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ロイ・エルドリッジ Roy Eldridge 1946
ロイ・エルドリッジ 1946年
Roy Eldridge 1946
ロイ・エルドリッジは、この年白人バンドリーダー、アーティ・ショウの楽団に1945年9月まで在団していました。その後しばらくはフリー・ランスとして活動していたようですが、1946年1月に、自己のビッグ・バンドを立ち上げ、活動を開始します。今回取り上げる1946年はロイが率いたビッグ・バンドの録音ということになります。
さてここでジャズの巨人の一人に挙げられるロイ・エルドリッジの何が偉いのかについて書いておこう。エルドリッジは、サッチモ=ガレスピーを結んだジャズ・トランペット主流派上の中間に立つ巨人とされる。しかしどうにもその実感が僕にはないのである。そう実感させるレコードなどが無いのである。実際、今回のアルバム「ロイ・エルドリッジ/グレイテスト”リトル・ジャズ”」(MCA-3076)の解説を担当している大和明氏は、次のように書いている。まずロイ・エルドリッジほど冷遇されている巨星は無いとしたうえで、レコード・カタログを見ても、ロイの名を冠したLPはほとんど見当たらないという。これは日本だではなく、アメリカでもヨーロッパでも変わりないというのである。そして何故にこう無視され続けてきたのか、誠に分からないという。どうにも他人事の意見である。本当は素晴らしい功績がありながら、そのレコードが出ていないなら、出すようにレコード会社などに働きかけるのが評論家の仕事ではないかと思う。
評論家の批判はさておき、大和氏の言うロイの功績についてまとめてみよう。先ず彼以前の巨人、サッチモことルイ・アームストロングは、高音連発時代と言われる1933年ごろ、高音をフレイジングとしてではなく、演奏のラスト近くに単に演奏効果を高めるために使用していた。それに対しロイは、演奏のどの部分においても流麗でメロディアスな変奏を行い、サウンドとしてだけではなく、フレイジングとして高音プレイを開拓していった。単に高音だけではない。艶のある高音に時折大胆とも思えるダーティ・トーンを交え、自由自在にサウンドを変化させ、トランペットのサウンド自体に変化に富んだ大きな魅力を持たしたという。つまりトランペットという楽器は、ロイによって、新しい魅力と創造性を拡張し、完成度を挙げて行ったのだという。
<Date & Place> … 1946年1月31日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ロイ・エルドリッジ楽団(Roy Eldridge and his orchestra)
<Contents> …「ロイ・エルドリッジ/グレイテスト”リトル・ジャズ”」(MCA-3076)
B面1.「エイント・ザット・ア・シェイム」(Ain't that a shame)
アンサンブルからロイの輝かしいTpとなる。この曲ではヴォーカリストとしても実力のあるところを見せる。勿論ロイのTpプレイもたっぷりと聴ける。
<Date & Place> … 1946年5月7日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ロイ・エルドリッジ楽団(Roy Eldridge and his orchestra)
前1月31日からの移動。かなり大幅な移動である。アルト・サックスにサヒブ・シハブが加わっているが、この時点ではまだ、イスラム教への改宗前なので、本名エドムンド・グレゴリー(Edmund Gregory)だったが、ここではサヒブ・シハブとした。
Trumpet … Elton Hill ⇒ Jim Thomas
Trombone … John McConnell ⇒ Nat Atkins
Alto sax … Porter Kilbert ⇒ Sahib Shihab(Edmund Gregory)
Tenor sax … Charles Bowen、George Lawson ⇒ Tom Archia、 Al Green
Guitar … Luke Fowler ⇒ Snags Allen
Bass … Rodney Richardson ⇒ Louis Carrington
Drums … Mel Saunders ⇒ Earl Phillips
<Contents> …「ロイ・エルドリッジ/グレイテスト”リトル・ジャズ”」(MCA-3076)
| B面2. | ティッピン・アウト | Tippin' out |
| B面3. | ヤード・ログ | Yard rog |
「ティッピン・アウト」
気持ちゆったり目のナンバー。アンサンブルからTs(トム・アーチャ)ソロ、続いてロイのソロとなる。ロイは高音を終わりばかりではなく、ソロの初めでも使い、冒頭の大和氏の説を裏付けるようなプレイぶりである。
「ヤード・ログ」
アンサンブルの後ロイは抑えの利いた素晴らしいミュート・プレイを聴かせる。続くTsソロは、アーチャである。再びロイが今度はオープンでソロを取り、エンディングとなる。
<Date & Place> … 1946年9月24日 ニューヨークにて録音
<Personnel> … ロイ・エルドリッジ楽団(Roy Eldridge and his orchestra)
前5月7日からほぼ全員が代わっている。注目は日本でも人気のあるピアニスト、デューク・ジョーダンであろう。ディスコグラフィーによれば、彼の初ではないが2回目のレコーディングである。
Trumpet … Jim Thomas Henry Clay Elmon Wright ⇒ Marion Hazel、Sylvester Lewis、Dave Page
Trombone … Nat Atkins、Al Riding、Sandy Watson ⇒ Richard Dunlap, Charles Greenlea, Fred Robinson
Alto sax … Chris Johnson ⇒ Joe Eldridge
Tenor sax … Tom Archia、Al Green ⇒ Walt Lockhart, Harold Webster
Baritone sax … Al Townsend ⇒ Cecil Payne
Piano … Buster Harding ⇒ Duke Jordan
Guitar … Snags Allen ⇒ Out
Bass … Louis Carrington ⇒ Carl Pruitt
Drums … Earl Phillips ⇒ Lee Abrams
<Contents> …「ロイ・エルドリッジ/グレイテスト”リトル・ジャズ”」(MCA-3076)
| B面4. | 恋人よ我に帰れ | Lover come back to me |
| B面5. | ロッキン・チェア | Rockin' chair |
| B面6. | 町の噂 | It's the talk of the town |
| B面7. | アイ・サレンダー・ディア | I surrender , dear |
「恋人よ我に帰れ」
速いテンポの演奏で、短いアンサンブルのイントロの後直ぐにロイのソロとなる。ソロはほとんどロイのみで、ロイは高音から低音まで駆使してプレイを繰り広げる。
「ロッキン・チェア」
41年7月ジーン・クルーパで吹き込んだ同曲が名演とされるが、なかなかどうしてこの吹込みも素晴らしい。テンポを少し遅めに取って、じっくりと歌いあげている
「町の噂」
始めは中音部から低音中心にリリカルにプレイをするが、次第に熱を帯び、高音の響きの素晴らしさを誇り高げに吹き上げる。
「アイ・サレンダー・ディア」
この曲も前曲同様、最初は抑え気味で次第にエキサイティングになっていく。途中テンポ・アップしてからのスムーズな吹奏ぶりは素晴らしい。
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