トミー・ドーシー 1941年
Tommy Dorsey 1941
トミー・ドーシーの1941年の録音を聴いていこう。僕の持っている1941年の最も早い録音参加は、「メトロノーム・オールスター・バンド」に参加したものである。この録音は同バンドの第3回目録音に当たる。第1回目は「ヴィクター」に、2回目は「コロンビア」というように2大メジャー・レコード会社がレコーディングを分け合うことになっていて、第3回目はヴィクターに戻ってきたということである。
さてこの年の読者投票も相変わらず白人プレイヤーに票が集まり、ポール・ウィナーに輝いた黒人プレイヤーはチャーリー・クリスチャンだけだったという。同誌の編集部で指導的役割を果たしていたジョージ・サイモンは、第2回(1940年2月7日コロンビアに録音)から、黒人プレイヤーも加える決心をし、上位に進出していたベニー・カーターとチャーリー・クリスチャンを起用した。そしてこの第3回では6人(クーティー・ウィリアムス、J.C.ヒギンバサム、ベニー・カーター、コールマン・ホーキンス、カウント・ベイシー、チャーリー・クリスチャン)を加えたのであった。いずれ劣らぬ名手揃いである。
なお録音された2曲ともベニー・グッドマンが指揮を執り、アレンジも当時BG楽団で使っていたもの、「ビューグル・コール・ラグ」はディーン・キンケイド、「ワン・オクロック・ジャンプ」はカウント・ベイシーのものを使用したという。
<Date&Place> … 1941年1月16日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … メトロノーム・オールスター・バンド(Metronome all-star band)
前年1940年からの移動
Trumpet … チャーリー・スピヴァク ⇒ クーティー・ウィリアムス
Trombone … ジャック・ティーガーデン、ジャック・ジェニー ⇒ J.C.ヒギンバサム、トミー・ドーシー
Tenor sax … エディ・ミラー、チャーリー・バーネット ⇒ コールマン・ホーキンス、テックス・ベネキー
Piano … ジェス・ステイシー ⇒ カウント・ベイシー
Bass … ボブ・ハガート ⇒ アーティー・バーンスタイン
Drums … ジーン・クルーパ ⇒ バディ・リッチ
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第17巻/スイングからバップへ」(RCA RA96〜100)
| record2. A面4 | ビューグル・コール・ラグ | Bugle call rag |
| record2. A面5 | ワン・オクロック・ジャンプ | One O'clock jump |
「ビューグル・コール・ラグ」
快調なアップテンポで演奏は展開する。リズムの歯切れの良さ、アンサンブルの厚味、次々と繰り出されるアドリブの競演、まさにオール・スター・セッションの醍醐味である。ソロ・オーダーは、BG⇒ヒギンバサム⇒モンデロ⇒ベイシー⇒ホーク⇒ウィリアムス⇒ジェイムズ⇒エルマン。最後にTp3人を並べるところが面白い。
「ワン・オクロック・ジャンプ」
正にジャム・セッション向きのナンバー。リッチのDsのイントロで始まるが、ここから黒人6名が続けてソロを取る。ベイシー⇒クリスチャン⇒ヒギンバサム⇒ホーキンス⇒ウィリアムス⇒カーターときて、白人のジェイムズ、グッドマンのソロ、そしてアンサンブルで締め括る。ホーキンスがソロをリフしか吹いていないのが気にかかる。何か面白くないことでもあったのだろうか?
<Date&Place> … 1941年1月20日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestara)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA61)
Record2.B-7.「フォー・ユー」(For you)
サイ・オリヴァーのアレンジ。合奏の後バリトン・サックスがテーマを吹き、バックにTbの合奏が入る。全合奏の後ジョー・スタッフォードのヴォーカル、エルマンの高音Tpソロ、そしてはじめと同じバリサクがテーマを奏して終わる。実に巧みな楽器器用である。
<Date&Place> … 1941年2月17日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestara)
前回1月20日から変更なし。
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA61)
| Record2.B-8. | ディープ・リヴァー | Deep river |
| Record3.A-1. | スイング・ロウ・スイート・チャリオット | Swing low , sweet chariot |
| Record3.A-2. | イエス・インディード | Yes , indeed |
「ディープ・リヴァー」
トラディショナル・ナンバーをサイ・オリヴァーがアレンジしたもの。急速なテンポでブラスとサックスのソリが見事にリズムに乗ってスイングしている。まずソロはドーシー、そしてブシュキンのソロはモダンな雰囲気を漂わせ、続くミンスのソロも同様に新しい感覚を感じさせる。そしてロディスのTs、エルマンのTpも良い。ドラムのバディ・リッチはランスフォード張りの2ビートで果敢に盛り上げている。
「スイング・ロウ・スイート・チャリオット」
これも古いニグロ・スピリチュアルスである。このようなスピリチュアルスのアレンジはオリヴァーが最も得意とするところだったというが、英語版ディスコグラフィーによれば、アレンジはディーン・キンケイドとある。どちらが正しいのであろうか?甘いサウンドのイントロから、ドーシーがテーマを吹き、アンサンブル、ここでのブレイクによるキメも現代的だ。エルマン(Tp)のメロディアスなソロ、アンサンブルを挟みストルスのAs、ロディスのTsとソロが続く。最後のアンサンブルも迫力ある傑作である。
「イエス・インディード」
ゴスペル調のメロディーであるが、サイ・オリヴァーのオリジナルである。現在のソウルにも通じるファンキーな味わいがあり大好きなナンバーだ。Tbのソリから合奏によるテーマになる。その後ノー・リズムでサックスが教会風のハーモニーを奏し、手拍子をバックにオリヴァーのヴォーカルとなる。相手方を務めるのはスタッフォードで息の合った良いかけ合いだ。カッコいいの一言。
<Date&Place> … 1941年7月15日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and his orchestara)
前回2月17日から若干移動がある。
Trumpet … レイ・リン ⇒ アル・スターンズ(Al Sterns)
Trombone … レス・ジェンキンス ⇒ デイヴ・ジェイコブス(Dave Jacobs)
Clarinet & Alto sax … ジョニー・ミンス ⇒ マニー・ガーシュマン(Mannie Gershmann)
Tenor sax … ポール・メイソン ⇒ ブルース・シュナイダー(Bruce Snyder)
Vocal … フランク・シナトラ(Frank Sinatra)、ジョー・スタッフォード(Jo Stafford) ⇒ In
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ/ザ・サウンド・オブ・スイング」(RCA RA61)
| Record3.A-3. | ルース・リッド・スペシャル | Loose lid special |
| Record3.A-4. | ブルー・スカイズ | Blue skies |
| Record3.A-5. | スインギン・オン・ナッシン | Swingin' on nothin' |
「ルース・リッド・スペシャル」
サイ・オリヴァーのオリジナルでアレンジも担当している。Tsソロに始まり、アンサンブル、ドーシーのホットなソロ、エルマンの高音プレイが入り、続くミュートTpソロは不明であるという。インスト・ナンバー。
「ブルー・スカイズ」
アーヴィング・バーリンの作でアレンジはオリヴァー。イントロの後ドーシーが甘くテーマを奏し、シナトラの若々しいヴォーカルとなる。バック・コーラスはザ・パイド・パイパーズとバンドのメンバーらしい。続く高音Tpソロはエルマン、そして都会風のブシュキンのPソロが入り、迫力満点のアンサンブルで終わる。
「スインギン・オン・ナッシン」
これはウィリアム・ムーアとオリヴァーの合作という。構成は「イエス・インディード」と同じでオリヴァーとスタッフォードのかけ合いが楽しい。そしてエルマンのソロ高音ソロ、アンサンブルと続く。
この時代最も迫力あるバンド・アンサンブルを持っていたのはこのトミー・ドーシーのバンドではなかったかと思う。
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