カウント・ベイシー 1947年
Count Basie 1947
1940年代後半はビッグ・バンドの受難の時代と言われる。第二次世界大戦の勃発によって相次いでバンドのメンバーを兵役に取られ、戦時特別税としてダンス・ホールやキャバレーには重税がかけられ、それらの多くは閉鎖に追い込まれた。すなわちビッグ・バンドを維持するのには極めて困難な時代だったのである。
また当時盛んにできたマイナー・レーベルは経費節減のためビッグ・バンドの録音には見向きもしなかった。また当時急激なビ・バップの勃興は、若手ミュージシャンに大きな影響を与え、これまで演じられてきた同じコンセプトでの一体化したスイング感の破綻も危惧されるようになっていた。
人々の関心もビ・バップと52丁目を中心に活動しているコンボ演奏に向かっていた。ビッグ・バンドでもビ・バップ的な演奏をいち早く取り入れたウディ・ハーマンやプログレッシヴ・ジャズで名を売ったスタン・ケントンなどの白人モダン・ビッグ・バンドに注目が集まっていた。日本でも30年代から40年代初めまではベイシー楽団の吹込みはほとんど発売されたのに、40年代後半から50年代はほとんど発売されなくなったという。と言ってベイシー楽団はその活動を止めていたわけではなく、1947年1月3日から50年2月6日まで、専属のヴィクターに60曲ほどのレコーディングを行っているのである。決して少ない数ではない。でも僕の持っている音源は残念ながら少ない。ともかく持っている音源を聴いていこう。
<Date&Place> … 1947年3月13日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his Orchestra)
1946年7月28日からの移動
Trumpet … ジョー・ニューマン ⇒ スヌーキー・ヤング
Trombone … J.J.ジョンソン ⇒ ビル・ジョンソン
Alto Sax … ジミー・パウエル ⇒ Out
Tenor Sax … イリノイ・ジャケー ⇒ ポール・ゴンザルベス
Drums … レコードではジョー・ジョーンズ、Webではシャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)としている。
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
| record6 A-1. | ワン・オクロック・ブギー | One O'Clock boogie |
| record6 A-2. | フュータイル・フラストレイション | Futile frustration |
「ワン・オクロック・ブギー」
べイシー楽団の出世作「ワン・オクロック・ジャンプ」をジミー・マンディ(Jimmy Mundy)がブギーに編曲し直したもの。ベイシーのピアノのイントロで始まりアンサンブルに入る。ソロもベイシーからスタートする。実にスインギー。アンサンブルを挟んでTbソロはマシューズだという。アンサンブルとベイシーの掛け合いが楽しい。最後に盛り上げるのはTpのエディソン。流石です。
「フュータイル・フラストレイション」
これもマンディのアレンジで、ベイシー楽団としてかなり凝ったアレンジとなっていて、余りベイシーっぽくない。ダイナミックなアンサンブルから柔らかいマシューズのTbのソロが出る。この対照の妙が素晴らしいとは解説の大和明氏。
<Date&Place> … 1947年5月20日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・ヒズ・インストラメンタリスツ・アンド・リズム(Count Basie His instrumentalists and rhythm)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
| record6 B-1. | スインギン・ザ・ブルース | Swingin' the blues |
| record6 B-2. | セント・ルイス・ブギー | St. Louis boogie |
| record6 B-3. | バックステージ・スタッフス | Backstage at stuff's |
「スインギン・ザ・ブルース」
1938年2月に一度録音したナンバーの再演。ピック・アップ・メンバーによる演奏で、全体がリフで構成されている。ソロはまずベイシーで、続くゴンザルヴェス(Ts)とベリー(ミュートTp)がソフトとタイトという対照的な雰囲気のソロを取る。ベイシー以下オール・アメリカン・リズム・セクションが躍動感豊かに盛り上げる。
「セント・ルイス・ブギー」
ベイシー作のブギー・ナンバー。ベイシーのジャンプするソロから始まり、ベリーのオープンによるソロ、ゴンザルヴェスのラフなアドリブと続く。それぞれに絡むベイシーのピアノもいい。
「バックステージ・スタッフス」
ベイシー作のジャンプ・ナンバー。これも躍動感あふれるジャンプ・ナンバー。ベリーのクレイトンを思わせるミュート・ソロ、続くゴンザルヴェス、マシューズ、ベイシー、さらに2小節づつのソロ交換も楽しい。
<Date&Place> … 1947年5月21日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・ヒズ・インストラメンタリスツ・アンド・リズム(Count Basie His instrumentalists and rhythm)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
| record6 B-4. | シャイン・オン・ハーヴェスト・ムーン | Shine on harvest moon |
| record6 B-5. | アイ・ネヴァー・ニュー | I never knew |
「シャイン・オン・ハーヴェスト・ムーン」
ベイシーがヴィクターに残した唯一のカルテット演奏。抑え気味だが強靭なリズムを生み出すリズム隊をバックにベイシーのピアノが楽しそうに歌っている。
「アイ・ネヴァー・ニュー」
スタンダード・ナンバー。ベイシーのピアノが大活躍を見せる。他にはゴンザルヴェスが短いソロを取るのみで、ほとんどベイシーの独壇場である。
<Date&Place> … 1947年10月19日 シカゴにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his Orchestra)
1947年3月13日からの移動
Trumpet … ジョー・ニューマン(Joe Newman) ⇒ In
Trombone … ジョージ・マシューズ、イーライ・ロビンソン ⇒ ディッキー・ウエルズ、ジョージ・サイモン
Alto Sax … ルディ・ラザフォード ⇒ チャーリー・プライス
Drums … ジョー・ジョーンズ ⇒ シャドウ・ウィルソン
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
| record6 A-3. | セヴンス・アヴェニュー・エキスプレス | Seventh avenue express |
| record6 A-4. | ミスター・ロバーツ・ルースト | Mr.Robert's roost |
「セヴンス・アヴェニュー・エキスプレス」
バック・クレイトンとベイシーの共作。アレンジもクレイトンが行っている。アップ・テンポのナンバーで、ダイナミックなアンサンブルからベイシー、テイト(Ts)、エディソン(Tp)、ウエルズ(Tb)とソロが続くノリノリのナンバー。
「ミスター・ロバーツ・ルースト」
ベイシーとバスター・ハーディングという人の共作で、そのハーディングがアレンジも行っている。短いアンサンブルからベイシーの寛いだ感じのソロとなる。その後も強力なアンサンブルとベイシーのピアノの掛け合いで進行していく。
<Date&Place> … 1947年12月8日 ロス・アンゼルスにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his Orchestra)
1947年10月19日からの移動
Trombone … ジョージ・サイモン ⇒ ジョージ・マシューズ
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
record6 A-5.「ソフィスティケイティド・スイング」(Sophisticated swing)
エリントン・ムードを漂わせる異色のナンバー。柔らかなアンサンブルからベン・ウエブスター張りのゴンザルヴェスのTsソロとなる。続くベイシーのソロの間を活かしたソロも聴き応えがある。
<Date&Place> … 1947年12月12日 ロス・アンゼルスにて録音
<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his Orchestra)
12月8日からの移動
Trombone … ディッキー・ウエルズ ⇒ ジョージ・ワシントン(George Washington)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第10巻/ビッグ・バンド・イーラ 第2集」(RCA RA54〜59)
record6 A-6.「ロビンズ・ネスト」(Robbin's nest)
サー・チャールズ・トンプソン作をジミー・マンディがアレンジしたもの。珍しくベイシーはチェレスタを弾いている。アンサンブルで始まる。最初ベイシーはピアノを弾いているが、ソロをチェレスタで取り、その後はアンサンブルをバックでもチェレスタを弾いている。ゴンザルヴェスの男性的なTsソロからはまたピアノに戻る。
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