ズート・シムス 1947年

Zoot Sims 1947

1944年ジョー・ブシュキンで初レコーディングを経験して以来の登場である。シムスは1944年初レコーディング後兵役に取られ、1946年に除隊、その後アーティ・ショウ、スタン・ケントン、バディ・リッチのバンドで音楽活動に復帰する。そしてどういう経緯かは不明だが、西海岸でジーン・ローランドが結成した2度目の4本テナーのバンドに加わった。この4本テナーとは、スタン・ゲッツ、ハービー・スチュアード、シムス、ジミー・ジュフリーの4人であった。この新生ローランドのバンドは、スパニッシュ・ボールルームに出演し、ラテンもので客席を沸かせ、4本テナーによる種々の実験を重ねていた。この4人の共通項は、4人ともレスター・ヤングに魅せられていたことである。
この新しいバンドを最初に魅せられたのは、ウディ・ハーマン楽団のアレンジャー、ラルフ・バーンズだった。そして新しいバンドとサウンドを考えていたウディ・ハーマンに紹介するのである。ハーマンは早速聴きにやって来て魅せられ、このユニークなサックス・カルテットをそっくりそのまま新しいバンドで使おうと引き抜くのである。ハーマンはゲッツ、スチュアード、ズート・シムスを雇ったが、ジュフリーは雇わず、バリトン・サックスのサージ・チャロフを入れた。そしてジュフリーには、このリード・セクションをフューチャーする新しい曲を書くことを依頼する。こうしてできたのがウディ・ハーマンのセカンド・ハードの代名詞「フォア・ブラーズ」なのである。こうしてシムスは「フォア・ブラーズ」の一員として、人気バンド、ウディ・ハーマンのオーケストラでプレイを続けるのである。

<Date&Place> … 1947年10月19日、12月22,24,27,31日 ロスアンゼルスにて録音

<Personnel> … ウッディ・ハーマン楽団(Woody Herman and his orchestra)

Band leader , Alto sax , Clarinet & Vocalウッディ・ハーマンWoody Herman
Trumpetバーニー・グロウBernie Glowアーニー・ロイヤルErnie Royalアーヴ・マルコヴィッツIrv Markowitzショーティ・ロジャースShorty Rogersスタン・フィッシェルソンStan Fishelson
Tromboneアール・スォープEarl Swopeオリィ・ウィルソンOllie Wilson
Bass Tromboneボブ・スィフトBob Swift
Alto saxサム・マロヴィッツSam Marowitzハービー・スチュアードHerbie Steward
Tenor saxスタン・ゲッツStan Getzズート・シムスZoot Sims
Baritone saxサージ・チャロフSerge Chaloff
Pianoフレッド・オーチスFred Otis
Guitarジーン・サージェントGene Sargent
Bassウォルト・ヨンダーWalt Yoder
Drumsドン・ラモンドDon Lamond
Vocalマリー・アン・マッコールMary Ann McCall
Arrangementラルフ・バーンズRalph Burns

1946年12月10日からの移動。
Trumpet … カッピー・ルイス、コンラッド・ゴゾー、ボブ・ペック、チャック・ピーターシュ、アル・ポーシノ ⇒ バーニー・グロウ、アーニー・ロイヤル、マーキー・マルコヴィッツ、ショーティ・ロジャース、スタン・フィッシェルソン
Trombone … ラルフ・ヘフナー、ビル・ハリス、エド・キーファー ⇒ アール・スォープ、オリィ・ウィルソン
Bass Trombone … ボブ・スィフト ⇒ In
Alto sax … ジョン・ラポータ ⇒ ハービー・スチュアード
Tenor sax … フリップ・フィリップス、ミッキー・フォーラス ⇒ スタン・ゲッツ、ズート・シムス
Baritone sax … サム・ルビノヴィッチ ⇒ サージ・チャロフ
Piano … ジミー・ロウルズ ⇒ フレッド・オーチス
Guitar … チャック・ウエイン ⇒ ジーン・サージェント
Bass … ジョー・モンドラゴン ⇒ ウォルト・ヨンダー
ほぼ総入れ替えである。これでバンドはどうなったかと言えば、ファースト・ハードでは、史上類稀なる陽気でエキサイティングなスイングを持っていたのに比べて、より地味で内向的な傾向が強い。一口に言えば、ファースト・ハードは「バップ・バンド」で、セカンド・ハードは「クール・バンド」と言える。では実際に演奏を聴いていこう。

<Contents> … 「ウディ・ハーマン/ザ・サンダリング・ハーズ」(CBS SL-1191〜3-C)&"Woody Herman/The thundering herds"(Columbia C3L-25)

record3 B面2.アイ・トールド・ヤー・アイ・ラヴ・ヤーI told ya I love yas , now get out10月19日
record3 B面3.キーン・アンド・ピーチーKeen and peachy12月22日
record3 B面7.アイヴ・ゴット・ニューズ・フォー・ユーI've gotnews for you12月22日
record3 B面4.レイジー・ララバイLazy lallaby12月24日
record3 B面5.ザ・グーフ・アンド・アイThe goof and I12月24日
record3 B面1.サマー・シークエンス 第4部Summer sequence part412月27日
record3 B面8.フォア・ブラザースFour brothers12月27日
record3 B面6.P.S.アイ・ラヴ・ユーP.S. I love you12月31日
「アイ・トールド・ヤー・アイ・ラヴ・ヤー」
スタン・ケントンもこの年10月に吹き込んでいるナンバー。ケントンはこの時ラテン色に染まっている時だった。ソロはボブ・クーパー(Ts)が取っていた。ハーマン版は、スインギーなアンサンブルで始まり、直ぐにハーマンのヴォーカルとなる。ヴォーカルの後、短いソロがゲッツ、スチュアード(As)、シムス、ゲッツ、スチュアード(As)、チャロフ(Bs)、ロイヤルとアンサンブルを挟みながら、入り乱れて登場する。
「キーン・アンド・ピーチー」
ショーティ・ロジャースとラルフ・バーンズが"Fine and dandy"のコード進行に基づいて書いた曲という。この辺りは実にバップっぽい。演奏もアップ・テンポでバップぽいインスト・ナンバー。サックスのアンサンブルが凄まじい。ソロはゲッツ、シムス、ショーティー、スウォープ、チャロフ、ロイヤルと短いソロが入り乱れる。

「アイヴ・ゴット・ニューズ・フォー・ユー」
ショーティ・ロジャースのアレンジしたブルース・ナンバー。ハーマンのヴォーカルがフューチャーされる。中間のサックス・アンサンブルは、当時バンドメンたちがこぞって尊敬していたチャーリー・パーカーの「ダーク・シャドウズ」のコーラスをそのまま吹いたという興味ある演奏だという。ソロはロジャース、ラモンド、スウォープ、ロイヤル。
「レイジー・ララバイ」
ハーマン自身のオリジナル。スロウなナンバーで、タイトル通りレイジーな雰囲気があふれている。ハーマンのヴォーカルがフューチャーされるが、これもレイジーである。間奏もアンサンブルである。
「ザ・グーフ・アンド・アイ」
アル・コーンが作・編曲したインスト・ナンバー。アンサンブルからソロは、ラモンド、チャロフ、アンサンブルを挟んでスウォープ、ハーマン。実にスインギーでダイナミックな演奏が楽しめる。
「サマー・シークエンス 第4部」
元は前年1946年三部作として吹き込まれた「サマー・シークエンス」の続編をコロンビアが望んだのに対して、ラルフ・バーンズが第4部として作ったもの。ピアノのイントロからギターが入り、アンサンブルが入り音が厚くなってくる。ソロというかテーマをハーマンがアルトで吹き、有名なゲッツのソロとなる。実にリリカルで当時こういうテナーを吹く人はいなかったと思う。
「フォア・ブラザース」
「セカンド・ハード」は別名「フォア・ブラザーズ・バンド」と呼ばれるように、まさにこの曲は以降ハーマン・バンドの代名詞となる。超有名なこの曲だが、収録されているレコードは僕の知る限りこの「ウディ・ハーマン/ザ・サンダリング・ハーズ」という3枚組だけである。そんなこの曲は、3本のテナー・サックスと1本のバリトン・サックスのヴォイシングを中心にそれぞれのソロを並べたもので、セカンド・ハードのデビュー前、リハーサルの時から練習を行い、セカンド・ハードの基本的なサウンドになった。ソロは、シムス、チャロフ、スチュアード、ゲッツ、ハーマン(As)、ラモンド、ゲッツ、シムス、スチュアード、チャロフの順。作はジミー・ジュフリーで、サックス奏者のジュフリーがなぜ加わっていないかについては、下欄を参照のこと。それにしてサックス・アンサンブルが素晴らしい。
「P.S.アイ・ラヴ・ユー」
ジョニー・マーサー作の当時の流行歌をバーンズがアレンジしたもの。マッコールのヴォーカルがフューチャーされる。中間のClソロはハーマン。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。

お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。