ジョージ・ルイス 1943年

George Lewis 1943

ジョージ・ルイス・ニューオリンズ・バンド

ジョージ・ルイスの1943年の録音を取り上げよう。ここで気になるのは、バンク・ジョンソンの1943年の録音である。バンクは1943年のいつか「パシフィック・ストリート・ブルース」という曲を吹き込んでいる。レコード解説によると「この原曲はクライマックス・レコードの”Two Jim blues”であるという。評論家のビル・カルボーン氏がビル・ラッセル氏ところへ送って来たレコードに、Tpが加わっていないセッションだったので、バンクが音を被せたという珍品。録音データでは、1943年5月のある日サンフランシスコで録音したとある。そしてオリジナルは43年5月15日にエドガー・モスレイ宅にて録音されたとある。」
少し調べると確かに1943年5月15日ドラムのエドガー・モスレイの自宅でセッションが行われていて、ダン・レコードの「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」には同日録音の2曲が収録されている。さらに同レコードの解説には次のようなことが書かれている。
「1943年ジョージ・ルイスは彼のニュー・オリンズ・ストンパーズの名でクライマックス・レコードにレコーディングを行った。ジョージ・ルイスが初めて自己の名を冠したバンドである。その後ビル・ラッセル氏は版権をブルー・ノートに譲渡したが、ブルー・ノートはその中から1枚分を発売した。(中略)厳密に言うならクライマックスのために制作されたものだが、A・Mシリーズに加えて発売することをラッセル氏にも諒としたという。
なんとウィリアム・ラッセル氏は、「アメリカン・ミュージック」の他に「クライマックス」というレコード会社も持っていたのである。この二つのレコード会社を作った意図は何だったのであろうか?この辺りの解説が全く見当たらない。
また解説の河野氏はこうも書く。「5月15日は翌日のレコーディングのリハーサルでモスレイ宅で行った。」僕はラッセル氏がこの録音に立ち会っていない訳はないと考える。しかしラッセル氏は5月10日にはサンフランシスコで、バンクとバーサ・ゴンサリンの録音に立ち会っているのである。そこから急遽ニュー・オリンズに向かい、ルイス達の録音を行い多分すぐにサンフランシスコに戻ったのだろう。そして5月何日かに5月15日の録音ではTpが入っていなかったので、バンクにTpを重ねさせたということになるはずだ。しかしラッセル氏はこの録音はリハーサルのものということを知っていたはずである。そんな録音にバンクがよく音を重ねたものだと思う。
どうも不思議なことばっかりだ。なお現在は"George Lewis and his New Orleans Stompers 1943"というタイトルで1943年の録音がCD2枚組で出ているようである。

「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1943年5月15日 ニュー・オリンズ エドガー・モスレイの自宅にて録音

<Personnel> … ジョージ・ルイス・アンド・ヒズ・ニュー・オリンズ・ストンパーズ(George Lewis and his New Orleans Stmpers)

Band leader & Clarinetジョージ・ルイスGeorge Lewis
Tromboneジム・ロビンソンJim Robinson
Banjoロウレンス・マレロLawrence Marrero
Tubaシドニー・ブラウンSidney Brown
Drumsエドガー・モスレイEdger Mosley
「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」レコード・A面

<Contents> …「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」(Dan VC-7021)

A面7.クライマックス・ラグClimax rag
A面8.ニュー・オリンズ・フラNew Orleans hula

A面7.「クライマックス・ラグ」
ジェイムズ・スコット作のラグタイム・ピアノ曲として有名だという。音はよろしくないがルイスの熱情溢れるCl、ロビンソンのテイルゲート・トロンボーン、低音のチューバが迫力がある。
A面8.「ニュー・オリンズ・フラ」
フラ(Hula)とは「フラ・ダンス」「フラ」かな?途中アロハ・オエのメロディなども出てくる。面白い曲だが原盤の傷のため最初の数小節が欠けているという。フル・ヴァージョンの演奏を聴いてみたい気もする。

「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」レコード・B面

<Date & Place> … 1943年5月16日 ニュー・オリンズ ジプシー・ティー・ルームにて録音

<Personnel> … ジョージ・ルイス・アンド・ヒズ・ニュー・オリンズ・ストンパーズGeorge Lewis and his New Orleans Stmpers)

Band leader & Clarinetジョージ・ルイスGeorge Lewis
Trumpetキッド・ハワードKid Howard
Tromboneジム・ロビンソンJim Robinson
Banjoロウレンス・マレロLawrence Marrero
Tubaチェスター・ザルディスChester Zardis
Drumsエドガー・モスレイEdger Mosley

<Contents> …「ジョージ・ルイス・アット・ホーム」(Dan VC-7021)&"George Lewis 1943〜1945"(Storyville 670 201)

Dan B面1.ジャスト・ア・リトル・ホワイル・トゥ・ステイ・ヒアJust a little while to stay
Dan B面2.ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・シーJust a closer walk with thee
Dan B面3.ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・シーJust a closer walk with thee
Dan B面4.エイント・ゴナ・ギヴ・ノゥバディ・ノン・オブ・ジス・ジェリー・ロールAin't gonna give nobody none of this Jelly Roll
Dan B面5.テレフォン・ミーWhenever you're lonesome , telephone me
Storyville B面4.ケアレス・ラヴCareless love
「ジョージ・ルイス/1943−1945」レコード・ジャケット

B面1.「ジャスト・ア・リトル・ホワイル・トゥ・ステイ・ヒア」
Tpのキッド・ハワードを加えての本番収録。収録先はクライマックス・レコーズということになる。アンサンブルの一体感がすごい、そしてソロを取るのはルイス。ルイスの後のアンサンブルも迫力がある。僕はルイスのクラリネットはジョニー・ドッズというよりジミー・ヌーンの影響を受けている気がするのだが。
B面2、3.「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・シー」
こちらも前曲同様迫力あるアンサンブルがすごい。そしてそれはリズムをがっしり支えるマレロのバンジョーの役割が大きいと思う。
B面4.「エイント・ゴナ・ギヴ・ノゥバディ・ノン・オブ・ジス・ジェリー・ロール」
通称”Jelly Roll”と呼ばれるナンバー。ちょっとテンポを落としてユーモアを感じさせる演奏となっている。ソロも取るしアンサンブルもルイスがリードしている。
B面5.「テレフォン・ミー」
「寂しいときには電話して」という1920年代に流行った小唄だという。こちらもテンポは落とし気味で、ソロはロビンソン(Tb)というのが珍しい。続いてハワード(Tp)がとる。
B面4.「ケアレス・ラヴ」
なぜDan recordsはこの曲を収録しなかったのだろうか?許諾を得られなかったのだろうか?ちょっとした謎が残る。
こちらもゆったりとしたテンポでTpのハワード、Clのルイス、Tbのロビンソンの3人が絡み合う初めのアンサンブルがあり、ルイスのソロ、そして絡み合わない抑え気味のアンサンブルで終わりを告げる。

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