ジェリー・ニューマン・レコーディングス 1940年
Jerry Newman Recordings 1940
ジェリー・ニューマン(Jerry Newman)はコロンビア大学のジャズ好きの学生で、大学のマーチング・バンドでトロンボーンを吹いていた。そして彼は録音したものをアセテートのディスクに直接カッティングできる「ウィルコックス・ゲイ・レコーディオ」(Wilcox-Gay recordio)という持ち運びできる「ディスク・カッター」を持っていた。この機械は12インチのアルミ基板のアセテート盤にカッティングするもので、それまでの10インチ78回転盤は3分しか録音できなかったが、この12インチ盤は33.3回転で片面約15分の録音が可能だった。
最初は単なる趣味で、ラジオ番組や、ミュージシャンたちの非公式なセッションを録音していた。そんな中でホレス・ヘンダーソン楽団の歌手デューク・グロナーと知り合う。そのグロナーがニューマンを「ミントンズ」に連れて行くのである。
彼はそのディスク・カッターを使った”芸”を演じ、その見返りとして「ミントンズ」や「クラーク・モンローズ・アップタウンハウス」で、非正規の録音を許された。彼は1941年2月、仲間たちとコンビア大学内でラジオ・クラブを作り、学生寮内でジャズの放送を開始した。6月ないしは7月彼らは「ミントンズ」で演奏されている音楽を学内ラジオ聴取者たちに紹介することを企画した。
この後こうした録音のいくつかをニューマンはヴォックス(VOX)・レーベル、自身のレーベル、エソテリック(Esoteric)・レーベルで発表した。
彼のこれらの録音が重要視される訳は、ビ・バップの温床と言われた「ミントンズ」や「クラーク・モンローズ・アップタウンハウス」における後にビ・バップの重要な立役者となるミュージシャンの録音を捉えていたことが挙げられる。殊に1941年のチャーリー・クリスチャンやセロニアス・モンク等の録音は極めて貴重である。コロンビア大学学生寮でジャズの放送を始めたのは1941年だが、それ以前1940年にも幾つかレコーディングは行っていたようで、今回はその1940年の録音を取り上げる。
<Date & Place> … 1940年 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ジャム・セッション(Jam session)
<Contents> … "Hot Lips Page/After hours in Harlem"(Onyx records 207)
| A面1. | アイ・ガット・リズム | I got rhythm |
| A面2. | アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ラヴ | I'm in the mood for love |
| A面3. | ダイナ | Dinah |
| A面4. | 二人でお茶を | Tea for two |
ジェリー・ニューマンは主にミントンズ・プレイ・ハウスか偶にクラーク・モンローズ・アップタウン・ハウスにおいてジャム・セッション等を録音していた。この演奏もミントンズのものであろう。1940年録音の4曲に関しては演奏内容も良くない。とにかくTpとTsとPという変わった編成なのである。時たまドラムの音が聞こえたかと思えば聞こえなくなったりする。
ペイジとフィールズは酔っぱらっているのかまともな演奏ではない。一人まともななのはPのランバートで、A面2.「アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ラヴ」やA面4.「二人でお茶を」では、なかなか聴き応えのあるソロを取っている。
<Date&Place> … 1940年 ジェリー・ニューマンが録音
<Personnel>
<Contents> … "Harlem odyssey"(Xanadu 112)
A面6.「オール・ザ・シングス・ユー・アー」(All the things you are)
ともかく珍しい顔合わせである。盲目の天才黒人ピアニストと当時カサ・ロマ・オーケストラで活動していた白人サックス奏者マッキーチャンのデュオとは普通正規レコーディングでは考えられない組み合わせ。演奏はティタムがテクニックを活かしてソロを繰り広げ、途中からマッキーチャンのアルトが入る。マッキーチャンはアドリブを吹きまくるというよりは主旋律を少々崩して吹いているという感じで、ティタムはそのバックを演奏する。聴いて特に心が動かされるわけではないが、ミントンズではこういう演奏も行われたんだなぁということを知ることができる録音ではある。
<Date&Place> … 1940年10月21日 ジェリー・ニューマンが録音
<Personnel>
<Contents> … "Harlem odyssey"(Xanadu 112)
A面5.「ベイズン・ストリート・ブルース」(Basin street blues)
かつて1931年ザ・チャールストン・チェイサーズで決定版を残しているジャックお得意のナンバー。ここでは渋い喉もさることながら卓越したテクニックを如何なく発揮したソロも素晴らしい。
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