ベニー・カーター 1946年
Benny Carter 1946
ベニー・カーターの1946年の吹込みを取り上げよう。ベニー・カーターを取り上げるのは久しぶりのことであるが、地にしっかり足を付けて活動しているミュージシャンという感じがする。。
<Date&Place> … 1946年1月8日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Carter and his orchestra)
<Contents> … "Dexter Gordon/Kind of Gordon"(House of jazz 220156)
豪華なメンバーである。ベイシー、ウディ・ハーマン楽団などからの参加が多く、いわゆるレコーディング・セッションであろう。
| CD10-8. | ルッキング・フォー・ア・ボーイ | Looking For A Boy |
| CD10-18. | ジャンプ・コール | Jump call |
「ルッキング・フォー・ア・ボーイ」
オーケストラによるアンサンブルで始まり、マキシン・サリヴァンのヴォーカルとなる。間に入るTsソロがデクスターなのであろう。ソロは短く直ぐにアンサンブルとなって終わる。
「ジャンプ・コール」
この曲は問題である。CDのデータでは、この日このパーソネルによるレコーディングとなっているが、ディスコグラフィーには載っていない。収録が飛んでいるのも気になる。アップ・テンポのアンサンブルで始まる。ソロはTp、As、Tb、Ts(デックスか?)、Pからアンサンブルによるリフとなり、ハイノート・ヒットのTpがリードするアンサンブルで終わる。
<Date&Place> … 1946年3月〜4月 ロスアンゼルスにて録音
<Personnel> … チャーリー・パーカー&ウィリー・スミス&ベニー・カーター(Charlie Parker & Willie Smith & Benny Carter)
<Contents> … "Charlie Parker/Lotusland"(Spotlite SPJ123)
A面5.「メドレー:二人でお茶を〜身も心も〜チェロキー」(Medley:tea for two〜Body and soul〜Cherokee)
ラジオ放送にパーカーが出演した時の録音である。メンバーがすごい。スイング期の三大アルトの二人にパーカーがジョニー・ホッジスに代わって入った形だ。リズム隊も当時のナット・キング・コール・トリオにバディ・リッチが加わるというとんでもない豪華さである。アーニー・ホイットマン(Ernie Whitman)というアナウンサーがMCを務めている。パーカーにも話しかけるがパーカーがどう答えているか、よく分からない。
演奏はスタンダード・ナンバーのメドレーで、最初の「二人でお茶を」はウィリー・スミスが吹き切っている。これはいかにも彼らしい華麗なプレイで素晴らしい。続く「身も心も」はベニー・カーターが吹き切り、最後の「チェロキー」をパーカーが吹き切っている。カーターの演奏も素晴らしいの一言に尽きる。パーカーの「チェロキー」だけがアップ・テンポのナンバーで、コールのコンピングも素晴らしく、これも名演である。
<Date&Place> … 1946年3月31日or5〜6月 ロスアンゼルスにて録音
<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Carter and his orchestra)
<Contents> … "Miles Davis_Rare Miles"(Further Along FAP-001〜3)
| CD1-1. | ジャスト・ユー・ジャスト・ミー | Just you , just me |
| CD1-2. | ドント・ブレイム・ミー | Don't blame me |
| CD1-3. | スイート・ジョージア・ブラウン | Sweet Georgia Brown |
この録音については、疑問がある。まず収録しているCD、"Miles Davis_Rare Miles"(Further Along FAP-001〜3)に記載されたデータは上記の通りである。ただディスコグラフィーでは、このレコーディングはなく、場所は同じくロスアンゼルスだが月日は5〜6月となっており、パーソネルも若干異なる。さらに演奏曲3曲というのは同じだが、1曲「ジャスト・ユー・ジャスト・ミー」は同じだが、残り2曲が異なる。しかしCDを聴くと、2曲目「ドント・ブレイム・ミー」、3曲目「スイート・ジョージア・ブラウン」は合っているので、異なる録音なのかもしれない。
また放送音源なので、各演奏時間が長い。音はめちゃくちゃ悪いし、途中で切れたりまた戻ったりと編集は悪いが、演奏自体は聴き応えのあるものばかりである。
「ジャスト・ユー・ジャスト・ミー」
8分に及ぶ長尺演奏。ピアノのイントロから、アルト・サックスがリードするアンサンブルとなり、ソロはTsが先発する。続くソロはTpでソロが終わった後に「マイルス・ディヴィス」というMCが入る。前年の吹込みと異なりかなり更けている。続いてGtがソロを取るが、これも終了後「ジェイムズ・キャナディ」とMCが入る。続くソロはAsだが、一度フェイド・アウトされ、次にフェイド・インしてくるのはTbソロである。Asソロはカーターと思われるのでなぜ、途中で切るのだろう。そしてPソロとなるがこれがストライド調でこのメンバーだと古臭い感じがする。そして集団即興的な合奏となって終わる。
「ドント・ブレイム・ミー」
約9分という長い演奏。曲名だけの紹介があり、多分カーターのAsソロとなるがこれも途中で切れ、Tbでフェイド・インする。続いてPソロとなる。こちらは前曲と比べれば、素晴らしい。続いてTs、Tpとソロが続く。この出だしはかなり合わないところがあるのが気になる。途中でフェイド・アウトし、Asソロがフェイド・インしてくる。このカーターのソロは素晴らしい。そしてGtソロからアンサンブルとなって終わる。
「スイート・ジョージア・ブラウン」
7分半というこれも長尺演奏。透かしテンポを速めに取っている。Tpがアンサンブルをリードする。ソロはAsが取る。この頃のカーターは大分バードを意識していたというが、少しその雰囲気が分かるような気がする。続いてTbソロとなる。豪放なソロである。続いてTsソロ。ちょっとベン・ウエブスターを彷彿とさせる。そしてBソロとなるが途中で一度切られれている。そして短いGtソロからTpソロへ移る。これもマイルスだろうか?ここでMCが入り、その途中で終わる。
マイルスはこの後ロスアンゼルスでバードとの吹込みはなく、前掲のようにベニー・カーターの吹込みに参加したりしていたが、当時西海岸に住んでいたチャールス・ミンガスと親しくなり、よくジャムったり、ミンガスの実験的なビッグ・バンドとリハーサルを始めたという。先に掲げたジョン・スウェッド著「マイルス・ディヴィスの生涯」にはそれ程度しか触れていないが、マイルスの自伝にははっきり「この頃(1946年夏)ミンガス男爵とシンフォニック・エコーズというバンドでレコーディングした」と書いている。訳と解説の中山康樹氏は「これは謎につつまれたレコーディングで、これまでマイルス不参加説もあったが、今回のマイルスの証言によって確実に参加していたことが判明した。」と述べ、さらに「1946年後半にマイルスの参加した録音は行われたが、1949年1月に再度編集の手が加えられたという説もある」と紹介し、このセッションはレコード化されていない模様」と結んでいる。因みに僕の持っている自伝は1991年11月25日の新装版第1刷である。
このミンガスとの吹込みに当たると思う音源が、"Jazz Discography Project"に載っている。そして"Charlie Mingus/The Young Rebel"に収録されているとある。しかし"Charlie Mingus/The Young Rebel"CDボックスのライナー・ノートに載っているデータとは、かなり異なる。双方のデータを掲載してみた。
<Date&Place> … 1946年8月23日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ベニー・カーター・アンド・ヒズ・チョコレート・ダンディーズ(Benny Carter and his Chocolate Dandies)
<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第17巻/スイングからバップへ」(RCA RA96〜100)
| record3 B面3. | スイート・ジョージア・ブラウン・スイング | Sweet Georgia brown swing |
| record3 B面4. | アウト・オブ・マイ・ウェイ | Out of my way |
| record3 B面5. | ホワットル・イット・ビー | What'll it be |
| record3 B面6. | キャデラック・スリム | Cadillac slim |
「スイート・ジョージア・ブラウン・スイング」
スタンダード・ナンバーの"Sweet Georgia brown"でレコード解説だけ、"swing"が付いているが、Webなどではついていない。アップ・テンポで奏され、テーマはクレイトンが吹いている。カーターはここではクラリネットでソロを吹いている。続いてホワイト、ウエブスターのホンカーっぽいソロに続いてクレイトンの短いソロでエンディングを迎える。
「アウト・オブ・マイ・ウェイ」
最初のテーマはここでもクレイトン。珍しくシドニー・カトレットのヴォーカルがフューチャーされる。中々軽妙ないい味のヴォーカルである。ソロの初めはウエブスター、続いてアル・グレイのTbの短いソロからクレイトンがリードするアンサンブルに戻る。
「ホワットル・イット・ビー」
アンサンブルのイントロから、カーターのAs、クレイトンのTp、ホワイトのPがフューチャーされる。再びクレイトン、カーターとソロが続き、アンサンブルに戻る。
「キャデラック・スリム」
このセッションのベスト・パフォーマンスという。リフ・アンサンブルを縫ってウエブスターのテナーがフューチャーされる。カトレットの力強いプレイ、カーターとウエブスターのかけあい、カーター、ホワイト、クレイトンのソロも素晴らしく聴き処の多い作品である。
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