ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック 1944年

Jazz at the Philharmonic 1944

大学在学中から熱心なジャズ・ファンであったノーマン・グランツ(写真右)は、次第にただジャズを聴いているだけでは飽き足らなくなり、各楽団のジャズメンが正規の仕事を終えた後に行うジャム・セッションの面白さに目を付け、ハリウッドにあったクラブの休業日を毎週借り受け、入場料を取って、ジャズメン達が行っていたジャム・セッションを企画した。ジャズメン達にとっては、楽しみや研鑽のためにやっているジャム・セッションで収入が得られる上、聴衆の反応を得られるのだから、一挙両得であった。
彼のこの企画には、やがてデューク・エリントンやカウント・ベイシーといった一流バンドのスター・プレイヤーも参加するようになる。1941年第二次大戦で徴兵されたが、1944年除隊すると、もっと本格的に大規模なジャム・セッションの興行化を図るようになり、従来クラシック音楽だけにしか解放されていなかった、ロサンゼルスのフィルハーモニック・オーディトリアムで開催することを企画するようになる。
この企画は、当初"A jazz concert at the philharmonic auditrium"と名付ける予定だったが、会場のパネルにこの字数は入りきらないため、"Jazz at the philharmonic"と短縮された。そしてその頭文字を取り、"J.A.T.P."と呼ばれるようになるのである。その第1回目のコンサートが1944年7月2日ロサンゼルスのフィルハーモニックのオーディトリアにて開催された。

<Date&Place> … 1944年7月2日 ロサンゼルス・フィルハーモニック・オーディトリアムにて実況録音

<Contents> … "Nat Cole at JATP"(VSP/VSPS-14)

A面1.ブルースBlues
A面2.ロゼッタRosetta
B面1.二人でお茶をTea for two
B面2.ビューグル・コール・ラグBugle call rag

ジャム・セッションなので曲ごとに演者が異なる。

A面1.「ブルース」

Perssonnel

TromboneJ・J・ジョンソンJ.J.Johnson
Tenor saxイリノイ・ジャケーIllinois Jacquetジャック・マクヴィーJack McVea
Pianoナット・キング・コールNat King Cole
Guitarレス・ポールLes Paul
Bassジョニー・ミラーJohnny Miller
Drumsリー・ヤングLee Young

アップ・テンポのジャム・セッションのブルースである。まずコールが5コーラスほどソロを取り、続いてマクヴィーが3コーラス、拙HP初登場ジョンソンが3コーラス、ジャケーが4コーラス、ミラーが2コーラス、ポールがコールとの掛け合いをしながら3コーラスのソロを取る。
先ず初めのコールは小気味よいスイング感あふれる演奏で、初登場のJ.J.もさすがのソロを披露する。続くジャケーのソロが有名で、粟村氏もJ.A.T.P.におけるジャケーの最も好ましいソロと評している。ヒステリックな高音連発のソロには圧倒される。Gtのレス・ポールのソロはジャズでは珍しいので、貴重であろう。

A面2.「ロゼッタ」
A面1.の面子に、Trumpet … ショーティ・シェロック(Shorty Sherock)とTrumpet … レッド・カレンダー(Red Callender)が加わる。2ベース体制である。
アール・ハインズの作。ソロは、シェロック、マクヴィー、ポール、ジャケー、再びシェロック。ここでもジャケーのヒステリックなソロが目立っている。
B面1.「二人でお茶を」
A面1.「ブルース」と同じメンバー。皆が知っているスタンダード・ナンバーが素材に選ばれたのであろう。マクヴィーがアンサンブルをリードし、そのままソロを取る。ホーキンス派の力強い吹きっぷりである。続いてJ.J.、コール、ジャケー、ポールとソロが続く。さすがに、J.J.とコールのソロは聴かせる。そしてリフ・アンサンブルをバックにジャケーは、ここでもヒステリックに盛り上げまくる。
B面2.「ビューグル・コール・ラグ」
A面2.「ロゼッタ」と同じメンバー。これもスイング時代よく演奏されたスタンダード・ナンバー。シェロックが加わり、先ずテーマを奏し、短いマクヴィー、コール、カレンダー、ポール、ジャケー、ヤングとソロを回す。最後は、カンサス風リフと集団即興が混然一体となった迫力満点のアンサンブルで大団円を迎える。

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