グレン・ミラー 1939年

Glenn Miller 1939

1937年自己の楽団を組織し、スイング・ジャズ界に打って出たミラーであったが、なぜか人気が盛り上がらず1938年1月2日バンドはコネチカット州リッツ・ボールルームの公演を最後に解散に追い込まれる。失意のうちにニュー・ヨークに戻ったミラーは、それにも挫けずバンドを再編する。そして1938年9月27日には「ミネトンカの湖畔」、"My revere"、"King porter stomp"の3曲を録音している。3曲の録音が認められたということはそれなりに期待はされていたのだろう。
1939年2月に入ると4面分のレコーディングも行っているが、これは大した話題にはならなかったようだ。僕もこの4曲は保有していない。そして4月に入りミラーの人気が爆発する録音が行われるのである。クラリネットを有効に活用した実に柔らかなサウンドを作り上げ、これを生かした「ムーンライト・セレナーデ」である。

<Date&Place> … 1939年4月4日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Band leader & Tromboneグレン・ミラーGlenn Miller
Trumpetデイル・マクミクルDale Mickleボブ・プライスBob Priceリー・ノウルズLeigh Knowles
Tromboneアル・マストレンAl Mastrenポール・タナーPaul Tanner
Clarinet & Saxesハル・マッキンタイヤーHal McIntyreスタンレー・アーロンソンStanley Aronsonテックス・べネキーTex Benekeアル・クリンクAl Klinkウィルバー・シュワルツWilbur Schwartz
Pianoチャミー・マクレガーChummy MacGregor
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassローランド・バンドックRoland Bundock
Drumsフランク・カールソンFrank Carlson

Trumpet … ピー・ウィー・アーウィン、アーデル・ギャレット ⇒ デイル・マクミクル
Trombone … ジェシー・ラルフ、バド・スミス ⇒ アル・マストレン、ポール・タナー
Saxes … アーヴィング・ファゾラ、トニー・ヴィオラ、ジェリー・ジェローム、カール・ビクセッカー ⇒ スタンレー・アーロンソン、ハル・マッキンタイヤー、アル・クリンク
Guitar … カーメン・マストレン ⇒ アラン・リュース
Drums … ドク・カーネィ ⇒ フランキー・カールソン
1938年9月27日の「ミネトンカの湖畔」録音時から大幅な移動がある。

Rolly Bundock (instrumentalist : string bass)

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 A-1.「ムーンライト・セレナーデ」(Moonlight serenade)
言わずと知れたグレン・ミラー・オーケストラのオープニング・チューン。4月4日に録音され、B面4月10日に録音するB面「サンライズ・セレナーデ」とカップリングで4月26日に発売された。素早い動きである。「これは当たる」という確信があったのだろう。実際に大いにヒットし、1939年年間ヒット・チャート第2位というビッグ・ヒットになった。因みに1位はジュディ・ガーランドが歌った「虹の彼方に」であった。4月4日には他に3曲ほど録音したようだが、余り話題にはならなかったようだ。
ミラー自身が作曲した3連符を効果的に使ったロマンティックなナンバー。クラリネットをサックス・セクションのリード楽器にするという斬新なアイディアによりほかのバンドにはない洗練されたサックス・ヴォイシングでエレガントなメロディーが奏でられる。これがいわゆる
映画「グレン・ミラー物語」によると、Tpのジョーが唇を怪我したためリード奏者がいなくなり、窮余の策としてクラリネットがリードを吹いたことになっているが、当時Tpにジョーという名前の奏者はいない。んー、よく分からない!サックス・セクションがメロディーをリードし、最初はTpはミュートでソフトにバッキングを行うがコーラスからはオープンで吹く。A-3サンライズ・セレナーデとカップリングするためにこのタイトルにしたという。これはジャズかそうではないかという議論は昔からあったようだが、まあいいではないの、とにかく美しい曲。

グレン・ミラーのEP盤

野口久光氏の解説によると、ディスコグラフィーの編纂などで有名なイギリスの研究家ブライアン・ラスト氏は、そのディスコグラフィーにグレン・ミラーの項には1938年までの作品は取り上げ散るが、1939年以降の作品は取り上げていないという。つまり「ムーンライト・セレナーデ」が大ヒットし決定的な人気を得た1939年以降の作品は取り上げていないのである。なぜだろうか?その理由は、グレン・ミラー楽団はダンス・バンドとしてものすごい人気はあったが、ポピュラー・ソングを扱ったスイートな曲が多く、ジャズに値するソロも少なく、ミラー自身のトロンボーン・ソロの入っている曲もごく僅かであるというのがその理由だという。要するにジャズではないから取り上げないということである。
ところで僕が最初に買ったジャズのレコードはグレン・ミラーのコンパクト盤(EP盤 写真右)だった。マイルス・ディヴィスよりもジョン・コルトレーンよりも前に、グレン・ミラーを聴いていたのだ。なぜか、それは貧乏だったが、音楽好きだった母が労音か民音のコンサートで自衛隊の軍楽隊のコンサートのようなものがあり、そのコンサートに連れて行ってくれたからで、そこではグレン・ミラーの音楽がよく演奏されていた。僕ぐらいの世代では知らず知らずのうちにこの手の音楽を聴いていたのだった。
その後、ヴェンチャーズ、ビートルズ、ローリング・ストーンズその他のロック・ミュージック、そしてR&Bなどにはまり、次にマイルスやジョン・コルトレーンのジャズにはまった。そしてアドリブこそジャズの命、優れたアドリブこそが真のジャズ、最高の音楽と思いつめた。その時期はグレン・ミラーを離れた。それはミラーの音楽は、余りにもポップな曲とソロに重点を置かなさすぎる、アドリブがほとんどないというものだったろう。この時期は長かった。
しかしこの歳になると美しいメロディーに魅かれるようになる。いやずっと美しいメロディーは好きだったのだ、美しいと感じる音楽が変わった、いや美しいと感じる音楽の幅が広がったのかもしれない。縁起の悪い話に飛んで恐縮だが、大分前(2010年ごろ)勤務先の同僚の父親が亡くなり、告別式のお手伝いに伺った。亡くなられた方はちょうど90歳になられたところだったという。男性での享年90歳は大往生と言えるだろう。そしてその方は生前ジャズが好きでことのほかグレン・ミラーがお気に入りだったという。それで告別式の間、お坊さんの読経の時は別にしてずっと「ムーンライト・セレナーデ」が低く流れていた。僕は受付を仰せつかっていたので、弔問客が途切れた間などに考えていた。僕らの一世代前の方々にとっては、グレン・ミラーこそがジャズだった時代があるのだ。ついついこの曲を口ずさみそうになった。自分が死ぬときは、自宅で「ムーンライト・セレナーデ」などが流れている中で夢を見るように、穏やかに息を引き取れたなら最高の往生ではないか。さらには本当にいい曲とはこういう曲ではないか、フリーだ、アヴァンギャルドなど言っても口ずさめない曲など音楽とは言えない、いや口ずさめる曲こそが本当に良い曲ではないかと。

<Date&Place> … 1939年4月10日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Drums … フランキー・カールソン ⇒ モーリス・パーティル(Maurice Purtill)
以外4月4日と同じメンバー。

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 A-3.サンライズ・セレナーデSunrise serenade
Record1 A-4.茶色の小瓶Little brown jug
Record1 A-3.サンライズ・セレナーデ
白人バンド・リーダー兼ピアニストのフランキー・カールが作曲し、カサ・ロマ・オーケストラの吹込みがヒットしていたが、名アレンジャー、ビル・フィネガンのアレンジ、ミラーのリード・セクションの美しいサウンドで2か月後 に吹き込んだミラーの盤が追い越して大ヒットしたという。僕はあまりサンライズ(日の出)という感じがしないが。
Record1 A-4.茶色の小瓶
1869年にJ.E.ウィナーが書いたクリスマス・ソングで、カレッジ・ソングとして歌われたものをミラーが取り上げ、彼の楽団の初のミリオン・セラー・レコードとなったという。ということは「ムーンライト・セレナーデ」よりも先にヒットしたことになる。編曲はこれもフィネガンの傑作で、ラストのリフ処理、音の 強弱でドラマティックな効果を上げている。
しかし、映画「グレン・ミラー物語」では、細君にとっては、この曲は2人の思い出であり好きで聞きたがっていたが、ミラーはどうも気が進まず放っておき、ムーンライト・セレナーデなどがヒットした後、細君へのプレゼントとしてミラーがアレンジしたようなシナリオだったような気がする。

<Date&Place> … 1939年4月18日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Guitar … アラン・リュース ⇒ アーサー・エンス(Arthur Enns)
以外4月10日と同じメンバー。

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 A-5.ランニン・ワイルド(Runnin' wild)
1922年ジョー・グレイ、リー・ウッド(作詞)、A.ハリントン・ギブスが共作したナンバー。ヴォードヴィルなどで盛んに歌われた曲という。非常に速いテンポのホットなナンバーに仕上げている。

<Date&Place> … 1939年6月27日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Guitar … アーサー・エンス ⇒ リチャード・フィッシャー(Richard Fisher)
Trumpet … ボブ・プライス ⇒ クライド・ハーレイ(Clyde Hurley)
Sax … スタンレー・アロンソン ⇒ ハロルド・テニソン(Harold Tennyson)
レコードのデータでは、Trumpet … リー・ノウルズ ⇒ ジョン・モギー(John Moghee)とあるが、Webではリー・ノウルズ ⇒ ジョン・モギーという移動はない。
それ以外は4月18日と同じメンバー。

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 A-5.ペーガン・ラヴ・ソングPagan love song
Record1 A-6.虹の彼方にOver the rainbow
Record1 A-5.ペーガン・ラヴ・ソング
トーキー映画の初期に作られたMGM「異教徒(The pagan)」(1930)の主題歌としてネイシオ・ハーブ・ブラウン が作曲したものという。原曲は3拍子だったらしいが、ここではアップ・テンポのキラー・ディーラー・スタイルで 演奏しているという。「キラー・ディーラー(Killer Diller」とは、当時のアメリカのスラングで、「何か素晴らしいもの、ずば抜けたもの」といった意味だという。「キラー・ディーラー・スタイル(Killer Diller Style)」とは、グレン・ミラーが発明した独特のサウンドのことで、ビッグバンドにおける通常のサックス・セクションの5人(アルト2本、テナー2本、バリトン1本)の内リード(1番高音のパート)、もしくはセカンド(2番目の高音のパート)をアルト・サックスの代わりにクラリネットで1オクターブ高い音で演奏することで、これによって甘美で独特なヴォイシング(和声)のサウンドが得られる。この曲などソロも多くどう聴いてもジャズだと思うのだが。
Record1 A-6.虹の彼方に
MGM映画「オズの魔法使い(“Wizard of Oz “1939)」の主題歌でアカデミー主題歌賞を受賞した超有名スタンダード・ナンバー。作曲はハロルド・アーレン。ヴォーカルはレイ・エバール(Ray Eberle)で、美しいバリトン・ヴォイスで人気があった人だという。割と速いテンポで演奏している。

<Date&Place> … 1939年8月1日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

6月27日と同じ

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 B-1.イン・ザ・ムードIn the mood
Record1 B-2.グレン・アイランド・スペシャルGlenn island special
Record1 B-1.イン・ザ・ムード
グレン・ミラー楽団のトレード・マーク的な最大のヒット曲。作曲者はジョー・ガーランド。ガーランドはドン・レッドマン、ラッキー・ミリンダ―など黒人一流バンドに在籍サックス奏者兼アレンジャーとして活躍した。当時流行 のリフ・ナンバーでミラーのユニークなアイディアによるアレンジはサックスとブラスをコントラストさせた快適な アンサンブル、テックス・ベネキーとアル・クリンクのTsのバトル・ソロ(僕はこのオリジナルの他いくつかのミラー・バンドのヴァージョンを聴いたがサックスのフレーズはほぼ同じである)、クライド・ハーレイのTpソロに続く
ラスト・アンサンブルにおけるリフのfade-out-and-jump-back手法、2小節のストップ・タイムが大変効果的である。この曲は39年8月の録音であるが、41年にミラー楽団が映画「銀嶺セレナーデ」の中でも演奏、ショウ・バンド的な演出でまたまたヒット・チャートをにぎわしたという。
Record1 B-2.グレン・アイランド・スペシャル
ニューヨークの有名なボール・ルーム・グレン・アイランド・カジノのためにカウント・ベイシー楽団のトロンボーン奏者兼ギタリストのエディー・ダーハムが作曲したリフ・ナンバー。ミラー楽団のキラー・ディラー・ナンバーとなっていた。速いテンポの演奏で、Tp、Ts、Tbのソロがフューチャーされている。

レコードのデータによると、B-3.マイ・プレイヤー、B-4.ジョンソン・ラグ、B-5.インディアン・サマーの3曲は11月5日の録音となっている。しかしB-3.とB-4、5.のパーソネルは違うという。ちょっとこれは考えられないので、Webディスコグラフィーで調べるとB-3.は8月18日の録音となっている。こちらが正しいと思う。

<Date&Place> … 1939年8月18日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Sax … ハロルド・テニソン ⇒ Gerald Yelverton Vocal … Ray Eberle ⇒ In
Record1 B-3.「マイ・プレイヤー」(My prayer)
1950年代にヴォーカル・グループ、ザ・プラターズがリヴァイヴァルヒットさせて日本でもおなじみの曲。原曲はジプシーのヴァイオリン奏者ジョルジュ・ブーランジェが作った“Avant de mourir”という曲で、1939年ジミー・ケネディーがこの曲を基に作詞作曲し39年にヒットした曲という。これもレイ・エバールのヴォーカル・ナンバーであり、スイートなミラー・サウンドの典型的なものと言える。

1939年10月6日にカーネギー・ホールに出演した時の音源を取り上げる。このコンサートはASCAP(American Society of Composers , Authors and Publishers:米国作曲家作詞家出版者協会)が25周年の感謝を込めて開催した音楽フェスティヴァル週間(Music Festival week)の一環として開催されたコンサートだという。BGは金曜夜の部に出演したようだ。他にはベニー・グッドマン、ポール・ホワイトマンフレッド・ウォーリング、が出演したという。この実況放送では、ベニー・グッドマンの出演(「ベニー・グッドマン 1939年」を参照)がチャーリー・クリスチャンのニューヨーク・デビューに当たり貴重である。
CDではベニー・グッドマンの次に収録されている。即ち1曲目から10曲目までがベニー・グッドマンで11曲目から23曲目までがグレン・ミラーとなっている。

「Benny Goodman & Glenn Miller live at the Carnegie Hall 6 October 1939」CD

<Date&Place> … 1939年10月6日 ニューヨーク・カーネギー・ホールにて実況録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・スイング・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

Trombone & Band Leaderベニー・グッドマンBenny Goodman
Trumpetクライド・ハーレイClyde Hurleyレー・ノウルズLeigh Knowlesデイル・マクミクルDale McMickleジョニー・ベストJohnny Best
Tromboneアル・マストレンAl Mastrenポール・タナ―Paul Tannerトミー・マックTommy Mack
Clarinet & Alto saxウィルバー・シュワルツWilbur Schwartz
Alto saxハル・マッキンタイヤーHal McIntyre
Alto & Baritone saxジミー・アバトJimmy Abato
Tenor saxテックス・べネキーTex Benekeアル・クリンクAl Klink
Pianoチャミー・マクレガーChummy MacGregor
Guitarリチャード・フィッシャーRichard Fisher
Bassローランド・バンドックRoland Bundock
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill
Vocalマリオン・ハットンMarion Huttonレイ・エバールRay Eberle

Trumpet … ジョニー・ベスト ⇒ In
Trombone … トミー・マック ⇒ In
Sax … ジミー・アバト ⇒ In
以外8月18日と同じメンバー。

「Benny Goodman & Glenn Miller live at the Carnegie Hall 6 October 1939」CD

<Contents> … "Benny Goodman & Glenn Miller Live at the Carnegie hall" (JazzBand EBCD2103-2)

CD-11テーマ−イントロダクションTheme-introduction
CD-12ランニング・ワイルドRunning wild
CD-13サンライズ・セレナーデSunrise serenade
CD-14茶色の小瓶Little brown jug
CD-15ステアウェイ・トゥ・ザ・スターズStairway to the stars
CD-16トゥ・ユーTo you
CD-17ワン・オクロック・ジャンプOne O'clock jump
CD-18ロンドンデリー・エアーLondonderry air
CD-19ジャンピン・ジャイヴJumpin’jive
CD-20FDR・ジョーンズFDR Jones
CD-21ホールド・タイトHold tight
CD-22イン・ザ・ムードIn the mood
CD-23ビューグル・コール・ラグ〜クロージング・テーマBugle call rag , closing theme
「Benny Goodman & Glenn Miller live at the Carnegie Hall 6 October 1939」CD解説

面白いのはBG楽団とミラー楽団の演目が2曲(「サンライズ・セレナーデ」と「ワン・オクロック・ジャンプ」)も被っているのである。この2曲を聴き比べるだけでも面白い。

CD-11.「テーマ−イントロダクション」
まずバンド紹介があり、テーマとしてご存知「ムーライト・セレナーデ」が短縮ヴァージョンで奏される。
CD-12.「ランニング・ワイルド」
ミラー楽団はこの年の4月にスタジオ録音している最新のヒット曲というところであろう。スタジオ録音と同様アップ・テンポで奏される。短いがTs、Tpソロが聴かれる。
CD-13.「サンライズ・セレナーデ」
もともとはカサ・ロマ・オーケストラのヒット曲だったが、後に吹き込んだミラー楽団のものの方がヒットしたという。どちらかといえばミラーの方がテンポがゆったりとしている。こういう場合後から演るバンドは力が入るものである。どちらも見事だが、ミラー楽団のテナー・ソロがなかなかいい。アンサンブルの一体感はBGがちょっと上の感じがする。
CD-14.「茶色の小瓶」
これもご存知ミラー楽団の大ヒット・ナンバー。冒頭で楽団員の掛け声が入るのが楽しい。ここでソロを取るテナーはベネキーかと思う。スタジオよりも少しばかりテンポがゆったりしている。Tpソロの後半はランスフォード・ビートで盛り上げている。
CD-15.「星への階(Stairway to the stars)」、16.「トゥ・ユー」
この2曲はレイ・エバールのヴォーカル・ナンバー。
CD-17.「ワン・オクロック・ジャンプ」
BGの後半たたみかけるようなアンサンブル、リフは迫力満点である。一方こちらのヴァージョンは最初明確なメロデイーが奏されず、ソロに入る。イントロにはブギー・ウギーのリズムも登場する。そして聴き処後半のリフ・スペースは、バンドがよく訓練されていることを感じさせるが、迫力という点でBGに軍配が上がる。
CD-18.「ロンドンデリー・エアー」
元々はアイルランドの民謡で、「ダニー・ボーイ」という曲名でも知られる。ミラー楽団は翌1940年「ダニー・ボーイ」というタイトルで吹き込みヒットを飛ばした。
CD-19.「ジャンピン・ジャイヴ」、20.「FDR・ジョーンズ」、21.「ホールド・タイト」
これは女性シンガー、マリオン・ハットンのヴォーカル・ナンバー。当時20歳のマリオンは若いせいか粗削りで余りうまいとは思わないが、元気がいい。そこがいいのかもしれない。21.「ホールド・タイト」で発する奇声が気になる。
CD-22.「イン・ザ・ムード」
これもご存知ミラー楽団の看板ナンバー。これもこの年に吹込みヒットとなっていたもの。エンディングのアンサンブルがちょっと乱れるのがご愛敬。
CD-23.「ビューグル・コール・ラグ〜クロージング・テーマ」
N.O.R.K.(New Orleans Rhythm Kings)のメンバーの作で、レッド・ニコルス、BGなど多くの吹込みがある。ミラー楽団の特徴は、通常スイートなナンバーとして奏されることが多いこの曲を、テンポ・アップしてホットなナンバーとして演奏しているところだろう。BGの「シング、シング、シング」への対抗の意味もあるだろう。ドラムのパーティルのはりきったドラミングが素晴らしい。
そしてクロージング・テーマとして再び「ムーライト・セレナーデ」が短縮ヴァージョンで奏されてショウは終わりを告げる。ちょっとぎこちない終わり方なので、大分編集されていることを感じさせる。

<Date&Place> … 1939年11月5日 ニューヨークにて録音録音

<Personnel> … グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and his orchestra)

10月6日と同じメンバー。

<Contents> … 「グレン・ミラー/オリジナル・ベスト・コレクション」(RCA RA-9001-02)

Record1 B-4.ジョンソン・ラグJohnson rag
Record1 B-5.インディアン・サマーIndian Summer
B-4ジョンソン・ラグ
これもホットなダンス・ナンバー。Ts、Tp、Tbのソロがフューチャーされる。
インディアン・サマー
オペレッタの作曲家ヴィクター・ハーバートが1919年にピアノ曲として作り、後にハーバート自身がオーケストラに編曲した器楽曲だが、アル・デュービンが歌詞を書き、歌曲化してその年のヒット曲となったという。まさに小春日和(インディアン・サマー)を連想させるようなほんわかした曲。これもレイ・エバールのヴォーカル・ナンバーとして取り上げ、再びヒットさせたという。

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