ベン・ウエブスター 1946年
Ben Webster 1946
ベン・ウエブスターは、コールマン・ホウキンス、チュー・ベリー、レスター・ヤングと並ぶスイング時代のテナーの巨人だが、ここまで彼のリーダー作というのは取り上げた記憶がない。ビリー・ホリディやデューク・エリントンのバンドで、アップ・テンポでは豪快で男性的なブロウを聴かせ、バラードではサブ・トーンを活かした抑制の利いたリリカルな、独特の語り口を聴かせてくれたが意外にもリーダー作はこれまで見当たらないのである。多分あるのだが、入手しにくいという事情であろう。そういった意味ではこの吹込みは待望の一作と言えると思う。
<Date & Place> … 1946年5月3日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ビル・デ・アランゴ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bill De Arango and his orchestra)
<Contents> … 「クラシック・テナーズ Vol.2」(Flying Dutchman RJL-2572)
| A面1. | ザ・ジープ・イズ・ジャンピン | The jeep is jumpin' |
| A面2. | ガット・イット・バッド | I got it bad and that ain't good |
| A面3. | ダーク・コーナーズ | Dark corners |
| A面4. | ブルース・ミスター・ブリム | Blues Mr. Brim |
「ザ・ジープ・イズ・ジャンピン」
エリントン・ナンバーで有名なジャンプ曲。ビルのイントロからサビをシュリーマンが吹き、アドリブ・スペースに入る。ソロはビル⇒ウエブスター⇒スコットと続く。ビスの流れるようなプレイ、最初は抑えながら、しかしだんだん熱を帯びるウエブスター、そして端正なスコットと各人の個性が出ている。
「ガット・イット・バッド」
これもエリントン・ナンバー。美しいバラードである。始めビルが短いソロを取り、ウエブスターのソロとなる。元エリントニアンの先輩ウエブスターに華を持たせた形である。そして再びビルがソロを取るが当時逸材と言われたことが納得できる。
「ダーク・コーナーズ」
「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」のコード進行からウエブスターが作曲したナンバー。アップ・テンポのナンバーで、ソロは先ずビル、バビッシュな見事なソロだと思う。そしてシュリーマン、スコット、ハキムと続く。そしてウエブスターが流石の貫禄を示す。ソロイストを盛り立てるカトレットのプレイも見事で、最後に短いがソロも披露する。
「ブルース・ミスター・ブリム」
これもウエブスターの作ったスロウ・ブルース。ウエブスターのイントロからビルのソウルフルなギター・ソロが光る。続いてウエブスターがいかにもウエブスター節というソロを聴かせ、再びビルのギターに戻る。そしてシュリーマンが入り、エンディングのアンサンブルとなる。
<Date & Place> … 1946年5月15日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベン・ウエブスター・クインテット(Ben Webster Quintet)
<Contents> … 「クラシック・テナーズ Vol.2」(Flying Dutchman RJL-2572)
| A面5. | フロッグ・アンド・ミュール | Frog and mule |
| A面6. | スパング | Spang |
| A面7. | ドクター・キーツ | Doctor Keets |
| A面8. | パーク・アンド・ティルフォード・ブルース | Park and Tilford blues |
「フロッグ・アンド・ミュール」
「フロッグ」(蛙)と「ミュール」(ロバ)とは変なタイトルだが、"Frog"(蛙)はウエブスターの仇名で、"Mule"(ロバ)とはカトレットの仇名であるという。つまりはウエブスターとカトレットということである。バウンス・テンポで演奏され、ウエブスターが2コーラスのソロを取り、続いてバビッシュなヘイグのPソロ、ビルのGtソロ、再びウエブスターからカトレットの短いソロからエンディングとなる。
「スパング」
BとDsのイントロで始まる。テーマからウエブスター、ヘイグ、ビル、ウエブスターとソロをつなぐ。ベースのシモンズ、カトレットも素晴らしい。
「ドクター・キーツ」
ウエブスターの作。ミディアム・テンポでカトレットのイントロからビル、ヘイグ、シモンズ、ウエブスター、カトレットと名人たちのソロが聴き応え十分である。
「パーク・アンド・ティルフォード・ブルース」
これもウエブスターの作。ビルのギターで始まる、ミディアム・スロウのナンバーで、ウエブスターにスポットが当てられる。
<Date&Place> … 1946年8月23日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・チョコレート・ダンディーズ(Benny Carter and his Chocolate Dandies)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第17巻/スイングからバップへ」(RCA RA96〜100)
| record3 B面3. | スイート・ジョージア・ブラウン・スイング | Sweet Georgia brown swing |
| record3 B面4. | アウト・オブ・マイ・ウェイ | Out of my way |
| record3 B面5. | ホワットル・イット・ビー | What'll it be |
| record3 B面6. | キャデラック・スリム | Cadillac slim |
「スイート・ジョージア・ブラウン・スイング」
スタンダード・ナンバーの"Sweet Georgia brown"でレコード解説だけ、"swing"が付いているが、Webなどではついていない。アップ・テンポで奏され、テーマはクレイトンが吹いている。カーターはここではクラリネットでソロを吹いている。続いてホワイト、ウエブスターのホンカーっぽいソロに続いてクレイトンの短いソロでエンディングを迎える。
「アウト・オブ・マイ・ウェイ」
最初のテーマはここでもクレイトン。珍しくシドニー・カトレットのヴォーカルがフューチャーされる。中々軽妙ないい味のヴォーカルである。ソロの初めはウエブスター、続いてアル・グレイのTbの短いソロからクレイトンがリードするアンサンブルに戻る。
「ホワットル・イット・ビー」
アンサンブルのイントロから、カーターのAs、クレイトンのTp、ホワイトのPがフューチャーされる。再びクレイトン、カーターとソロが続き、アンサンブルに戻る。
「キャデラック・スリム」
このセッションのベスト・パフォーマンスという。リフ・アンサンブルを縫ってウエブスターのテナーがフューチャーされる。カトレットの力強いプレイ、カーターとウエブスターのかけあい、カーター、ホワイト、クレイトンのソロも素晴らしく聴き処の多い作品である。
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