節のソロはあるものの全体としてジョー・ヴェヌーティのヴァイオリンをフューチャーしたナンバーである。ドーシーのソロはない。
CD-14&CD-22.アイル・ビー・ア・フレンド・”ウィズ・プレジャー”
これは先に述べたように3テイクあったうちのグッドマンが吹いたテイクである。これも歌物だが、ヴォーカルの前でドーシーのトロンボーン、ヴォーカルの後ビックス、BGの短いソロがある。

”The Young Benny Goodman”CD

<Date & Place> … 1930年12月12日 ニュー・ヨークにて録音

<Contents> … ”The young Benny Goodman”(Timeless CBC 1-088)

CD-18.アイ・ミス・ア・リトル・ミスI miss a little Miss
CD-19.ユアーズ・アンド・マインYours and mine

<CD-18.Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Violin & band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetマニー・クラインManny Kleinトミー・ゴットTommy Gott
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsルイ・マーチンLouis Martinハイミー・ウルフソンHymie Wolfson
Accordionコーネル・スメルサーCornell Smelser或いはチャールズ・マグナントCharles Magnante
Pianoルーブ・ブルームRube Bloom
Guitarトニー・コルッチTony Colucci
Tubaハンク・スターンHank Stern
Drumsスタン・キングStan King
Vocal quartetUnknown

<CD-19.Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Banjo、Bass、Drums
Violin & band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Two trumpetUnknown
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsハイミー・ウルフソンHymie WolfsonUnknown
Violin、PianoUnknown
Vocalスミス・バリューSmith Ballew

CDの記載によるとCD-18、19は同バンドの同日の録音だが、メンバーが結構入れ替わっている。どの理由であろうか?例えばTpについて、CD-18には2人のプレイヤーの名が記載されているが、CD-19では2本のTpは不明と記載されている。ということは2曲間で交代が行われたのであろう。でもなぜ?どちらにおいてもTpは重要なソロを取っているわけではないのに替える必要がどこにあったのであろう。それとも先に録音した方のメンバーが後のスケジュールが詰まっているので先にスタジオを後にしたというようなことかもしれない。
いずれにしろこの2曲ともドーシーのソロはなく演奏記録という意味だけで、ジャズ・ファンには他の価値を見出しようがないものと思う。

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