フレディ―・ケパード 1926年
Freddie Keppard 1926
1925年の録音は収録されておらず、いきなり1926年6月の録音に舞台は移る。この音源はジミー・ヌーンの1926年の音源と重なる。
<Date&Place> … 1926年6月22日 シカゴにて録音
<Personnel> … クッキーズ・ジンジャースナップス (Cookie’s Gingersnaps)
<Contents> … "The chronogical/Jimmie Noone 1923-28"(Classocs records 604)
| CD-9 | メッシン・アラウンド | Messin’around |
| CD-10 | ハイ・フィーヴァー | High Fever |
| CD-11 | ヒア・カムズ・ザ・ホット・タマレ・マン | Here comes the hot Tamale man |
| CD-12 | ラヴ・ファウンド・ユー・フォー・ミー | Love found you for me |
”クッキーズ・ジンジャースナップス”というバンド名から、”クックズ・ドリームランド・オーケストラ”のピック・アップ・メンバーかなと思うが実態は分からない。
CD-9メッシン・アラウンド
ヌーンとポストンのしゃべりの掛け合いとピアノのイントロで始まる。アルトのリードするテーマの後最初にケパードのソロが出るがほぼテーマに装飾を付けた程度のプレイである。その後ケパードのリードするアンサンブルとなりエンディングに向かう。
CD-10ハイ・フィーヴァー
テーマからピアノ・ソロとなり、クラリネットとアルトの息が合って見事な合奏から全員によるアンサンブルとなる。最後はケパードのリードするアンサンブルとなる。
CD-11ヒア・カムズ・ザ・ホット・タマレ・マン
ケパードのミュート・プレイをフューチャーしたナンバー。後半ヌーンのソロも入る。そしてオープンで吹くケパードがリードするアンサンブルによるエンディングとなる。
CD-12ラヴ・ファウンド・ユー・フォー・ミー
テーマ合奏の後ジミー・ヌーンがヴォーカルを取る。朗々と気持ち良さそうに歌っている。そしてディキシー・スタイルの合奏となって終わる。
<Date&Place> … 1926年7月10日 シカゴにて録音
<Personnel> … クックズ・ドリームランド・オーケストラ (Cook’s dreamland orchestra)
<Contents> … "The chronogical/Jimmie Noone 1923-28"(Classocs records 604)
| CD-13 | ヒア・カムズ・ザ・ホット・タマル・マン | Here comes the hot Tamale man |
| CD-14 | ブラウン・シュガー | Brown sugar |
| CD-15 | ハイ・フィーヴァー | High Fever |
| CD-16 | スパニッシュ・ママ | Spanish Mama |
油井正一氏は『ジャズの歴史』(東京創元社)の中で、「ケパードの吹込みの大半はレコーディングがすごく悪く、実態がつかみにくい。私が神戸の古レコード屋で見つけたDoc Cook」楽団の1926年のコロンビア盤は、ケパードの、最もケパード的な演奏が聴ける珍品で〜以下意味不明」と書いています。僕の知る限りケパードが参加したDoc Cook楽団の1926年のコロンビアへの吹込みはこれしかありません。要は油井氏によれば、この演奏が最もケパード的な演奏ということになりますが、油井氏もケパード本人の演奏を生で聴いたことはないはずなのに、何故「最もケパード的な演奏」ということが解るのだろうか?
CD-13ヒア・カムズ・ザ・ホット・タマレ・マン
「タマル(Tamale)」とはメキシコや中央、南アメリカで食べられているトウモロコシの粉で作った生地に肉などを挟んで蒸したものだそうで、「さあ、出来立てのタマル売りがやって来るぞ」という意味だろう。ここではケパードもヌーンもアンサンブルで吹いておりアドリブはない。
CD-14ブラウン・シュガー
クラシックの室内楽を思わせるような優雅な響きを持った曲。ケパードはアンサンブルのブレイクをバックに少しソロを取るが、アドリブという感じではない。ヌーンのプレイも優雅さを心がけているようで、意外ではあるが特に感じるところはない。
CD-15ハイ・フィーヴァー
これも前曲同様優雅な感じの曲で、そもそもクック博士はそういう響きを狙っていたのではないかと思わせる。ケパードの音が目立って聴こえる個所はあるが、アンサンブルの装飾、リードという役割にしか聴こえない。
CD-16スパニッシュ・ママ
この曲もスパニッシュという異国情緒を表現するような演奏なのだが、その主体はあくまでもアンサンブルで表現している。
正直これぞ2代目ジャズ王ケパードという演奏はどこにも見られないように感じる。油井氏はどこにケパードらしさを見たのであろう。
<Date&Place> … 1926年7月26日 シカゴにて録音
<Personnel> … バーミンガム・ブルーエット(Birmingham bluette)
<Contents> … "Archive of Jazz/Freddie Keppard"(BYG 529.075)
A面5曲目オールドマン・ブルース(Old man blues)
「バーミンガム・ブルーエット」という聴いたことのない名前のバンドの録音で、元のSP盤の状態が良くないらしく音は非常に悪い。パーソネルに書かれているフランス語の“inc”の意味が分からない。”不明”ということだろうか?この“不明”のアルト・サックスが活躍するナンバーで、ここでもケパードは目立たない。
次の録音は同年同月末のジミー・ブライスのバンドに参加してのものとなる。
<Date&Place> … 1926年7月終わり シカゴにて録音
<Personnel> … ジミー・ブライシズ・ラガマフィンズ(Jimmy Blythe’s ragamuffins)
<Contents> … "Archive of Jazz/Freddie Keppard"(BYG 529.075)
| A面6曲目. | メッシン・アラウンド | Messin’around take1 |
| A面7曲目. | メッシン・アラウンド | Messin’around take2 |
| B面1曲目. | アダムズ・アップル | Adam’s apple |
6月22日クッキーズ・ジンジャースナップスが演奏していたナンバーと同タイトル。クラリネットのドッズが良い感じのソロを取る。A-6、7はトリクシー・スミスという女性シンガーが加わった歌もの。トリクシー・スミスは1922年に開かれた「第1回ブルース・シンギング・コンテスト」で優勝し、ブラック・スワン・レコードからデビューしていた人気のブルース・シンガー。しかし彼女の声は少し甘く歌い方も滑らかで迫力あるブルース・シンガーではない。1925年にはルイ・アームストロングとも共演している。
3曲を通じてまずソロを取るのはジョニー・ドッズであり、聴き応えのあるソロを展開するが、やはりそれはルイとの共演が影響を及ぼし、ドッズの実力を高めたからであろう。対してケパードはソロにおいても装飾フレーズから脱しておらず、以前は2代目ジャズ王と言われた時期もあったが、もうすでに過去の人になりつつあったのであろう。
<Date&Place> … 1926年9月 シカゴにて録音
<Personnel> … フレディー・ケパードアンド・ヒズ・ジャズ・カーディナルス(Freddie Keppard and his jazz cardinals)
<Contents> … "Archive of Jazz/Freddie Keppard"(BYG 529.075)
| B面2曲目. | ソルティー・ドック 1 | Salty dog take1 |
| B面3曲目. | ソルティー・ドック 2 | Salty dog take2 |
| B面4曲目. | トックヤード・ストラット | Tockyard strut |
この録音は珍しくケパード名義である。
ここでのケパードは生き返ったように溌剌としたプレイを展開する。ここまで聴いてきてこの人にはやる気があるのだろうかとさえ思うことがあったが、一転して素晴らしいプレイを披露する。ケパード名義の録音となると、立ち直るところがこの人のパーソナリティなのかもしれない。
B面2、3曲目ソルティー・ドック
この2曲は歌もので、歌っているのは草創期の男性ブルース・シンガー、パパ・チャーリー・ジャクソン。しかしこの2ヴァージョンはブルースではない。
B面4曲目.トックヤード・ストラット
アップ・テンポの曲。こちらでもケパードは好調でドッズの絡みも聴き応えがある。
<Date&Place> … 1926年11月 シカゴにて録音
<Personnel> … ジャスパー・テイラーズ・ステイト・ストリート・ボーイズ(Jasper Taylor’s state street boys)
<Contents> … "Archive of Jazz/Freddie Keppard"(BYG 529.075)
| B面5曲目. | ストンプ・タイム・ブルース | Stomp time blues |
| B面6曲目. | イット・マスト・ビー・ザ・ブルース | It must be the blues |
B面5曲目.ストンプ・タイム・ブルース
ここでもケパードは好調をキープする。ブレークでの短いソロ、ケパード、ドッズ、エリスともども工夫を凝らしていることが感じられる。
B面6曲目.イット・マスト・ビー・ザ・ブルース
ミディアム・テンポのブルース。最初のソロはケパード、続いてドッズ、そしてエリスそれぞれ持ち味を発揮している。そこから合奏となりケパードが短いカデンツァを吹いて終わる。
<Date&Place> … 1926年9月 シカゴにて録音
<Personnel> … エルガーズ・クレオール・オーケストラ (Elgar’s creole orchestra)
| Violin & band leader | … | チャールズ・エルガー | Charles Elgar |
| Cornet | … | マニュエル・ぺレス(多分) | Manuel Perez (perhaps) | 、 | inc |
| Trombone | … | | inc |
| Clarinet & Alto sax | … | ダーネル・ハワード | Darnell Howard |
| Sax | … | | inc |
| Tuba | … | ウェルマン・ブラウド | Wellman Braud |
| Piano , Banjo & Drums | … | | inc |
<Contents> … "Archive of Jazz/Freddie Keppard"(BYG 529.075)
B面7曲目.ナイトメア(Nightmare)
レコード裏面の解説がフランス語でよく分からないのだが、この録音のコルネット奏者はたぶんマニュエル・ぺレス(Manuel Perez)とincであるという。もしかするとこれはそうは言われているが実はケパードが吹いたものとして有名だったりするという仕掛けなのであろうか?それとも“inc”はケパードと推定されるのであろうか?よく分からない。
油井正一氏は『ジャズの歴史』において、コルネットのマニュエル・ぺレスについて、「伝説の人としてしばしば文献に出てきますが、ホット・ミュージシャンというよりは、ストレートなスタイルで問題にならぬ」と書いています。コルネットのソロを聴くと力がこもったいいソロだと思うのであるが…。
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