デューク・エリントン 1943年

Duke Ellington 1943

柴田浩一著『デューク・エリントン』

1943年のエリントンです。この1943年は戦時下、その影響を受けながらさらにAFM(アメリカ音楽家連合会)のストにより、1942年8月1日から44年11月30日までレコードの吹込みが停止するという状況でした。このためエリントン楽団も、メジャー・レーベルへの録音はなくなります。ではこの時期エリントン楽団の録音が全く無いのかというとこれがたくさんあるのです。エリントン楽団の人気のほどが分かりますね。
この年デュークはまず1月23日、初めてカーネギー・ホールに出演します。当時のカーネギー・ホールはクラシックの殿堂であり、音楽界の権威の象徴でした。38年ベニー・グッドマンのコンサートとジョン・ハモンド氏主宰で”From spiritual to swing”コンサートが行われ、大成功を収めました。このことがカーネギー・ホールの扉を開きやすくしたのでしょうか?黒人ジャズ・バンドが演奏会を開くことは画期的なことでした。

カーネギー・ホール練習風景

第1回カーネギー・ホール・コンサート

後に毎年のようにカーネギー・ホールでコンサートを開き、多分同ホールで最もコンサートを開いたジャズ・ミュージシャンと思われるエリントンですが、その第1回目のコンサートは、1943年1月23日、第二次世界大戦の最中に行われます。カーネギー・ホールでのジャズ・コンサートと言えば、先のベニー・グッドマンが1938年1月16日に開催したものが思い出されます。その時クーティー・ウィリアムス、ジョニー・ホッジス、ハリー・カーネイという3人の主力エリントニアンが出演しました。当のエリントンも出演を求められましたが、「いずれ自身のバンドでカーネギー・ホールには登場したい」と言って断っています。「デューク」の気高い矜持が見られますね。そしてデュークは最前列のボックス席でこのコンサートを聴いていたと言います。それから5年が経ち、ついにデューク・エリントンが自身のバンドを引き連れて、カーネギー・ホールのステージに立ったのです。
ベニー・グッドマンがカーネギー・ホールでコンサートを開くまでの経緯は、「ベニー・グッドマン 1938年」に書きましたが、どのような経緯でデュークの出演が決まったかは、詳しくは不明です。ただこのコンサートは、デュークも自身のキャリアにおいて重要なものと考えていたのでしょう、自身の自伝においてP182の途中からP184の初めにかけて、特に論争を引き起こした「ブラック、ブラウン、ベージュ」を中心に記述しています。写真左は、カーネギー・ホールでのリハーサル風景。

カーネギー・ホール出演中のエリントン楽団

多分そのころデュークは、アーヴィング・ミルズと袂を分かち、ウィリアム・モリス・エージェンシー(William Morris Agency)と契約していたのでしょう。デュークは次のように書いています。「ある日、ウィリアム・モリス・ジュニアが言うには、『長い作品を書いてほしいんだ。カーネギー・ホールで上演するやつだ』そんなわけで、書いたのが、組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』で、1943年1月23日、カーネギー・ホールの立見席以外満員の観客の前で初演され、圧倒的な成功を収めた。このコンサートの収益金はたまたまロシア戦争救済基金に充てられた。」確かに右のステージ写真を見ると、ステージ上まで観客が入っています。これは、ベニー・グッドマンの時と同じですね。また当時大戦では、ロシア(実際はソ連)とは、同じ連合国の同盟国であり、アメリカはソ連にも支援していました。
柴田浩一著『デューク・エリントン』によれば、この時の演奏はプレスティッジが同時録音したとありますが、プレスティッジ・レコードの設立は1949年であり、録音できるはずがありません。調べてみると、録音したのはカーネギー・ホールの技術者で、78回転アセテート・ディスクにプライベート録音を行っていたのです。また、エリントン自身「この組曲は、57分の長さだったので、レコーディングに際して、78回転アルバム4面にカットしなければならなかった」と書いています。多分演奏しながら、アセテート盤の取り換えを見ていたのでしょう。この辺りの録音の件も、BGと似ています。これではAFMのストとは無関係ですね。そしてこの海賊版がコレクターの間で出回っていました。そして最終的には1977年にプレスティッジが完全版をLPでリリースし、ようやく一般の人々が音楽を聴くことができるようになりました。
このコンサートの演目における肝は、何といっても組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』で、デューク自身「大変な論争を引き起こした」と書いています。『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』は、コネチカット州ハートフォードで作曲をはじめたそうで、1942年12月映画「ザ・キャット・ウーマン」の合間にも書き続けたと書いています。当時はまだトーキーも普及しておらず、音楽は実際のバンドが演奏していたのでしょうか?いずれにしろ、1か月前でもまだ書き継いでいたことが分かります。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]ジャケット

右がプレスティッジが1977年にリリースした完全版LPレコードのジャケットです。3枚組です。僕の記憶が正しければ、このレコードは日本盤は出ていないと思います。レコードだけではなく、CDは出ているはずです。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]ジャケット

<Date & Place> … 1943年1月23日 ニューヨーク・カーネギー・ホールでの実況録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetレイ・ナンスRay Nanceレックス・スチュアートRex Stewartハロルド・ベイカーHarold "Shorty" Baker
Tromboneジョー・"トリッキー・サム"・ナントンJoe "Tricky Sam" Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinetチャウンシー・ホウトンChauncey Haughton
Clarinet & Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Tenor saxベン・ウエブスターBen Webster
Clarinet , Alto & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassジュニア・ラグリンJunior Raglin
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalベティ・ローシェBetty Roche

この年はあまりメンバーが固定していないので、なるべくそれぞれを記載しようと思います。前回1942年7月28日からの移動。
Trumpet … ハロルド・ベイカー ⇒ In
Vocal … アイヴィー・アンダーソン ⇒ ベティ・ローシェ
但し、Ellingtoniaでは、トランペットにウォーレス・ジョーンズが加わってるとあります。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]A面

<Contents> … "The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943"(Prestige P-34004)

record1 A-1.国家(星条旗)Star spangled banner
record1 A-2.黒と茶の幻想Black and tan fantasy
record1 A-3.ロッキン・イン・リズムRockin' in rhythm
record1 A-4.ムーン・ミストMoon mist
record1 A-5.ジャンピン・パンキンスJumpin' Punkins
record1 B-1.バート・ウィリアムズの肖像Portrait of Bert Williams
record1 B-2.ボジャングルBojangles
record1 B-3.フローレンス・ミルズの肖像(ブラック・ビューティ)Portrait of Florence Mills(Black beaty)
record1 B-4.コ・コKo-ko
record1 B-5.ダージDirge
record1 B-6.ストンプStomp
record1 B-7.アー・ユー・スティッキン?Are you stivkin'
record2 C.ブラックBlack
record2 D-1.ブラウンBrown
record2 D-2.ベージュBeige
record3 A-1.バキフBakiff
record3 A-2.ジャック・ザ・ベアJack the bear
record3 A-3.ブルー・ベルズ・オブ・ハーレムBlue belles of harlem
record3 A-4.コットン・テイルCotton tail
record3 A-5.デイ・ドリームDay dream
record3 B-1.ボーイ・ミーツ・ホーンBoy meets horn
record3 B-2.リオ・グランデの薔薇Rose of Rio Grande
record3 B-3.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore
record3 B-4.ゴーイン・アップGoin' up
record3 B-5.ムード・インディゴMood indigo
[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]内ジャケット

組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』は、どの箇所で演奏されたのでしょうか?組曲の間に休憩を入れることは考えられないので、レコード収録は上記のようになるのはやむを得ないと思われます。Ellingtoniaでは、曲の演奏順はこの通りですが、「フローレンス・ミルズの肖像(ブラック・ビューティ)」と「コ・コ」の間となっています。ではどこで休憩を入れたのでしょうか?或いは休憩はなしでしょうか?僕は、第一部はrecord1 A-1.「国家」〜record1 B-3.「フローレンス・ミルズの肖像」まで、第二部が組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』、第三部がrecord1 B-4.「コ・コ」〜最後までという、三部構成だったような気がします。ともかくEllingtoniaを信じて、その順で聴いていきましょう。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]B面 record1 A-1.「国家(星条旗)」… 戦時中のこの時期は、先ず国家を演奏することはマストだったのでしょう。
record1 A-2.「黒と茶の幻想」… 1927年からデュークとその楽団は何度か録音している初期の代表作。ショート・ムーヴィーも作られています。ガンサー・シュラー氏によれば元はババー・マイレイのアイディアで作られた曲で、国家を除けばコンサートの口火を切るナンバー。この曲も組曲風であり、ここで既に黒人たちの苦悩や悲しみを沈鬱なムードの内に表現しています。見事なワウワウTp演奏はショーティ・ベイカーらしい。どうも観客に受けているのは、肉声に近いワウワウTpプレイのような気がします。
record1 A-3.「ロッキン・イン・リズム」… 有名なエリントン・ナンバー。快活なエリントンのピアノで始まります。ちょっと趣向を変えてジャズの楽しさをどうぞというところでしょうか。
record1 A-4.「ムーン・ミスト」… レイ・ナンスのVl、ホッジスのAsが活躍するスロウでメロウなナンバー。
record1 A-5.「ジャンピン・パンキンス」… デュークの息子マーサーの作。ここでソロを取るのは、ハリー・カーネイのBsとグリアのDs。
record1 B-1.「バート・ウィリアムズの肖像」… ここから「肖像(Portrait)」のコーナー。Tpのリードするアンサンブルから、Tp、Clが掛け合いを交えながらソロを取る。
record1 B-2.「ボジャングル」… 俳優、歌手であり、ダンサーとしても人気があったビル・ボジャングル・ロビンソンに捧げた曲。「ボジャングルの肖像」ということです。ソロを取るのは、Tsのベン・ウエブスター。
record1 B-3.「フローレンス・ミルズの肖像(ブラック・ビューティ)」… 覚えやすいメロディでエリントンのピアノが縦横にソロを取っています。

「エリントン自伝」
組曲「ブラック、ブラウン・アンド・ベージュ」
さて、柴田浩一著『デューク・エリントン』には特に記載がないですが、デュークの自伝によれば、アメリカにおける黒人の歴史をテーマにした組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』の初演で、圧倒的な成功を収めたとあります。しかし大論争を巻き起こすことにもなりました。それは、具体的にどのような論争だったか書いてありませんが、エリントンはクラシック音楽と同じくらい壮大なジャズ曲を作ろうと努め、事前にそう表明していたというのです。それに対して、「ジャズ」を「芸術音楽=クラシック」化しようとする試みはやめるべきという批判が多かったようです。察するに、白人文化が築き上げてきた、壮大・壮麗なクラシック音楽と黒人のジャズを同列に扱おうとすること対する嫌悪感が強かったように思われるのです。デューク自身の解説を書いておきましょう。

record2 C.「ブラック」
[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]C面 第1セクション。デューク自身は「黒人の過去へ深く分け入ったもの」としている。3部構成で、レコードでは、約22分の演奏時間。
「ワークソング(Worksong)」… 「私の関心は、ワークソングとスピリチュアルとの緊密な関係を示すこと。様々な形で使われている「ワークソング」という曲は、ワークソングというものは労働の時歌われるものであり、つまりその歌のための場所があり、人々が悩みを漏らす場所があったのだということを示すものだった。」
「カム・サンデイ(Come Sunday)」… 「スピリチュアルなテーマを持っている。教会へ入ることを許されない労働者たちが、教会の外に立って、出入りする人々を眺め、中の物音に耳を澄ますという、労働者たちが見た教会の内外の動きの描写を意図した。このテーマは、労働者たちが自分たちの教会を持つ時代まで展開される。」
「ライト(Light)」 「このセクションは、希望で終わる。未完成のエンディングの方がリアリティがある、つまり、未だなすべきことがたくさん残っているのに無理に結着を付けたり、鋳型にはめ込んだりするはできない。」
record2 D-1.「ブラウン」
第2セクション。デューク自身は「合衆国に対する黒人の血を流しての貢献を示したもの。革命戦争の英雄たちを描いた三つのダンス曲からなる」としている。3部構成で、レコードでは、約12分の演奏時間。
「ウエスト・インディアン・ダンス(West indian dance)」… 「サヴァンナで包囲されたアメリカ人たちを救いに来た、有名なファンタージュ・レジョンの700人の自由なハイチ人たちの勇敢な行為に捧げられたもの。それは、独立戦争、さらに奴隷解放宣言後に流行った黒人たちの浮き浮きとした態度へと進む。」
「解放祝典(Emancipation celebration)」… 「あの『びっくりして飛び起きた偉大な朝』の年配者たちの当惑と共に若い人たちに見られた喜びのまじりあった様子を描いた。長いこと奴隷として骨身を削って働き、残された余生を静かに暮らそうという時に、誰かがやって来て、お前さんは自由なんだぞと言われたその朝、年寄りたちは何を感じただろうか?ついで米西戦争に移って、勲章を受けた英雄たちの故国への凱旋を描き、それからロマンチックなトライアングルの音に続く『ザ・ブルース』になる」
「ザ・ブルース(The blues)」… この曲には特別解説はない。ベティ・ローシェのヴォーカル入り。ヴォーカルの後Tsのソロが入る。

record2 D-2.「ベージュ」
[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]D面

第3セクション。デューク自身は「ハーレムや合衆国中のリトル・ハーレムに住む人々に共通にみられる光景」としている。3部構成で、レコードでは、約14分半の演奏時間。
「セントラル・パークからの眺め(A View From Central Park)」… 「よく調べてみれば、、ハーレムにはキャバレーよりも教会の方がたくさんあり、人々はより確かな生き方を見つけようとしているし、黒人は豊かな経験や教育の持ち主だということがわかるだろう。」
「サイ・ランズ・ロック・ワルツ(Cy Runs Rock Waltz)」… 「小さなワルツの動きは、始めと終わりがやや粗っぽい洗練を表現したものだった」
「シュガーヒル・ペントハウス(Sugar Hill Penthouse)」… 「そこに住んでみなければ決して理解することも味わうこともできない、ハーレムのシュガーヒルのペントハウスのあの雰囲気を再現しようとした」
「フィナーレ(Finale)」… いかにも交響曲のフィナーレのような終曲。

この項の最期にデュークは次のように書いています。「近年になるにつれて、我々黒人は団結して戦うようになった。その混乱の中で勝利を勝ち取るにつれて、私たちの国は、再び深い困難に陥っていることを発見した。つまり、やがてブラック、ブラウン、ベージュの問題がかつてのレッド(アメリカ・インディアン)、ホワイト(白人)、ブルー(黒人)の問題にとってかわったのだ」と。
不勉強のためでしょう、僕にはこのデュークの発言の意味がよく分かりません。そもそも「ブラック、ブラウン・アンド・ベージュ」の意味するところもよく分かりません。もし「ブラック」が黒人としたら「ブラウン」は何で、「ベージュ」とは何でしょう?
そして最後に僕なりのこの組曲の感想を書いておきましょう。正に作曲家エリントンの才能を発揮した曲だと思います。デュークはこの曲を作るのがとても楽しかったのではないかと思います。でも正直言って、聴いて楽しいかと言われればまったく楽しくありません。折角希代の名人たちを擁していながら、デュークは彼らに譜面通りの吹奏を求めたのだと思います。全くジャズらしくありません。しかしデューク自身、自分はアーティストであり、ジャズ・ミュージシャンとは思っていない人なので、仕方ないことなのでしょう。僕はこの作品を知り、一度は聴かなくてはと思いましたが、もう一度聴きたいとは思いませんでした。
因みにデュークとその楽団は、5日後の1月28日、ボストンのシンフォニー・ホールでこの組曲をフル・サイズで演奏しているようです。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]E面

record1 B-4.「コ・コ」… 第三部は、エリントン作の傑作、「コ・コ」からで、ジャズらしいコンサートとなる。各曲ごとにエリントンがMCを務めているが、英語が分からない。
record1 B-5.「ダージ」… ビリー・ストレイホーンの作。荘厳な響きを持った曲で、これが初演のようだ。
record1 B-6.「ストンプ」… これもビリー・ストレイホーンの作。別名は「ジョニー・カム・レイトリー」。
record1 B-7.「アー・ユー・スティッキン?」… 息子のマーサー・エリントンの作。クラリネットをフューチャーしている。誰がプレイしているのだろう。
record3 A-1.「バキフ」… ファン・ティゾールの作。ナンスのVlがフューチャーされる。エキゾチックな雰囲気を持った不思議な曲である。
record3 A-2.「ジャック・ザ・ベア」… エリントン作。かつてはジミー・ブラントンをフューチャーした曲。ここではブラントンの後釜に座ったジュニア・ラグリンがフューチャーされる。
record3 A-3.「ブルー・ベルズ・オブ・ハーレム」… エリントン作。ゆったりしたナンバーで、エリントンのピアノがフューチャーされる。
record3 A-4.「コットン・テイル」… エリントン作のアップ・テンポのナンバー。Tsのウエブスターがフューチャーされる。
record3 A-5.「デイ・ドリーム」… ビリー・ストレイホーンの作。スロウでメロウなナンバーで、ホッジスが唯一独特なAsプレイで、夢見るような吹奏を聴かせる。
record3 B-1.「ボーイ・ミーツ・ホーン」… エリントン作でレックス・スチュアートのコルネットがフューチャーされる。レックスが高音から最低音まで使ってユーモラスなプレイを聴かせる。
record3 B-2.「リオ・グランデの薔薇」… デュークのオリジナルではなく、ポップス・チューン。ロウレンス・ブラウンのTbがフューチャーされる。

[The Duke Ellington Carnegie hall concerts January 1943]F面

record3 B-3.「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… エリントンの作で、元は"Never no lament"というタイトルだった曲。ホッジスをフューチャーしたナンバーで、この年盛んに演奏している。
record3 B-4.「ゴーイン・アップ」… これもエリントン作。珍しくTbのジョー・"トリッキー・サム"・ナントンがフューチャーされる。後半はナンスのVl、ウエブスターのTs、誰か分からないがTpの短いソロが挿入される。
record3 B-5.「ムード・インディゴ」… これもエリントンの作ったヒット・ナンバー。実に柔らかなサウンドが心地良い。

エリントンは自伝で、カーネギー・ホール・コンサートが音楽界全体に与えた衝撃がクレス・コートニー(?)と再び共演することに繋がり、さらに49丁目とブロードウェイの角にあるハリケーン・クラブに6か月間出演することになったといいます。まずどう調べても「クレス・コートニー」が何者で、ハリケーン・クラブに出演することがどういう意味・位置づけを持つものかが分かりません。しかしデューク自身が自伝で「ハリケーン・クラブ出演が終わる頃には、私たちのラジオ出演料は、4倍に跳ね上がった(素敵な話じゃない?)」語っているので、大いに箔が付いたことになるのでしょう。次は、そのハリケーン・クラブからのラジオ放送実況録音となります。

「The Duke box」CDボックス

<Date & Place> … 1943年4月3日 ニューヨーク・ハリケーン・クラブからのラジオ放送実況録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Trumpet … ウォーレス・ジョーンズ(Wallace Jones) ⇒ In
Reeds … オットー・ハードウィック ⇒ サックス・マラード(Sax Mallard)
以外1月23日と同じ。

「The Duke box」CD4枚目

<Contents> … "The Duke box"(Storyville records 108 8600)

CD4-1.A列車で行こうTake the "A" train
CD4-2.ヘイフット・ストロウフットHayfoot , strawfoot
CD4-3.イット・キャント・ビー・ロングIt can't be wrong
CD4-4.ホワット・アム・アイ・フォー?What am I for ?
CD4-5.メインステムMainstem
CD4-6.クド・イット・ビー・ユー?Could it be you ?
CD4-7.ゴーイン・アップGoin' up
CD4-8.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore
CD4-9.ネヴァダNevada
CD4-10.昔はよかったねThings ain't What they used to be
CD4-11.A列車で行こうTake the "A" train
CD4-12.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore
CD4-13.メインステムMainstem
CD4-14.アイ・ドント・ウォント・エニボディ・アット・オールI don't want anybody at all
CD4-15.ジョニー・カム・レイトリーJohnny come lately
CD4-16.昔はよかったねThings ain't What they used to be
「The Duke box」CD4枚目

というわけでハリケーン・クラブからのラジオ放送。先ずはテーマのCD4-1.「A列車で行こう」。この時代にはもうテーマとなっていたことが確認できる。
2曲目CD4-2.「ヘイフット・ストロウフット」… ベティ・ローシェのヴォーカル入り。ローシェは、アイヴィー・アンダーソンの後任として加入した女性ヴォーカリスト。加入時期についてはデータによって違いがあるが、僕の持っている最も初期の録音がこれである。ヴォーカル後のエキサイティングなTsソロはウエブスターであろう。
CD4-3.「イット・キャント・ビー・ロング」… スロウ&メロウなナンバーで、Tbがメロディーをロマンティックに奏でる。
CD4-4.「ホワット・アム・アイ・フォー?」… はエリントン作の憶えやすいメロディで、アンサンブルがメロディーを奏でワウワウTbがメロディーに絡み、繋ぎの短いPソロから目まぐるしく短いソロをリレーし、アンサンブルによるテーマになる。
CD4-5.「メインステム a.k.a. アルティチュード」… 色々な楽器ごとの対決するかのごとく短いソロが回される。力強いウエブスターのTsソロが目立つ。
CD4-6.「クド・イット・ビー・ユー?」… テンポをグッと抑えたバラード・ナンバー。
CD4-7.「ゴーイン・アップ」… デュークのイントロで始まる。サンブルとTp、Tbのミュート・ソロがエリントン楽団らしい。レイ・ナンスのVlが効いている。
CD4-8. 「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… デュークの名作。40年の初吹込みでは、"Never no lament"の曲名で、ホッジス、クーティ、ロウレンス・ブラウンのソロがフューチャーされていた。その後歌詞が付けられ、このタイトルになり有名になったという。何といっても中間部のホッジスによる独特のソロが素晴らしい。
CD4-9. 「ネヴァダ」… トロンボーンがリードを取り、アンサンブルがバックを務める。朴訥としたTbの味はロウレンス・ブラウンであろう。
CD4-10.「昔は良かったね」… 何となくこの曲がエンディング・テーマのように感じる。
CD4-11.「A列車で行こう」… この曲だけ翌4月4日の録音となっている。
CD4-12.「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… データでは、この曲は4月3日となっているが、なぜ2度演奏したのであろうか?或いはデータの誤りか?こちらでもジョニー・ホッジスが大活躍している。
CD4-13.「メインステム a.k.a. アルティチュード」… この曲も2度目の演奏。短いソロ回しの曲。圧巻は終わり近くのウエブスターと多分ブラウンによるトロンボーン・ソロ。
CD4-14.「アイ・ドント・ウォント・エニバディ・アット・オール」… 久しぶりに歌手のベティ・ローシェが登場する。ローシェの声は、アイヴィー・アンダーソンに似てアルトだなぁ。ゆったりとしたメロウなナンバー。
CD4-15.「ジョニー・カム・レイトリー」… ストレイホーンの曲。工夫を凝らしたアンサンブル・ワークが素晴らしい。
そしてこの日のエンディング・テーマCD4-16.「昔は良かったね」でこの日の放送は終わるが、どうも?である。

「デューク・エリントン/1943−1946」(Philips 15PJ-6)

<Date & Place> … 1943年5月1日 ニューヨーク セントラル・パーク・ホールからWEAFラジオ局からの中継放送録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

4月3日からの移動
Trombone … ローレンス・ブラウン ⇒ サンディ・ウィリアムズ(Sandy Williams)
Alto sax … オットー・ハードウィック(Otto Hardwick) ⇒ In
Clarinet … チャウンシー・ホウトン ⇒ Out

<Contents> … 「デューク・エリントン/1943−1946」(Philips 15PJ-6)

A-1.A列車で行こう〜ヘイフット・ストロウフットTake the "A" train 〜 Hayfoot , strawfoot
A-2.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore

A-1.「A列車で行こう〜ヘイフット・ストロウフット」… ラジオ局のサインとともに、エリントン・バンドのテーマ曲「A列車で行こう」がアンサンブルで演奏され、歌手のベティ・ローシェの名前が紹介される(ここではローシェの歌は入っていない)。
最初の曲は、「ヘイフット・ストロウフット」で、デュークの曲ではないが、スト直前の7月28日ヴィクターに吹き込んでいる。そこでは、ベン・ウエブスターが大きくフューチャーされていたが、ここではイントロから1stコーラスまでレックスのコルネットがフューチャーされている。その後デュークが16小節、ベン8小節のソロが入る。ジルバ向きのダンサブル・ナンバー。
A-2.「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… ここでも中間部のホッジスによる独特のソロが素晴らしい。ホッジスの後、レイ・ナンス(Tp)、ブラウン(Tb)のソロを挟んで、再びホッジスが短いソロを取る。

エリントンとバンド・メンバー 1943年

<Date & Place> … 1943年6月6日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

5月1日からの移動
Trumpet … レックス・スチュアート ⇒ タフト・ジョーダン(Taft Jordan)In
Clarinet & Sax … サックス・マラード、オットー・ハードウィック ⇒ ナット・ジョーンズ(Nat Jones)ジミー・ハミルトン(Jimmy Hamilton) 「The Duke box」CD4枚目

<Contents> … "The Duke box"(Storyville records 108 8600)

CD4-17.ムーン・ミストMoon mist
CD4-18.ユール・ネヴァー・ノウYou'll never know
CD4-19.トゥナイト・アイ・シャル・スリープTonight I shall sleep
CD4-20.アイ・ドント・ノウ・ホワット・カインド・オブ・ブルース・アイ・ガットI don't know what kind of blues I got
CD4-21.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore
CD4-22.ムーン・ミストMoon mist

今回は6月のハリーケーン・クラブからのラジオ放送。
CD4-17.「ムーン・ミスト」… レイ・ナンスのヴァイオリンが効いている。
CD4-18.「ユール・ネヴァー・ノウ」… バラード・ナンバーでTsのウエブスターがフューチャーされる。アップ・テンポで破裂しそうなウエブスターよりも、こういうメロウな演奏の方がいいと思う。
CD4-19.「トゥナイト・アイ・シャル・スリープ」… この曲もウエブスターのTsがフューチャーされたスロウ・バラードである。
CD4-20.「アイ・ドント・ノウ・ホワット・カインド・オブ・ブルース・アイ・ガット」… こちらもスロウなナンバーで、ソロはカーネイのBsからウエブスターのTs、ハミルトンのClと続き、ローシェのヴォーカルが入りエンディングへ向かう。
CD4-21.「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… この年何度も録音しているナンバーで、ホッジスのフューチャー曲。
CD4-22.「ムーン・ミスト」… エンディングか?30秒の短い演奏。

「デューク・エリントン/1943−1946」A面

<Date & Place> … 1943年6月16日 インディアナ州エヴァンズヴィルからの放送録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

5月1日と同じメンバー。

<Contents> … 「デューク・エリントン/1943−1946」(Philips 15PJ-6)

A-3.「スリップ・オン・ザ・リップ」(Slip of the lip)… デュークの息子、マーサー・エリントンが書いた愉快な小唄だという。合奏からレイ・ナンスのとぼけた味のヴォーカルがフューチャーされる。ナンスは楽団中唯一のコメディアン風のエンターティナーだったそうで、歌に続いてTpソロを取っている。その後ホッジスのソロを挟んで、ナンスの歌で締めくくっている。

”World broadcasting system recording session”というセッションが11月8日と9日の2日間行われる。ここで興味深いのはパーソネルである。タフト・ジョーダン(Tp)の新規加入、チャウンシー・ホウトン(Cl)からジミー・ハミルトンへ、ベン・ウエブスター(Ts)からスキッピー・ウィリアムスへの交替は以降にも継続される交代だが、11月8日のみレイ・ナンス(Tp)がディジー・ガレスピーに、ベースのジュニア・ラグリンがアーネスト・マイヤーズにへのワン・ポイント交替はどういった意味があったのだろうか?
デュークはその自伝に、「私(デューク)は昔からバップが好きだった。それで、あの華麗な伝説的な人物、ジョン・バークス・ガレスピーがかつて4週間私たちのバンドで演奏したのだと言えることを誇りに思っている。1944年、ディズはキャピトル・シアターで私たちとプレイしたのだ。」多分デュークはこの1943年と1944年を勘違いしたのだろう、1944年にディズとの共演の録音はディスコグラフィーには載っていない。もしかすると、録音されなかったのかもしれない。

[The Duke]CDボックス

<Date & Place> … 1943年11月8日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetハロルド・ベイカーHarold "Shorty" Bakerディジー・ガレスピーDizzy Gillespieウォーレス・ジョーンズWallace Jonesタフト・ジョーダンTaft Jordanレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneジョー・"トリッキー・サム"・ナントンJoe "Tricky Sam" Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinetジミー・ハミルトンJimmy Hamilton
Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwickジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Tenor saxエルバート・"スキッピー"・ウィリアムズElbert "Skippy" Williams
Clarinet , Alto & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassアーネスト・マイヤーズErnest Myers
Drumsソニー・グリアSonny Greer

注目は、Tpにディジー・ガレスピーが加わっているところであろう。今のところ僕の持っているガレスピー、1943年唯一の録音である。

[The Duke]CD16セット目

<Contents> … "The Duke"(History 2041542-302/303)

CD32-4.ボーイ・ミーツ・ホーンBoy meets horn
CD32-5.ホップ・スキップ・ジャンプHop skip jump

スタジオ録音である。Ellingtoniaでは、"World Broadcasting system"による録音としている。"World Broadcasting system"が分からない。放送用スタジオ録音ということかな?

CD32-4.「ボーイ・ミーツ・ホーン」
冒頭からフューチャーされて、オーケストラ・アンサンブルとコール・アンド・レスポンス式にソロを取っているのは、1月23日のカーネギー・ホール・コンサートではレックス・スチュアートだった。ここでは誰だろうか?或いはディズかな?楽団トップの芸達者、レイ・ナンスかもしれない。この頃ディズは、全く大物ではない。ユーモアを交えて、エリントン楽団と楽し気な会話が面白い。
CD32-5.「ホップ・スキップ・ジャンプ」
この曲ではAsのホッジス(As)がフューチャーされる。

[The Duke]CD32枚目

<Date & Place> … 1943年11月9日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Trumpet … ディジー・ガレスピー ⇒ レイ・ナンス(Ray Nance)
Bass … アーネスト・マイヤーズ ⇒ ジュニア・ラグリン(Junior Raglin)

<Contents> … "The Duke"(History 2041542-302/303)

CD32-6.昔はよかったねThings ain't What they used to be
CD32-7.メインステムMainstem

11月8日と同じ"World Broadcasting system"による録音。

CD32-6.「昔は良かったね」
息子のマーサー・エリントンの作。アンサンブルによるテーマの後、ソロはホッジス(As)、Tp、Tbと続き、テーマのアンサンブルで締め括る。
CD32-7.「メイン・ステム」
エリントンのピアノによるイントロからテーマへ。各人の短いソロ回しが主眼の曲かと思われる。

[The Duke]CDボックス

<Date & Place> … 1943年12月1日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

1943年11月9日と同じ

<Contents> … "The Duke"(History 2041542-302/303)

11月8、9日と同じ"World Broadcasting system"による録音。"World Broadcasting system"はAFMと関係ないのだろうか?
CD32-8.「クレオール・ラヴ・コール」(Creole love call)
久しぶりの再演ではないかと思う。誰が吹いているか分からないが、ワウワウ・ミュートTpが見事。こういうのを伝統芸というのだろう。

「The Duke box」CD4枚目

<Date & Place> … 1943年12月8日 ヴァージニア州ラングレー空軍基地から実況録音

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetウォーレス・ジョーンズWallace Jonesレックス・スチュアートRex Stewartタフト・ジョーダンTaft Jordanレイ・ナンスRay Nance
Tromboneジョー・"トリッキー・サム"・ナントンJoe "Tricky Sam" Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwickジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet & Tenor saxジミー・ハミルトンJimmy Hamiltonエルバート・"スキッピー"・ウィリアムズElbert "Skippy" Williams
Clarinet , Alto & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassジュニア・ラグリンJunior Raglin
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalベティ・ローシェBetty Roche
前回11月9日と同じだが、念のため記載しておく。

<Contents> … “The Duke box”(Storyville records 108 8600)
CD4-23.イントロダクションIntroduction
CD4-24.アイ・ワンダー・ホワイI wonder why
CD4-25.ゴーイン・アップGoin’up

CD4-23.「イントロダクション」… デューク・エリントンの紹介。ものすごい声援である。基地だけあって盛り上がりがスゴイ!
CD4-24.「アイ・ワンダー・ホワイ」… ベティ・ローシェによるヴォーカル入りのバラード・ナンバー。間奏にTbソロが入る。
CD4-25.「ゴーイン・アップ」… エリントンの作。エリントンのピアノ・イントロで始まるスインギーなナンバー。ソロはミュートTp、Ts。アンサンブルの後ブレイクでTbのソロが入り、イン・テンポになりナンスのVlソロ、オープンでTpのハイトーンで盛り上げて終わる。

「Duke Ellington at Carnegie Hall 1943」ジャケット

<Date & Place> … 1943年12月11日 ニューヨーク・カーネギー・ホールにて実況録音

この年1月23日初めてカーネギー・ホールでコンサートを行い、大反響となったエリントンとその楽団は、早くもその年の末に2度目のコンサートを開催します。こちらのレコードは、イギリスのサガ・レコード(Saga records)と日本では、突然珍しいジャズ・レコードを発売しているエレック・レコードから出ています。サガ盤とエレック盤は収録曲・順が全く同じです。エレック盤の解説は油井正一氏なので、こちらを参考に全曲収録のStoryvilleのCDを聴いていきましょう。

<Personnel> … デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Duke Ellington & his Orchestra)

Trumpet … ハロルド・ベイカー(Harold "Shorty" Baker) ⇒ In
Vocal … ベティ・ローチェ ⇒ アル・ヒブラー(Al Hibbler)
以外12月8日と同じ。

<Contents> … 「デューク・エリントン・アット・ザ・カーネギー・ホール 1943」(ELEC KV-107)&"The Duke box"(Storyville records 108 8600)

[DukeEllington/SecondWarconcert]ジャケット
A面1.&CD5-1.国家(星条旗)Star spangled banner
CD5-2.デュークの挨拶Introduction by Duke
A面2.&CD5-3.A列車で行こうTake the "A" train
A面3.&CD5-4.ムーン・ミストMoon mist
A面4.&CD5-5.二人でお茶をTea for two
A面5.&CD5-6.ハニーサックル・ローズHoneysuckle rose
CD5-7.スターダストStardust
CD5-8.C・ジャム・ブルースThe "C" jam blues
A面6.&CD5-9.ウエスト・インディアン・インフルエンスWest Indian influence
A面6.&CD5-10.ライター・アッティチュードLighter attitude
CD5-11.ア・ニュー・ワールド・ア・カミングA new world a-coming
CD5-12.フロア・ショウFloor show
CD5-13.ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモアDon't get around much anymore
CD6-1.デュークの挨拶Introduction by Duke
B面1.&CD6-2.リング・デム・ベルズRing dem bells
B面2.&CD6-3.メドレーMedley
B面3.&CD6-4.ジャック・ザ・ベアJack the bear
B面4.&CD6-5.ドゥ・ナッシング・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミーDo nothing 'till you hear from me
CD6-6.サマータイムSummertime
CD6-7.コットンテイルCotton tail
B面5.&CD6-8.黒と茶の幻想Black and tan fantasy
CD6-9.ロッキン・イン・リズムRockin' in rhythm
CD6-10.センチメンタル・レディSentimental lady
CD6-11.トランペット・イン・スぺイズTrumpet in spades
CD6-12.昔はよかったねThings ain't What they used to be
「The Duke box」CD5枚目ジャケット

CD5-1.「星条旗」… 先ずは国家を演奏してコンサートは始まる。
CD5-2.「エリントンの挨拶」… 英語が分からないのが残念。
CD5-3.「A列車で行こう」… ご存知オープニング・ナンバー。有名なレイ・ナンスのTpソロもそのまま聴ける。
CD5-4.「ムーン・ミスト」… これもご存知のデュークの息子マーサー作のメロウ・ナンバー。デュークのPイントロからナンスのヴァイオリン、ホッジスのAs、再びナンスのVl、ロウレンス・ブラウンのミュートTbとソロと続く。
CD5-5.「二人でお茶を」… ユーマンス作の超有名スタンダード・ナンバー。フューチャーされているのはTpのタフト・ジョーダンでハーマン・ミュートを使ってのプレイ。油井氏はジョーダンは、エリントン楽団に入って、名実ともに一流にランクされるようになったという。
CD5-6.「ハニーサックル・ローズ」… 続いてこれもファッツ・ウォーラー作の超有名スタンダード・ナンバー。フューチャーされるのはClのジミー・ハミルトン。ハミルトンは、音色、テクニックともに素晴らしいが、「黒人のくせにベニー・グッドマンに似すぎている」という理由で、ジャズ奏者として一流に数える人が少なかったが、正真正銘の名人であると油井氏は述べている。
CD5-7.「スターダスト」… さらに超有名スタンダードが続く。カーマイケル作のこの曲でフューチャーされるのは、ハロルド・"ショーティ"・ベイカー。堂々たる吹きっぷりだ。このスタンダード・コーナーはフューチャーされたソロイストが皆いい仕事をしている、素晴らしい。これぞエリントン楽団である。
CD5-8.「ザ・C・ジャム・ブルース」… "ザ(The)"は付かないのではないかと思うが、CDではこう表記してあるので従った。ソロはナンスのVlそしてジョーダン(Tp)、ウィリアムス(Ts)、ナントンのヤー・ヤーTb。ウィリアムスのTsソロはウエブスターを意識していることが感じられる。

「The Duke box」CD6枚目ジャケット

ここから前回1月23日のコンサートで大論争を巻き起こした「ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ」からの抜粋が演奏される。エリントンは次のようにコメントしているという。「次は『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』の短いスケッチを演奏します。今夜は全曲を演奏しません。というのは、これはかなり長い物語に基づくもので、その物語は皆さんになじみのないものだからです。馴染んでいただいた後全曲を聴いていただくのが良いと考えるからです。ともかくこの『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』は、アメリカの黒人の歴史に基づくトーン・パラレルとも言うべきものです。ここで演奏するスケッチは、独立戦争時ハイチからサヴァナを救うために駆け付けた700人のニグロに捧げたものです。」

CD5-9.「ウエスト・インディアン・インフルエンス」… エリントンの作。デュークとラグリン、グリアのリズム隊の絡みで始まる。ちょっとリズムがラテン風で変わっている。

CD5-10.「ライター・アッティチュード」… ディスコグラフィーでは、”Emancipation celebration”と書いてある。同一曲か?デューク自身”Lighter attitude”と曲紹介しているのでこちらで間違いないだろう。レックス・スチュアートとトリッキー・サム・ナントンをフューチャーしたナンバー。見事なミュート・プレイを堪能しよう。

CD5-11.「ニュー・ワールド・ア・カミング」… デュークは自伝で「キャピトル」(多分クラブ名)でレナ・ホーンと共演している時に作ったと述べている。バンドをバックにしたピアノ曲だという。14分を越す大作で、SP盤時代に続けて聴けるのはありがたいことだ。タイトルは、ロイ・オトリ―のベスト・セラーの本から取ったいう。
自伝でデュークは次のように書いている。「オトリーは第二次大戦後に黒人の状況がもっと良くなることを楽しみにしており、最後の発言はこういうものだった。すなわち個々の利害に関係なく、新しい世界が人類復活の日の勝利と熱狂と共に近づきつつある」
この日が初演である。後にオーケストレーションされ、その時ピアノを担当したドン・シャーリー(アカデミー受賞映画「グリーン・ブック」の題材となった黒人天才ピアニスト)さえ左手が苦労したという。 CD5-12.「フロア・ショウ」… どこかで聞いたメロディーだと思ったら「ゴーイン・アップ」の別タイトルだという。スインギーなナンバー。ブレイクしてのTbはブラウン、ナンスのVl、ハイ・ノートTpはスチュアートだという。
CD5-13.「ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア」… 第一部を締めくくるナンバー。何度聴いてもホッジスのアルト・サックスは聴かせるなぁ。

「The Duke box」CD6枚目

CD6-1.「エリントンの挨拶」… エリントンの第2部の挨拶。エリントンはDsのソニー・グリアの紹介をしているという。グリアはソロを好まない、1930年にチャイムを叩いたのが始まり、この曲はずっと今日まで続けられていると次の曲を紹介している。
CD6-2.「リン・デン・ベルズ」… エリントンにとっても古いナンバー。スキャットの短いヴォーカルはレイ・ナンスで、ホッジスのAsとの絡みが良い。短いソロがいろいろ出てくる。
CD6-3.「エリントン・メドレー」… MC無しで始まる。メドレー順は、”In a sentimental mood”⇒”Mood indigo”⇒”Sophisticated lady”⇒”Caravan”⇒”Solitude”⇒”I let a song go out of my heart”。どれだけ良い曲を作ってるんだ!という感じですよね。惜しむらくは、録音のバランスが悪く、ピアノが極端に後ろに引っ込んでしまっている。ただこう言う録音が残っていること自体がすごいことで文句を言うところではないだろう。
CD6-4.「ジャック・ザ・ベア―」… エリントン作、かつてジミー・ブラントンをフューチャーしてその名演を記録した曲。もちろんここではラグリンが務める。他のソロはハミルトン(Cl)、カーネィ(Bs)など。
CD6-5.「ドゥ・ナッシング・ティル・ヒア・フロム・ミー」… エリントン作だが、これも久しぶりに演奏するのではないか。盲目のシンガー、アル・ヒブラーのヴォーカル入り。
CD6-6.「サマータイム」… ガーシュイン作の超有名スタンダード。ヒブラーの歌入り。オブリガードはレイ・ナンスで、アルコでピチカットでVlを操っている。
CD6-7.「コットン・テイル」… エリントン作。最初にソロで飛び出すのはスキッピー・ウィリアムス(Ts)。まさにベン・ウエブスターを彷彿とさせるプレイぶりである。
CD6-8.「ブラック・アンド・タン・ファンタジー」… エリントン作。これも古い曲だ。ここではTpウォーレス・ジョーンズがフューチャーされている。やはりミュートがうまい、見事である。
CD6-9.「ロッキン・イン・リズム」… エリントンのPとラグリンのBが対話するように始まる。そしておなじみのアンサンブルと導かれる。
CD6-10.「センチメンタル・レディ」… デュークが”All-American saxophonist”と言ってジョニー・ホッジスを紹介する。切なくメロウなナンバーをホッジスが独特の音色で美しく歌いあげる。本当にこの人には駄作がない。
CD6-11.「トランペット・オン・スペイヅ」… タイトル通りトランペット・セクションをフューチャーしたナンバー。
CD6-12.「昔は良かったね」… エンディング・テーマ。リラックスしたテンポでホッジスが情感たっぷりに吹く。次のTpはタフト・ジョーダン説とハロルド・ベイカー説があるようだ。そしてロウレンス・ブラウンのTbと続きアンサンブルに移り、フェイド・アウト風に終わっていく。

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