レニー・トリスターノ 1947年
Lennie Tristano 1947
<Date&Place> … 1947年9月13,20日 ニューヨークにてラジオ放送録音
<Personnel> … バリー・ウラノフズ・オール・スター・モダーン・ジャズ・ミュージシャンズ(Barry Ulanov's All star modern jazz musicians)
<Contents> … "Charlie Parker/Lullaby in rhythm"(Spotlite 107)
| A面1. | ココ(テーマ) | Koko(Theme) | 9月13日 |
| A面2. | ホット・ハウス | Hot house | 9月13日 |
| A面3. | アイ・サレンダー・ディア | I surrender dear | 9月13日 |
| A面4. | ファイン・アンド・ダンディ | Fine and dandy | 9月13日 |
| A面5. | ココ(テーマ) | Koko(Theme) | 9月20日 |
| A面6. | 明るい表通りで | Sunnyside of the street | 9月20日 |
| B面1. | ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン | How deep is the ocean | 9月20日 |
| B面2. | タイガー・ラグ | Tiger rag | 9月20日 |
| B面3. | 52番街のテーマ | 52nd. street theme(Theme) | 9月20日 |
WORというラジオ放送音源である。バリー・ウラノフ(写真右)はジャズ評論家で、一般大衆へのバップの啓蒙などを積極的に行っていた人物なので、彼が人選したミュージシャを集めて演奏させたものと思われる。大変興味深い面子である。まずバードとディズの競演は1年半ぶりとなる。そして白人の盲目のピアニスト、レニー・トリスターノ。彼は前衛的な実験を行った人物として知られているが、自身バードたちバッパーから大きな影響を受けたと公言している。彼を師事するミュージシャン達は「トリスターノ学派」などと呼ばれ、一種新興宗教めいた特別な集団を形成していたように思う。僕には、トリスターノ提唱する楽理というのが、全く分かっていないのだが。因みにこのパーソネルは、バードとディズは黒人バッパーであり、レイ・ブラウンはディズのもとで腕を磨いたベーシストであり、マックス・ローチは当時No.1と言われたバップ・ドラマーである。一方、ラポータ、バウアーはトリスターノ学派の白人ミュージシャンで、トリスターノ共々バップを標榜していた。こういう顔合わせは影響力のある評論家、ウラノフのもとでしか実現しえなかったろうと思う。。
「ココ」
MCのバックでテーマとして使われる。メンバー紹介と共にディズとバードが競う合うように吹き、ラポータ、バウアーが続くがどうもディズとバードとは雰囲気が異なる。ローチが出てくると少し安心する。
「ホット・ハウス」
バードのオリジナル。テーマの後ソロを取るのは先ずバード、そしてディズが続くが、双方激しい演奏である。バッキングのトリスターノ(写真右)がちょっと異なる感じで、ラポータ、バウアー、トリスターノとソロが続く。僕はここで初めて彼のソロを聴いた。そしてテーマに戻り、ローチのソロを挟んで再びテーマを奏して終わる。
「アイ・サレンダー・ディア」
スタンダード・ナンバーである。トリスターノ派のバウアー、トリスターノのイントロからトリスターノのソロとなり、バウアーと続く。バードとディズはお休み。
「ファイン・アンド・ダンディ」
これもスタンダード。テーマの後バードのソロ、スピード感あふれる素晴らしいソロである。続くディズも負けてはいない。そしてラポータ、バウアーのソロの途中でエンディングのMCが入り、トリスターノのソロはあまり聴こえない。
「明るい表通りで」
これもスタンダード。合奏で始まり、テーマとなる。ディズが吹いて、バードがオブリガードを付ける。ディズとバードがソロを分け合うように吹き、トリスターノ、ラポータのソロにはバウアーがオブリガードを付け、バウアー、ブラウン、ローチのソロが入り、テーマに戻る。
「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン」
Pのイントロからテーマをディズとバードが分け合って吹き、トリスターノ、ラポータ、ディズのソロは集団即興の様相を呈する。
「タイガー・ラグ」
古いディキシーランド・ナンバー。こういう曲でもバップで演奏できますよということなのであろう。バードのソロがすごいが、続くディズもすごい。そしてトリスターノもここは弾きまくる。合奏に戻りエンディングとなる。この演奏だけ、Temple盤で出たことがあるという。このTemple盤の中心は1951年バードランドにおけるクインテット(ディズ、バド・パウエル、ポッター、ロイ・ヘインズ)による演奏が中心で、突然場違いなこの曲が出てきて違和感を感じていた。しかしなぜこの曲だけ収録したのかは、以前として不思議ではある。
「52番街のテーマ」をエンディング・テーマとしてMCが入って終わる。
<Date&Place> … 1947年11月8日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … バリー・ウラノフ・アンド・オール・スター・メトロノーム・ジャズ・メン(Barry Ulanov and All star Metronome jazzmen)
<Contents> … "Charlie Parker/Anthropology"(Spotlite SPJ108)
| A面1. | 52番街のテーマ | 52nd. street theme |
| A面2. | ドナ・リー | Donna Lee |
| A面3. | エヴリシング・アイ・ハヴ・イズ・ユアーズ | Everything I have is yours |
| A面4. | ファッツ・フラッツ | Fats flats |
| A面5. | 二人でお茶を | Tea for two |
| A面6. | ドント・ブレイム・ミー | Don't blame me |
| B面1. | グルーヴィン・ハイ | Groovin' high |
| B面2. | ココ | Koko into |
| B面3. | アンスロポロジー | Anthropology |
次の音源は、バリー・ウラノフのラジオ番組の実況放送録音となる。実は全曲にバードが参加している訳では無いので、バードだけを抜き出した取り上げればいいのだろうが、折角なので全篇紹介しよう。パーソネルは出演者全てを記載したが、どのミュージシャンがどれに出演したかは、都度紹介する。
「52番街のテーマ」
サラ・ヴォーンを除いたインスト・ナンバー。演奏をバックにメンバーが紹介される。トリスターノとバウアーの順番を間違えるところはご愛敬であろう。
「ドナ・リー」
ラポータとイーガーが抜ける。テーマの後のソロはパーカーだけが取る。このパーカーのソロが凄まじい。この時期はまさに絶好調だったのだろう。
「エヴリシング・アイ・ハヴ・イズ・ユアーズ」
リズム・セクションのみをバックにしたサラ・ヴォーンのヴォーカル・フューチャー曲
「ファッツ・フラッツ」
ラポータとイーガーが抜ける。テーマそしてソロはリズム・セクションとファッツ・ナヴァロのみ。歌心溢れるファッツのソロが聴き応えがある。エンディングが何故か「ホット・ハウス」の合奏となっている。
「二人でお茶を」
ナヴァロ、パーカー、イーガーが抜ける。ラポータのショウケース。もしかするとバップぽい音使いなのかもしれないが、クラリネットのか細い音色はスイング時代を思い起こさせる。
「ドント・ブレイム・ミー」
リズム・セクションのみの演奏。トリスターノとバウアーのショウ・ケースなのであろう。
「グルーヴィン・ハイ」
サラ・ヴォーンを除いたインスト・ナンバー。ディズ作のナンバーである。テーマの後最初のソロはイーガーでこれがなかなか良い。続いてバウアー等リズム・セクションが短いソロを取りテーマに戻る。
「ココ」
ドラムスのイントロに載って、パーカーが凄まじいスピードで吹き出す。続いてナヴァロのソロ。流石に吹けている。オリジナル・クインテットはマイルスではなく、ナヴァロの方が良いのではという声が多かったというのもうなずける。そしてラポータ、イーガーと続く。この日イーガーも実に好調である。そしてトリスターノのソロの途中でMCが入り、バックで曲が「アンスロポロジー」に変わり、エンディングとなる。
この後クインテットは、デトロイトのエル・シノに出演するためにニューヨークを離れる。ラッセル氏のよれば、デトロイトで質の悪いヘロインで気分を悪くしていたパーカーは店の主人とケンカをし、どのような状況かは分からないが、ホテルの4階からサックスを投げ捨ててしまう。路上に叩きつけられた楽器はとても修理できるような状態ではなかった。ビリー・ショウのエージェンシーの調停役が急遽現地に向かい、パーカーはニューヨークに戻される。パーカーはビリー・ショウと激しくやりあったが、結局は折れ、エル・シノには埋め合わせ出演をすることになる。そして給料を前借し、セルマーの最新モデルを購入した。この新製品は正に芸術品の名に値するものだったという。こうしてパーカーのアルトは、最高のものに整えられ、最初の録音となったのが、12月17日のダイヤル吹込みであるという。
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