トミー・ドーシー 1939年

Tommy Dorsey 1939

1939年もトミー・ドーシーとそのバンドは好調で、ラジオ、ボールルーム出演、レコーディングと大活躍をしていた。右は<パラマウント・シアター>に出演中のトミー・ドーシーとそのオーケストラ。左端で指揮を執っているのがドーシーである。しかしなぜか日本で出ているドーシーのレコードには、この年の録音があまり収録されていない。不思議なことだ。代表作がなかったということであろうか?
ともかくこの年のヒット・パレードのランキングを見ると、前年1938年にバンドを再編して大活躍を始めるグレン・ミラーに押された形ではある。同じトロンボーン吹き出身のバンド・リーダーとしては忸怩たる思いもあったのではないだろうか?

<Date&Place> … 1939年1月19日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestar)

Trumpetアンディ・フェレッチAndy Ferrettiリー・カスタルドLee Castaldoヤンク・ロウソンYank Lawson
Tromboneディヴ・ジェイコブスDave Jacobsウォード・シロウェイWard Sillowayエルマー・スミサーズElmer Smithers
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulce
Tenor saxベイブ・ラッシンBabe Russinディーン・キンケイドDeane Kincaideスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsディヴ・タフDave Tough

音源の「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA-61)という9枚組アルバムは、何度も繰り返しで申し訳ないが、録音データ一切記載されていないという醜悪なものである。そこで収録されている曲とWeb上のディスコグラフィーを照合して、録音日・パーソネルを特定して記載した。
僕の持っている前回1938年11月29日の録音からの移動。
Trumpet … チャーリー・スピヴァク、マックス・カミンスキー ⇒ アンディ・フェレッチ、リー・カスタルド
Trombone … バディ・モロウ ⇒ ウォード・シロウェイ
Alto sax … ハイミー・シャーツァー ⇒ Out
Tenor sax … ディーン・キンケイド ⇒ In
Drums … モーリス・パーティル ⇒ デイヴ・タフ
メンバーが大きく変わっている。Tp、Tb部門は以前に戻ったような感じである。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA-61)

Record2.A-2.「ミレンバーグ・ジョイズ」(Milenberg joys)
ジェリー・ロール・モートンの作で、この時代ベニー・モートンら多くのジャズマンが好んで演奏している。SP盤両面にわたる演奏で、しかもこの時代としてはソロが長く聴き応えがあるが、アンサンブルも負けずに素晴らしい。先ずはベイブ・ラッシンのテナー・ソロ、見事なサックスのソリに続いて、ヤンク・ロウソンが当時としては異常なくらい長いホットなコーラスを吹くが、鋭い突き刺さるような迫力に満ちたプレイである。トロンボーン(多分ドーシー)、ジョニー・ミンスのクラリネット・ソロが続き素晴らしいアンサンブルで盛り上げてエンディングを迎える。全て聴き応え十分な出来映えである。

<Date&Place> … 1939年5月1日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestar)

Trumpet … リー・カスタルド ⇒ ピー・ウィー・アーウィン(Pee Wee Erwin)
以外1月19日と同じ。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA-61)

Record2.A-3.「ロンサム・ロード」(ロンサム・ロード)
古い作品で、白人新進アレンジャー、ビル・フィネガンが初めてトミーのために書いたアレンジだそうだ。トミーがストレートにテーマをソロで吹き、テナー(ベイブ・ラッシン)、トランペット(ヤンク・ロウソン)のソロがアンサンブルを挟んで現れる。サックスの合奏がクラリネットのリードで柔らかい音を出しているのが印象的で、ハーモニーに不協和音的なモダンな感覚が盛られている。ハワード・スミスのピアノ・ソロ、フレッド・スタルスのアルト・ソロが入り、合奏で終わるが、当時としては新しいサウンドである。

<Date&Place> … 1939年5月22日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestar)

Trombone … ディヴ・ジェイコブス ⇒ Out
以外5月1日と同じ。

<Contents> … 「トミー・ドーシー」(HR-125-JK)

B-4.「ウェル・オール・ライト」(Well , all right
サイ・オリヴァーのアレンジ。Tbがメロディを吹きアンサンブルが絡む。ヴォーカルが入るが誰が歌っているかレコードには記載がないがWebで調べるとイーディス・ライト(Edythe Wright)が歌っているとある。ライトとバンドメンバーのかけあいが楽しい。ヴォーカルの後は短いTbソロが入るがほとんど演奏はアンサンブルである。

<Date&Place> … 1939年7月20日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestar)

Trumpet … ピー・ウィー・アーウィン ⇒ ミッキー・ブルーム(Mickey Bloom)
Alto sax … ハイミー・シャーツァー ⇒ In
Tenor sax … ディーン・キンケイド ⇒ Out
Drums … デイヴ・タフ ⇒ クリフ・リーマン(Cliff Leeman)
以外5月22日と同じ。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA-61)&「トミー・ドーシー」(HR-125-JK)

Record2.A-4.&B-4.「ストンプ・イット・オフ」
トミーの秘蔵っ子アレンジャー、サイ・オリヴァーが正式加入の前に書いた第一作とレコード解説にはあるが、「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」に収録されたものとしては最初だが、Webによればその前からオリヴァーはアレンジを行っている。サックスの合奏にトロンボーンのリフ、サックスのソリ、トロンボーン、トランペット(ヤンク・ロウソン)・ソロ、クラリネット(ジョニー・ミンス)のソロと続く。合間の合奏のリズミックな流れと2ビートは、ランスフォード・スタイルだが、まだ後年のような典型的なオリヴァー・スタイルに固まってはいないという。

<Date&Place> … 1939年10月25日録音 ニューヨークにて録音

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestar)

Trumpet … リー・カスタルド ⇒ ジミー・ブレイク(Jimmy Blake)
Trombone … ディヴ・ジェイコブス ⇒ In
以外7月20日と同じ。

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA-61)

Record2.A-5.「イージー・ダズ・イット」
サイ・オリヴァーのドーシー楽団2作目のアレンジ。オリヴァーとトラミー・ヤングの共作で、すでにランスフォード楽団で吹き込んでいる。ここではトミー・ドーシーまでもがトラミー風のトロンボーンを懸命に吹いているという。合奏のリズミックなアクセントやトロンボーン・セクションの活用等ランスフォード調がはっきり出ているという。テナーのロング・ソロはベイブ・ラッシンと思われる。クラリネットを多用したサックスの合奏は、オリヴァーらしいサウンドである。

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